第2回編集者サロン「構成案どうしてる?」

構成案どうしてる

2019年8月22日に、YOSCAの編集者がオンライン上で集まる交流会「編集者サロン」が開催されました!

5月に引き続いて第2回目となる今回のテーマは、「構成案どうしてる?」。クライアントに「執筆前に構成案をください」といわれたとき、皆さんはどのように対応していますか?どこまでだったら無料で対応している?どこまで作り込む?など、各編集者の意見をうかがいました。

構成案の定義ってそもそも……?

まず話題に上ったのは、「構成案の定義ってあいまいになりがちだよね」ということ。確かに、“構成案”といわれてどんな形式のものを思い浮かべるかは、人によってかなり異なるように思います。クライアントと編集者の間で“構成案”の認識に差異があると、余計に工数がかかったり別途費用が発生したりして、トラブルに発展する可能性もありますよね……。

構成案のざっくりとしたレベル感でいえば、次の通り、段階的に工数が大きくなっていくイメージです。

レベル1:メモ書き程度のもの(執筆者用のメモを人に見せるように調整したもの)
レベル2:タイトルと見出しだけを設定したもの
レベル3:各見出しの要旨や参照URLまで記載した執筆直前の設計図

そのほか、次のような違いで工数に差が出てくるのではといった指摘もありました。

目的による違い

・編集者Iさん
「構成案を提示する目的が、執筆前にクライアントと認識をすり合わせてその後スムーズに案件を進めていくためなのか、いったん編集者が提示した構成案からクライアントと議論を重ねて作り込んでいくためなのかによって、向き合い方が変わってきますね」

後者の場合だと、構成の段階で修正が入ったり構成案自体がボツになったりする可能性もあり、担当する編集者の工数やストレスはより大きなものになってしまいますよね。

記事のボリュームによる違い

・編集者Kさん
「2000文字程度の記事ならば大見出しと中見出しをざっくりとつくっておくだけでも問題はないけど、5~7000文字になると、ざっくりとした構成案では記事の方向性にブレが出てくるので、あらかじめこまかく作り込まれたものを求められがち。
特にこたつ記事の場合、与えられたKWからいくつかのカテゴリー(見出し)に分けて、書くカテゴリーごとに情報を網羅していくといった情報収集の方法が一般的ですかね」

5000文字以上ともなると、KWからどうやって情報を分解していくか、各見出しの情報量はバランスが取れているか、といったところも構成の段階から考えていかなければなりません。文字数が多ければ多いほど、構成案の作成にかかる時間や工数も大きくなっていきますね。

どの範囲までなら無料で対応できる?

構成案のレベル感をどの程度で定義するかによって、また、案件の難易度や単価などによっても、費用を取るべきか否かが変わってきます。どこまでだったら無料で対応するのか、そもそも無料で対応するべきではないのか、どこから費用をとるかといった部分においても、各編集者からいろいろな意見がありました。

・編集者Sさん
「とある専門的な案件で、毎月10本、タイトルと見出しに参照URLを添付した構成案をクライアントに送っていました。当案件は構成案の作成も含めた原稿料で見積もっていましたね。」

構成案の作成も含めたお見積りをしていたというSさん。本案件はテーマに精通したライターをアサインしていたものの、構成案は自身で作成していました。テーマに関する知識がなく、タイトル・見出しを設定するだけでも相当な労力だったが、構成案作成にあたり継続的にテーマについて学習していくなかで自信を持って編集業務にあたれた、と話してくれました。

・編集者Hさん
「“メモ書き程度”の構成案にしても、本当は無償でやらないほうがいいと考えています。記事を執筆しながら構成をつくる方法をとっているライターさんもいるので、その場合は、確実に工数が増えていきます。また、真面目なライターさんであればあるほど、メモ書き程度の構成案を作成するのにも時間がかかります。どの程度の構成案をつくるにしても、構成案を出してくださいといわれた段階で、別途構成費用を見積もった方がよいと思いますね。」

“メモ書き程度”とはいわれても、構成案として提示するからにはある程度他人が見てわかる程度には整えなければなりません。また、タイトルや見出しだけつくるにしても、各段落の要旨、記事全体の流れを決めていなければならない。「タイトルや見出しこそ難しいので、最後に調整」という考え方や作業手順は、ライター・編集者なら実感や習慣として持っている人も多いはずです。

Hさんだけでなく他の編集者からも挙がったのが、「そもそも構成をつくるってそんなに簡単じゃない。記事の骨組みだから、執筆と同じくらい、もしくは執筆以上に時間や労力を取られる」という意見です。

さらに、別の編集者Sさんが話してくれたのは、とある失敗談。取材案件で、企画やサイトイメージ、取り上げるテーマなどがざっくりと決まっているだけの状況だったそうなんですが……

・編集者Sさん
「記事作成までの流れやコンテンツの中身といった具体的なことはこちらに任せるということだったので、サポート、サービスのつもりで最初に自身が作成した質問票を提出しました。いつの間にかそれが既定路線のようになってしまい、毎回無償でかっちりとした質問票を作り込む羽目に……。」

取材案件の場合、インタビューの内容を元に構成案を作成します。つまり、インタビュイーに尋ねるべきことをまとめた質問票は、記事構成の核となるもの。それもわりとしっかりとした質問票をつくるとなると、インタビュイーに関する情報などを収集する作業が必要です。毎回無償で対応するのは大きなストレスになることがうかがえますよね。

案件が進行してくるにつれクライアント側にもしっかりとしたイメージができてくると、「もっとこうしたい」というこだわりが生まれ、既存の価格設定のまま求められる仕事のレベルだけが高くなっていくケースは少なからずあります。

「こちらでできることは引き受けよう」というスタンスでいることは、クライアントと信頼関係を築くためにはよいことではあります。しかし、「本来なら別途費用が発生する」という事実は、強調しておく必要がありそうです。

「構成案ください」へのベストな対策は?

クライアントから構成案の作成依頼があった際、結局のところどのように対応すればwin-winの関係が築けるのか。上記の内容を踏まえ、一定の意見の一致がありました。

基本的に構成案の作成は有料という意識を統一

構成案とはどんな内容を、どのような順番で、どれくらいの分量で書くかといった記事の設計図のようなもの。案件によって構成案の形は様々です。一概にこれくらいの金額とは決めづらいもの。構成案の作成を基本的には有料として、どんな構成案が必要なのかクライアントとすり合わせをして、工数を見積もっていくのが適切です。その上で、場合によっては無料で対応するという選択肢もあってもよいでしょう。


「構成案どうしてる?」という今回のテーマ。実際に直面すると悩ましい問題でありながら、普段は意外とあやふやになっている問いではないかと思います。

ライターや編集者にとって、構成案は記事の土台として非常に重要なウエイトを占めるものです。しかし、実際に執筆に携わらないクライアントと、ライターや編集者とでは、どうしても認識にズレが生じます。クライアントによっては、執筆作業の一工程くらいの認識を持っている可能性もあります。

構成案の作成にどれだけの労力がかかるのか、どんなやり方で進めていけばよりよい記事ができるのかをわかりやすく伝え、クライアントとしっかりとコミュニケーションを取っていくことことで、案件をスムーズに進めていくことができそうですね。

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