まずは“名刺代わり”の記名記事を。うんちく出身者が語る、未経験から切り開くフリーライターの道

「ライター業をしてみたいけど、まず何から手をつければいいのか分からない」ってひと、意外と多いんじゃないでしょうか。

駆け出しだからこそ、自分が成長する仕事にチャレンジしてみたいけど、そのキッカケを手にいれる方法がわからない。未経験だとクレジットも入らないから、自分の実績としても公言しにくい。駆け出しあるあるかもしれませんね。

こんにちは、フリーランスでライターをしている園田です。私も2年前の駆け出しの頃は、右も左もわからずだいぶ苦労しました。

ちなみにYOSCAでは、「フリーライターのよりどころ」に登録したライターさんに任意課題として「うんちく」というWebサイトに記事を執筆してもらっています。

ライターさんが持つマニアックな知識・情報、または、得意分野、好きなジャンルに関して体感してきたことをベースとした深い知識・情報を紹介することがテーマで、各ライターの強みを引き出すことや、企画から執筆、校正までの流れを一通り経験してもらうことが目的です。

企画の調整などのやり取りを編集者と行い、掲載できるクオリティに記事になればアップ、ライタークレジットも入る。駆け出しのライターさんにとって、オススメの機会をご用意しているんです。

今回はそんなうんちくで記事を執筆し、その後ライターとして活動を広げつつあるライター、鈴木しのさんにインタビュー。ちなみに私としのさんの出会いは1年前。YOSCAで編集のお仕事をしていた際に、しのさんにご相談したのがきっかけ。

「今書いてるメディアは全部自分が好きなところ!」と仰る彼女に、どのようにして好きなメディアで仕事をもらえるようになったのか、経緯を教えてもらいました。

「自分のやりたい仕事をしたいけど、糸口がわからない」って方は、ぜひ参考にどうぞ。

考える前にまず行動。デザインの世界から未知のライター業へ

ーー私がしのさんと知り合ったのは、ちょうど1年くらい前だったと思います。ライター業を始めたばかりの頃でしたよね?

鈴木しの(以下、鈴木) そうですね、ライターとしてお仕事を始めたのが、去年の8月。10月にYOSCAのうんちくというサイトで記事を書いて、それを機にYOSCAに取材案件のご相談をいただいたんです。その案件の編集をされていたのが園田さんで。

ーーちょうど取材をしてくれるライターさんを探していて、うんちくの担当者に「この記事を書いてくれたライターさんが良かったよ」って教えてもらったんです。初めての取材記事とは思えないくらい文章も写真も綺麗にまとまっていて「試しに相談してみようかな」と。

鈴木 ずっと取材案件がやりたいと思ってたので、本当に嬉しかったですね。

ーーそもそもの話ですけど、しのさんは今まだ学生さんですよね。しかもデザイン専門学校。なぜライターのお仕事をしようと思ったんですか?

鈴木 色々とタイミングが重なったというのはあります。もともとLIGなどwebメディアの記事を読むことが多くて、そこでライターという仕事を知って興味が湧いたんです。文章を書く仕事があるんだ、と。そこから色々と調べていくうちに興味が湧いてきた。時給制のバイトよりも、出来高制の仕事に興味があったというのもあります。

ーーなるほど。

鈴木 あとは、デザインではなくて、文章を書いて仕事をしたい、という思いが強くなったのも大きいですね。もともとは美大で舞台について学んでいました。演者やコンテンポラリーダンスなど、表現者としてです。ただ、やっているうちに「この舞台に見に来てもらうためには宣伝をしなければならない。そのためには綺麗なチラシやwebサイトが必要だ」と思ったんです。「だったら私が作ろう」ということで、美大を中退してデザイン専門学校に行くことを決めました。

ーー舞台の宣伝をするためにデザインを勉強しようと思ったんですね。

鈴木 ただ、そこでデザインの勉強をしていくうちに、自分は制作があまり得意じゃないことに気づいたんです。企画自体は通るのにアウトプットでボツになる、ということの繰り返しで。そんな中、同じ学科に自分が欲しいと思うデザインを作れる人を見つけて。だったら、この人に企画を依頼すればいいわけで、自分は表現者側に戻ろう、と思いました。

ーー実際に足を踏み入れてみて、初めてわかることってありますもんね。

鈴木 そうした経緯でライターの仕事を始めて、うんちくの執筆の機会を得たのが、ちょうど去年の10月頃。同じタイミングで、株式会社MOLTSの代表であり、以前から尊敬していたそめひこさんがTwitterで「暇な学生募集」と仕事を手伝ってくれる人を探していて、即座に手を挙げました。そして今も書いている恋愛メディア「らぶりりーす」もTwitterでライター募集をしていたので、思わず「私、処女です!」って言って立候補して……一気に色々と始まった感じですね。

ーー「処女です」は強烈……(笑)。大学中退して専門学校に入ったり、インターンやwebメディアへの立候補など、しのさんはやりたいと思ってから行動に移すまでが早いですね。

鈴木 フットワークだけは自信があったので。小さい頃から、やりたいことはその時にやる、考える前に行動してみる、ってことを大切に生きてきましたね。

大好きな「文房具」で企画を通すために考えたこと

どろぼう堂入り口(撮影:鈴木しの)

ーーうんちくの話に戻りますが。どのような経緯で文房具居酒屋を取材しようと決めたんですか。

鈴木 ずっと文房具店で働いていて、文房具が大好きだったんです。なので最初からテーマは「文房具」にしようとは決めていました。あとは、インタビュー記事が書いてみたいと思っていたので、取材先探しですね。「文房具カフェ」はたくさんあるので面白みに欠けるな、と思っていて。もっと他に目をひくような文房具関連のスポットがないかなと調べていたら「文房具居酒屋 どろぼう堂」に行き着きました。

ーーなるほど、確かに「文房具居酒屋」ってワードは惹かれる。

鈴木 とにかく企画を通したい、の一心で。アポも、本来であればメールや電話でするのが一般的だと思うんですけど、そのお店は色んなメディアに出ているわけでもないし、もしかしたら断られる可能性もあるという不安がありました。だからアポを取る前に、実際にお店に行ってお料理やお酒、ご主人との会話を楽しんでから切り出したんです。

ーーすごい、取材アポを取るために直接お店に出向いたんですか。

鈴木 今だったらご迷惑かなと思って尻込みしちゃうかもしれませんが、あのときは必死だったので。「すごく料理も美味しかったし、お店の雰囲気も最高で、話も面白かった。ぜひ紹介させてくれないか」と。

どろぼう堂の店主(撮影:鈴木しの)

ーー熱意勝ちですね。初めての取材記事ということで困ったりしたことはありましたか。

鈴木 とにかくwebライティングについて何も知らずに飛び込んだので、初めて知ることもたくさんありました。表記統一や三点リーダーの使い方すら知らなかったので。ただ、うんちくの編集の方が驚くほど丁寧なフィードバックをしてくれたので、すごく困ったことってなかったですね。出した記事に赤入れされて戻って来るんですけど、提案や修正事項があったら必ずその理由をコメントに残しておいてくれる。タイトルのつけ方ひとつとっても「なぜそう変えた方がいいのか」がわかるので、とても勉強になりました。

ーー基礎知識って知らないと恥ずかしいんですけど、わざわざ教えてくれる人ってなかなかいないですもんね……。

鈴木 とにかく何でも教えてくれるんですよ、メールやチャットの使い方とかまで(笑)。教えてもらって出来るようになると「完璧だね」みたいに返してくれて、本当にありがたかったですね。私にとっては当たり前のことなんですけど、「わからないことをちゃんと聞いてくれて助かります」って返信がきたりして。とてもやり取りがしやすかったです。

ーーわからないことをそのままにして後々トラブルにつながる、みたいなことは多いですからね。しのさんみたいにちゃんと聞いてくれるのは編集者側としてもありがたかったのかも。

鈴木 私、うんちくの記事でたくさんの「初めて」を経験したんですよ。まず、記名記事というのが初めて。2000字以上の記事を書いたのも初めて。もちろん取材も初めてだし、ひと記事で4桁以上のお金をもらうのも初めてでした。それまで数百円とかだったので。

それまでは記名記事じゃない分、どれだけ書いても自分の実績として信用してもらいにくい状況だったんです。でも、うんちくで取材記事を書いたことで、堂々と「取材記事の経験があります」と言えるようになって、結果的に他の取材案件をいただけるきっかけになりました

ーー確かに、取材案件は特に信頼度が高くないと依頼できないから、実績があるとないとじゃだいぶ違うかも。

鈴木 私、誰かのお話を聞くことがとても好きで、インタビュー記事は本当にやりがいもあって楽しい仕事なんです。そういう仕事を今たくさんできているのは、最初にうんちくで取材記事を書いたおかげなんですよね。食事などで身銭を切った部分はありますけど、それによってやりたい仕事を手にいれる名刺代わりになったと思っています。

来年の自分がどうなってるか分からなくてワクワクする

ーー今後どんなお仕事がしたいとかっていうのはありますか?

鈴木 やりたいこと自体はすごくたくさんあります。今は編集業もやりたいと思っていて。頭の使い方は違いますが、より多くの読者に届くコンテンツを考える、という点で編集者はライター業に通じる部分があるな、と。舞台も好きなので、脚本も書いてみたい。詩も好きだからチャレンジしてみたいし……なんかワクワクが止まりませんね(笑)。

ーーなんだか私までワクワクしてきました(笑)。特に将来に対する不安とかってないんですか。

鈴木 もちろん今抱えている悩みとかはありますが、ワクワクの方が大きいですね。やりたいことをやり続けた結果、1年前の自分からは想像もできない姿になっているなと思っていて。すごく濃密で学びの多い1年でした。だから、きっとこの先も自分の想像とは違う自分になっていくんだろうな、と思っていて。むしろ「来年の私はどうなっちゃっているんだろう」というのが楽しみで仕方ないですね。

 

自分のやりたいことに正直で、とにかくポジティブな鈴木しのさん。駆け出し1年を濃密に過ごすことができたのは、彼女自身の行動力があったからこそ。クヨクヨ悩む前にとりあえずやってみる、そんなパワフルなしのさんの将来、私も気になります!

取材をしてみたいけどメディアに提示できる実績がない、という方は、しのさんのようにうんちくの場を活用してみるのも良いかもしれません。ひとつのきっかけにぜひ使ってみてくださいね。

取材・文/園田菜々

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