数千のライターを見てきた二人が語る“良いライターの条件”とは 

前編の「ライタープロダクション」って何ですか? YOSCA役員に聞いてみたではYOSCAの歴史や「ライタープロダクション」という言葉への想いなどを伺いました。現在、サービス自体は多様になりつつも、根底にある「コンテンツの質を高めたい」という部分はブレていないそうです。

後編ではコストをかけてでもライターを育成する理由や、たくさんのライターを見てきたお二人の考える「良いライターの資質」について聞いてみました。「自分ってライターに向いてないのかな」なんて悩んでる人がいたら要チェックです。

それでは、後編をどうぞ。

ライターの育成はコストではなく投資

ーー個人的には、YOSCAの第一印象は「こんな親切な会社あるんだ」ってところでした。フリーだと、やっぱり何も言われずに依頼がこなくなっちゃうことも多いので。駆け出しだったときに丁寧に教えてくれたのは今でもありがたいな、と感じています。ただ、単純に「(YOSCA側は)めっちゃ大変だろうな」とも感じていました。4000人もライターを抱えているのに、全員にあんなにきちんとフィードバックしてるんですか?

宮嵜幸志(以下、宮嵜) はじめて依頼をしたライターさんに対しては、YOSCAの編集者は、極力フィードバックするようにしていますね。確かにライターを育成するというのはコストですが、そこできちんと伝えることでその後の仕事が楽になる面もあるんです。

一方で、その後改善の余地がなければ、当然そこで依頼はストップしてしまいます。

阿部道浩(以下、阿部) そうですね、僕らも別に慈善事業でやっているわけではありません。自分たちのメリットになるからやっている部分はあります。フィードバックによって改善するかしないかは人によってハッキリ分かれますので、長くお付き合いできるライターさんかどうか見ていますね。

ーーなるほど、ライターの育成は投資のような役割もあるんですね。

宮嵜 それにそもそも、うちは1から100まで全部面倒をみる気はないんです。企業理念(『幸せになるきっかけをつくる』)にもありますが、ひとつの「きっかけ」となってくれればいいかなと思っています。YOSCAを踏み台のひとつとして使ってくれたら嬉しいですね。

ーー確かに全員の面倒を最後まで見るっていうのは不可能ですもんね。

宮嵜 そうですね。世話をしたい、というのはもちろんあるけど、使える時間は限られています。なので、できる限りやる気のある人や、向上心のある人に手をかけてあげたいなという想いがあります。

基本的にライターの仕事っていうのは職人技だと思っているので、自分の腕をいかに磨いていくか、そういう意識があるかどうかって大切ですよね。ずっと停滞しているような人だと難しいんじゃないかなと感じます。

4000名のライターを見てきた二人が思う“良いライター”ってなんだろう

ーーYOSCAには現在4000名のライターが登録しているということでしたが、お二人はその情報は全て目を通してるんですか?

宮嵜 そうですね。登録いただいたらメールが届くので、全て目を通しています。

ーーたとえば、それだけ多くのライターを見ていると「この人は良いライターだな」とか「この人はダメだな」というのはすぐ分かるようになったりするんでしょうか。

宮嵜 「良いライター」というのが一概には定義できませんが、それを前提としてひとつ言えるのは、広義な意味として「文章力」と「コミュニケーション能力」の二つが備わってるライターは、編集者から評判がいいということです。

ーー「文章力」と「コミュニケーション能力」ですか。

宮嵜 「文章力」でいうと、伝わりやすい、読みやすい、きちんと推敲していて余計なミスがないといった一定以上の品質の記事を書けることと、依頼主や読者が求めている記事を理解して表現できることです。

「コミュニケーション能力」というのは、ビジネス上のやり取りのしやすさ、という意味です。一般的なビジネスマナーが備わっていて、納期をきちんと守れる、また、アクシデントがおきそうであれば報告、連絡、相談ができ、意思疎通が取りやすい人だと良いですね。

最低限この二つが備わっていることが大事だと思います。もちろん、その上で取材力や企画力、営業力があるに越したことはない。ただ、備わっていないといけないものではないと思っています。

インタビューが苦手なライターさんだけど、自身の専門領域で活躍している方だっていますしね。結局は、取引先や編集者との信頼関係が作れるかだと思いますので、「文章力」と「コミュニケーション能力」が鍵だと感じます。

阿部 信頼関係という点では、一緒に仕事をしやすい人って大事ですね。この前ふと、どういう芸人さんがテレビで売れるんだろう、って考えたときに、僕は「ディレクターさんが使いやすい人」なんじゃないかなと思ったんです。

都合がいい存在という訳ではなく、コミュニケーションがとりやすい、とか、相手が求めていることが分かる、とか、謙虚である、とか。

謙虚というのは、イエスマンという意味ではなくて、相手の要求に対して素直に「あ、そういう考え方もあるんだ」と思えて「じゃあこういう折衷案はどうですか」とか提案できる人。

これはライターの業界においても大切な面じゃないかと思いましたね。

宮嵜 ちなみに、ビジネスメールの内容だけでも、良いライターさんかどうかって分かります。「どういう風に文章を書いたら、相手にどう伝わるのか」っていうのは、記事でもメールでも重要なところですから。

ーーSNSで「ライターはこうあるべき」論みたいなのを目にする機会が増えました。人によって言うことは様々ですが、バズ記事を作るとか、インフルエンサーになるという声が大きくなってるかなという印象もあり。私自身もそうなのですが、そういうタイプではないことで「ライター向いてないのかな」と悩んじゃう人も結構いるんじゃないかと。

宮嵜 それは、思い込みじゃないかと。悩むところを間違えている気がしますね。

ーーバッサリ(笑)

宮嵜 インフルエンサーになるとかは、ライターの戦略の一つでしかないと思いますので、どういう選択を取ったっていい。たとえばブックライターの人たちにとっては、そういう一部のウェブ界隈の人たちの話って大して興味のあることではないはず。

結局自分がどうなりたいかという話でしかないですから、「フォロワーが増えない」とか「バズれない」とかで「ライター向いてないかも……」と悩んでるのだとしたら良くないですね。

仮に、目標としているライターさんがフォロワーを何万人も抱えている人で、自身もフォロワーを増やしたいと思うなら、「自分はどんなライターになりたいのか」「どうやったらフォロワーが増えるのか」「どんな企画だとバズるのか」といったことを考える必要がありますし、そういった戦略や戦術が失敗してるから悩むというのなら分かるんですけどね。そこを目指してるわけではないなら、悩む必要はないと感じます。

ーー確かに、自分がどうなりたくて、そのために何をすればいいのか、そこがハッキリしてれば悩む必要ないですね。目が覚めました。

 

ライタープロダクションとしてライターの育成に力を入れるYOSCA。ライターという仕事の間口は広くても、そこで長く生き残っていくのはなかなか難しいもの。もし、「まずは何から始めればいいんだろう」なんて駆け出しのライターさんがいたら、ここほど適した場所はないかもしれません。少なくとも「文章力」と「コミュニケーション能力」は身につく環境があるので。謙虚でさえいれば!

取材・文/園田菜々
写真/哀川空

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