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AIも人間も「指示」が9割。記事の手直し・リライトのための修正指示の極意(テンプレートあり)

最終更新日:2026年2月20日)

「ライターに記事を依頼したけれど、イメージと違うものが上がってきた」
「話題の生成AIにリライトさせてみたけれど、当たり障りのない内容で面白くない」

Webメディアの運営に携わる中で、このような悩みに直面したことはないでしょうか。

修正指示を何度出しても直らない、結局自分で書き直したほうが早い……そんな状況に陥ると、「ライターの質が低い」「AIはまだ使えない」と嘆きたくなる気持ちもわかります。しかし、私たちYOSCAが長年多くの記事制作に携わってきた経験から申し上げますと、記事のクオリティが決まらない原因の9割は「指示(ディレクション)」にあります。

曖昧な指示は、曖昧な成果物を生みます。逆に言えば、「具体的で動ける指示」さえ出せれば、人間であれAIであれ、良質な記事を引き出すことは十分に可能なのです。

今回は、私たちプロの編集者が現場で実践している「修正指示(フィードバック)」の極意と、すぐに使える指示書テンプレートをご紹介します。

◉本記事の著者
伊藤謙三

1989年、神奈川県生まれ。青山学院大学経済学部経済学科卒業。 大学卒業後に株式会社YOSCAに入社し、編集者としてメディアの編集ディレクション・ライターの育成に携わる。現在は文章にまつわる講座や研修の開発を担当。2020年に「あなたのライターキャリア講座」、2024年に「ビジネスメール・チャット添削研修」を立ち上げる。著書に『部下のメール・チャットが読みづらい!と感じたときに読む本』がある。

なぜ、あなたの指示は伝わらないのか?

「いい感じに」「読みやすく」は禁句

指示が伝わらない最大の要因は、言葉の「解像度」の低さにあります。

例えば、「もっと読みやすい文章にしてください」という指示。これは編集現場ではNGワードです。なぜなら、「読みやすさ」の定義は人によって異なるからです。

  • 専門家にとっての「読みやすい」:専門用語が正しく使われ、論理構造が緻密な文章
  • 初心者にとっての「読みやすい」:専門用語を噛み砕き、図解や例え話が多い親しみやすい文章

書き手(ライターやAI)に対し、あなたの頭の中にある「正解」を察してもらうことを期待してはいけません。主観的な形容詞(読みやすい、かっこいい、インパクトのある)を排除し、客観的な事実やルールに変換して伝える必要があります。

AIへのプロンプトも「指示書」と同じ

昨今の「AIリライト」ブームにより、ChatGPTなどに記事を書かせるケースも増えています。ここで「AIが期待通りの文章を出してくれない」と悩む担当者も多いですが、これも原因は同じです。

AIへのプロンプト(命令文)は、まさにライターへの「指示書」そのものです。「ターゲットは誰で」「どんなトーンで」「何をゴールとするか」を定義せずに「〇〇について記事を書いて」と投げれば、AIは確率的に最も無難な(=つまらない)回答を返します。

AIの登場によって、編集者の「言語化能力」や「ディレクション能力」は不要になるどころか、むしろその重要性が増しているのが実情です。

良質な記事を引き出す「指示出し(要件定義)」3つの鉄則

では、具体的にどうすれば伝わる指示になるのでしょうか。YOSCAが重視している3つの鉄則をご紹介します。

1. 「誰の・どんな悩みを・どう解決するか」を言語化する

記事の方向性がブレる一番の原因は、ターゲット(ペルソナ)の不在です。「20代女性」といった大雑把な属性ではなく、「どんな状況(コンテキスト)にいる人か」まで掘り下げて伝えます。

  • × 悪い例:ターゲットは30代のビジネスマン。
  • ○ 良い例:ターゲットは入社10年目の30代男性。初めて部下を持ったが、リモートワーク下でのマネジメントに苦戦しており、部下とのコミュニケーション不全を解消したいと考えている。

ここまで指定することで、書き手は「じゃあ、上から目線の指導論ではなく、寄り添うようなトーンで書こう」と判断できるようになります。

2. 構成案(骨子)は必ず先に固める

本文をすべて書き終えてから「全体の流れが違うから書き直し」とするのは、ライターにとっても発注者にとっても最大の不幸(コストロス)です。

必ず「見出し構成(骨子)」の段階で合意形成を行いましょう。H2、H3見出しに加えて、各見出しの中に「どのような要素(ファクト、主張、例示)を入れるか」まで箇条書きで指定しておけば、大きな手戻りは防げます。

3. 参考記事(ベンチマーク)とNG例を提示する

言葉で伝えるのが難しい「トーン&マナー(トンマナ)」は、実例を見せるのが一番早いです。

  • OK例の提示:「この記事のような、語りかけるような優しい口調で」「構成はこの記事の深さを目指して」
  • NG例の提示:「この記事のように、断定的な表現(~だ、~すべき)は避けて」「専門用語の多用はこの記事のように離脱を招くので禁止」

特に「やってはいけないこと(NG)」を先に伝えておくと、修正回数は劇的に減ります。

【実例比較】ダメな指示 vs 良い指示(Before/After)

ここでは、実際に編集現場でよくある修正指示のBefore/Afterを見てみましょう。抽象的な指示を具体的に変換するプロセスを参考にしてください。

修正指示の具体例

ケース1:冒頭(リード文)がつまらない

  • × ダメな指示
    「もっとインパクトを出してください」「読者を惹きつける感じで」
  • ○ 良い指示
    「冒頭の3行で、ターゲットが抱える『指示待ち部下にイライラしてしまう』という具体的な悩みに触れて、『自分事』だと思わせてください。その上で、この記事を読めば『明日から使える指示の定型文』が手に入るとメリットを提示してください」

ケース2:文章が固すぎる

  • × ダメな指示
    「全体的に固いです。もっと柔らかく」「親しみやすくしてください」
  • ○ 良い指示
    「語尾の『~である』をすべて『~です・~ます』に変換してください。また、1文が60文字を超える箇所は2文に分け、漢字の使用率を全体の3割程度に抑えてひらがなを増やしてください」

このように、「修正後の状態」が誰の目にも明らかになるよう、具体的な行動レベルまで落とし込んで伝えることが、良質な記事への近道です。

そのまま使える!記事作成指示書テンプレート

最後に、YOSCAで実際に使用している構成要素を元にした、簡易的な指示書テンプレートをご紹介します。ライターへの発注時や、AIへのプロンプト作成時にコピーしてご活用ください。

【記事作成指示書】

  • 企画テーマ(タイトル仮)
    • 例:AIも人間も「指示」が9割。良質な記事を引き出すディレクション術
  • ターゲット(ペルソナ)
    • 誰が:自社メディアのWeb担当者
    • どんな悩み:ライターやAIからの納品物の質が低く、修正に疲弊している
    • どんな状況:自分で書く時間はなく、外注やツールをうまく使いたい
  • 検索意図(インサイト)
    • ユーザーが検索窓に入力した背景:「記事 外注 失敗」「ライター 指示出し コツ」
    • 知りたいこと:手戻りをなくす具体的な依頼方法、指示書の書き方
  • 記事のゴール(読後感)
    • 読者が「指示の出し方を変えれば質は上がる」と希望を持ち、明日から具体的な指示書を書けるようになること。
  • トーン&マナー(表記ルール)
    • 文体:デス・マス調。プロフェッショナルだが親しみやすいトーン。
    • NG事項:抽象的な精神論、他社サイトの無断引用、ネガティブな表現。
  • 参考記事URL
    • (参考にしてほしい記事のURLを記載)

まとめ

AI全盛の時代だからこそ、「どんな記事を作りたいか」を定義し、それを的確に伝える「指示出し(ディレクション)」のスキルは、Web担当者にとって最強の武器になります。

「いい感じに」という言葉を飲み込み、一歩踏み込んで具体的に言語化する。その一手間が、結果として修正工数を減らし、読者の心に響くコンテンツを生み出します。まずは次の一本から、指示の解像度を上げてみてください。

もし、「社内のリソースだけでは細かいディレクションまで手が回らない」「そもそも編集者のスキルをどうやって底上げすればいいかわからない」とお悩みであれば、ぜひ一度YOSCAにご相談ください。

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伊藤謙三
1989年、神奈川県生まれ。青山学院大学経済学部経済学科卒業。 大学卒業後に株式会社YOSCAに入社し、編集者としてメディアの編集ディレクション・ライターの育成に携わる。現在は文章にまつわる講座や研修の開発を担当。2020年に「あなたのライターキャリア講座」、2024年に「ビジネスメール・チャット添削研修」を立ち上げる。 著書に『部下のメール・チャットが読みづらい!と感じたときに読む本』がある。
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