【例文あり】ビジネスメールの書き方・マナー・効率化のコツ
( 最終更新日:2024年6月2日)
デスクワークをしている人であれば、日々当たり前に使っているであろうビジネスメール。みなさんは、どのようにしてビジネスメールの書き方を身につけましたか?
弊社で行ったビジネスメール・チャットに関する実態調査によると、「メール・チャットの書き方はどのようにして身につけましたか?という」質問に対して約3割の人が「何もしていない/自然と身についた」と回答しました。
ビジネスメールの書き方やマナーというものは、思いのほか「なんとなく」で運用されているのかもしれません。このようなあいまいな状態では、ビジネスメールについて部下などに指導するのはなかなかに難しいのではないかなと思います。
そこで今回は、ビジネスメールに関するマナーや書き方のコツを網羅的にまとめてみたいと思います。新人研修や部下への指導の際の参考情報としてご活用いただけますと幸いです。
目次
ビジネスメールの構造
ビジネスメールの文面には「件名・本文」の2つに分けられます。そして本文はさらに「宛名・挨拶・本論・署名」の4つに分けられます。
以下では、件名→宛名→挨拶→本論→署名の順番で書き方を解説します。
【1】件名の書き方
用件が伝わるものにする
社会人とは、日々やるべきタスクや会議などに追われているもの。きっとあなたがこれから送るメールを受け取る人も、忙しくしていることでしょう。多忙な人にメールを送る場合、用件のよく分からないメールだと忘れられてしまう危険性があります。
また忘れられなくとも、迷惑メールだと勘違いされてしまう可能性も。できるだけ、メールを開かなくとも内容が伝わるような用件を設定しましょう。
- お世話になっております
- 伊藤です
- メール・チャット研修の日程のご案内
- メール・チャット研修のご請求
OK例のように、件名を見ただけで「あの話だな」と分かるような具体的なタイトルを設定すると、受け取り手の負担が少ないです。
「相手にしてほしいこと」を明確にする
本文ではなく、タイトルでも相手にしてほしいことを明確に伝えるようにしましょう。隅付き括弧(【】)を使ってメールの目的を明示しておくと、と直感的に理解してもらいやすくなります。
- 【要返信】メール・チャット研修の日程について
- 【共有】メール・チャット研修で使用する資料について
長く書きすぎない
用件を伝えることは大切ですが、情報を盛り込みすぎて、タイトルが長くなるのも考えものです。使っているソフトやデバイスにもよりますが、開封前の状態で画面に表示されるタイトルは20文字程度。できればその文字数内に留めるのがベストです。
ただ、上の例で記載している「メール・チャット研修」のように長い言葉を入れる必要がある場合や、伝えるべき情報が多い場合は、必ずしも20文字に納める必要はありません。20文字を超えそうな場合は、重要な情報を前に、重要度の低い情報を後に記載しましょう。その際、最初の20文字で重要な情報を伝えきれると、非常によいでしょう。
- 伊藤さんによるメール・チャット研修の日程調整依頼です。4月25日までにご返信お願いします。
- 5月18日のメール・チャット研修参加者をまとめたリストをお送りしますのでご確認お願いします。
- 【要返信・4/25まで】メール・チャット研修の日程について
- 【共有】5/17(金)メール・チャット研修参加者リストについて
【2】宛名の書き方
宛名には、メールを送る相手の肩書や氏名を書きます。取引先など、会社同士で付き合いがある人に送る場合は、「〇〇株式会社 〇〇部 部長 〇〇様」のように、所属先名、部署名、役職名、名字を書くことが一般的です。
自社に応募してきた採用候補者など、所属する会社を通してではなく個人とのやりとりである場合は、社名や肩書きが分かっていても、「〇〇様」と名字のみとするのが自然です。また、企業同士のやりとりであっても、何度かメールを往復するうちに会社名などが省略されて名字のみになることもあります。相手との関係性や、相手の出方などを鑑みて対応しましょう。
なお、ここで迷いがちなのが、敬称を「様」と「さま」のどちらにするかです。日本速記協会『標準用字用例辞典』では「様」を、共同通信社『記者ハンドブック』では「さま」を推奨しており、意見が別れるところでもあります。基本的にはどちらでもよいですが、ひらがな表記の「さま」は漢字表記に比べて柔らかい印象を与えるため、不安であれば「様」にしておくのが無難でしょう。
【3】挨拶の書き方
社外の人にメールを送る際、一般的には冒頭に「いつもお世話になっております」という挨拶を加えます。社内の人に送る場合は、「お疲れ様です」などでよいでしょう。ほとんどの場合はこのふたつを使っておけば問題ありません。
はじめての相手やしばらく連絡を取っていない相手に送る場合は、少し工夫してもよいでしょう。はじめて連絡する相手に対しては「はじめてご連絡をさせていただきます」、久しぶりに連絡する相手に対しては「ご無沙汰しております」などがおすすめです。
- いつもお世話になっております
- お疲れ様です
- はじめてご連絡をさせていただきます
- ご無沙汰しております
基本的にはこの4つのパターンを覚えておけば問題ありません。これらの挨拶の後に自分の名前を名乗り、本論へと進みます。
【4】本論の書き方
いよいよ、メールのメイン部分となる本論です。ここには、件名に記載した伝えたいことを具体的に書いていきます。ここで重要になってくる概念が、下記の8要素からなる6W2Hです。
- Who(誰が)
- Where(どこで)
- When(いつ)
- Why(なぜ)
- What(何を)
- Whom(誰に)
- How(どのように)
- How much(いくらで)
「How much」など、場合によっては必要でない項目もありますが、これらの観点から情報に抜け漏れがないかを精査し、すべての情報を具体的に伝えるようにしましょう。
特に自分が主体となっているプロジェクトなどの場合は、前提となる情報を知っていて当たり前だと感じられてしまうために、無意識に「このくらいは分かって当然だろう」と言葉を省略してしまいがちです。何も知らない相手に伝えるつもりで文章を作成するのがおすすめです。
また、すべてを文章としてまとめるのではなく、箇条書きなどを用いると読み手が理解しやすいです。
- メール・チャット研修は、5/17(金)の14:00より、本社7FのA会議室にて実施します。所要時間は3時間を予定しています。講師は伊藤謙三さんです。PCと筆記用具を持参の上、開始10分前には着席するようにしてください。
- ■メール・チャット研修の実施要項 ・日時:5/17(金) 14:00〜17:00 ・場所:A会議室(本社 7F) ・講師:伊藤謙三さん ・持ち物:PC、筆記用具 ※開始10分前までにご着席をお願いします。
内容によって箇条書きが難しい場合もあるかと思いますが、その際は適宜改行を入れるなどして、文章の内容だけではなくてレイアウトも工夫すると、より読みやすいメールとなります。
【5】署名の書き方
署名には、会社名、所属部署、役職、氏名、メールアドレス、電話番号を記載します。社用のスマートフォンを持っている場合は、会社の電話番号ではなく自分のものを記載すると、取次の手間がなくて便利なので、スマートフォンの番号を記載するのがおすすめです。
署名は社内でフォーマットが決まっていることもありますが、それぞれが自由に設定できる会社もあります。後者の場合、署名には、商品名や長期休暇の予定など様々な情報を盛り込むことも可能です。営業職の場合は、キャンペーンのお知らせなどを記載している人もいます。テンプレートが集められたサイトもあるので、自分の用途や記載したい情報に合わせて活用してみるとよいでしょう。
また、署名は複数パターンを登録できるため、用途に合わせて使い分けることもできます。フォーマルなメールにも使えるベーシックなものと、日常的に使う自分らしくアレンジしたものを使い分けるのもよいでしょう。
送信前の確認事項
文章が作成できたらいよいよ送信でが、送信前にもいくつか確認すべきポイントがあります。メールの内容と同様に重要ですので、きちんと確認した上で送信するようにしましょう。
To、Cc、Bccの設定をチェック
メールの宛名には、To、Cc、Bccの3種類があります。それぞれ見ていきましょう。
Toはその名の通り宛先です。必ずメールを見て対応をしてもらいたい相手を設定しましょう。
Ccは「Carbon Copy」の略です。対応の必要はないものの、状況を把握しておいてほしい人を設定します。共にプロジェクトに関わっているメンバーや上司などを設定することが一般的です。Ccが設定されたメールは返信の際、「返信」ではなく「全員に返信」を選択しないと、Ccが外れてしまいます。返信時には注意しましょう。
Bccは「Blind Carbon Copy」の略です。ToやCcに設定されたアドレスは受信者にもどのアドレスが設定されているのか共有されますが、Bccに設定したアドレスは送信者以外は見ることができません。情報共有はしたいものの、共有したことを知られたくない場合に利用します。設定されることが多いのはCcと同じく上司などです。
また、同じ内容のメールを複数人に送りたい場合にも、Toを設定せず全員のアドレスをBccに入れて送信することがあります。このとき、Bccのつもりが誤ってCcやToで設定してしまうと、個人情報の流出になりかねません。相手に知らせずに共有したい場合は、一手間かかってしまいますが、送信したメールを個別で転送するのがおすすめです。一括送信をしたい場合も、メール配信システムなどを検討した方がよいかもしれません。
添付ファイルの形式やサイズをチェック
ファイルを添付する場合は、形式やサイズに注意しましょう。特に注意したいのが、PagesやNumbers、KeynoteなどのMacに搭載されているソフトで作成したファイルです。用途はそれぞれWord、Excel、PowerPointと対応します。
なお、WordファイルをPagesで開くことはできますが、反対にPagesファイルをWordで開くことはできません。これは他のMacのソフトでも同じです。全社的にMacを使っていて同僚に送る場合など、受信者がMacを使っていると確証を持てない際には、Wordなどのどちらでも開くことのできるファイルに変換した上で送信しましょう。
また、AdobeのIllustratorやPhotoshopのデータなど、特定の職種のみで使われることが多いソフトで作成したファイルにも注意が必要です。送信先が同職種でない限り、PDFなどで共有した方がよいでしょう。
ファイルサイズについては2MB以内が目安です。これを超えると、相手にきちんとメールが届かない恐れがあります。もし超える場合は、ギガファイル便やfirestorageなどのオンラインストレージにファイルをアップロードし、そのURLを伝える形で共有するのが望ましいです。
誤字脱字・表記ミスをチェック
どんなに分かりやすい文面だったとしても、誤字脱字が多く含まれていては信頼感が下がってしまいます。特に相手の名前や肩書きなどを表記ミスしてしまうと、今後の関係性に悪影響を及ぼしかねません。加えて、添付ファイルが間違っていないか、外部に送る場合はそれに相応しいファイル名となっているかなども併せて確認しておきましょう。
ビジネスメールを効率的に書く方法
メールは一日に何通も送信するものです。できるだけ効率化すれば、塵も積もれば山となるというように、業務負荷を大きく削減できる可能性があります。メールのマナーを身に付けた後のステップアップとして、ぜひ効率化にも挑戦してみてください。
よく連絡する人はアドレス帳に登録しておく
メールソフトには、アドレス帳が用意されているのが一般的です。よく送信する人は登録しておけば、アドレスを探す手間が省けます。また、同じチームやプロジェクトのメンバーなどをグループとして登録することも可能です。一人ひとりのアドレスを選択せずともグループを選択するだけで全員にメールを送れるようになるので、頻繁に同じ複数のメンバーにメールを送信する場合はアドレス帳に登録することをおすすめします。
メッセージのテンプレートを作っておく
定期的に発生する定常業務に関するメールや、上司への報告メールなど、似た内容や形式で複数回送るメールは事前にフォーマット化しておくとよいでしょう。先述のように署名は複数登録できるため、事前に登録しておくとすぐに呼び出せて便利です。
加えて、ユーザー辞書を使うという方法もあります。「お」と打てば「お世話になっております。〇〇です」と出てくるように登録しておけば、よりスムーズにメールが打てるようになりますし、誤字のリスクも減らせます。
なお、ユーザー辞書の場合、使用しているデバイスによっては文章の改行が反映されないことがあります。改行が必要ない短文であればユーザー辞書に、改行が必要な長いものは署名に登録するのがおすすめです。これらの機能を活用して、メールを効率的に作成しましょう。
メッセージの往復を減らす工夫をする
できるだけメールの往復を減らせるように、必要な情報や対応してほしいことは一度に伝えるようにしましょう。やり取りが減って効率的なだけでなく、やり取りが減れば返信を待つ時間も減るため、プロジェクトの進捗も速めることができます。
たとえば打ち合わせを設定したい場合、「打ち合わせの機会をいただけないでしょうか」と送るだけでなく、「打ち合わせの機会をいただけないでしょうか。承諾いただけるのであれば日程の候補をいただけますと幸いです」と書いておくと、OKをもらってから日程を調整するまでのラリーをひとつ減らすことができます。
相手に依頼する際だけでなく、自分が打ち合わせを依頼された際にも、相手が次にほしい情報は何かを先回りして送ることを意識すれば、より少ないやり取りで目的を達成でき、効率化につながります。
まとめ
今回はビジネスメールの書き方やマナーをご紹介しました。なお、マナーをどの程度まで守るかは相手との関係性によっても変動します。ここで紹介した情報を基調とし、対面でのコミュニケーションと同じく臨機応変に対応するとよいでしょう。
また、今回ご紹介したものは表面的なテクニックにすぎません。相手に自分の意図を的確に伝え、円滑なコミュニケーションを行うためには、ここで紹介したテクニックだけでなく、分かりやすい文章を書くスキルが必要になります。
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執筆協力:えなりかんな
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