会社案内リニューアルの進め方|見直すタイミング・掲載項目・費用相場を解説
( 最終更新日:2026年9月12日)
この記事の要点
Q: 会社案内はどのタイミングでリニューアルすべきですか?
A: 目安は3〜5年ですが、年数より内容と実態のずれで判断します。事業構成や主力サービスが変われば、年数にかかわらず見直しの時期です。
Q: デザインを新しくすれば会社案内は生まれ変わりますか?
A: 構成を問い直さないまま表紙だけ変えると、古い優先順位がそのまま残ります。何を・誰に・どの順番で伝えるかの見直しが先です。
Q: 外注費用の相場と、安い見積もりの注意点は?
A: 8〜12ページで40万〜80万円程度が目安です。安い見積もりは企画構成費と原稿作成費が抜けており、その工数が発注側の担当者に移ります。
棚に積まれた会社案内を取引先に渡すとき、少しだけ手が止まります。裏表紙の発行年は3年前で、そこに載っている拠点はもうありません。事業の柱も、当時とは入れ替わっています。渡した相手が気づくかどうかはわかりませんが、渡した側は確実に気づいています。
それでも作り直しは後回しになります。日々の業務のなかで優先順位が上がりません。そして半年が過ぎ、一年が過ぎます。
ようやく予算がついて制作会社に依頼し、新しい会社案内が刷り上がります。ところが2年も経たないうちに、また同じ違和感が戻ってきます。作り直したはずなのに、なぜ短い期間で古びてしまうのか。この問いに答えないままリニューアルを進めると、数年ごとに同じ出費を繰り返すことになります。
会社案内のリニューアルで見直すべきは、実はデザインではありません。本記事では、見直しのタイミングの見極め方から掲載項目、費用の内訳、進め方の手順までを整理していきます。
目次
会社案内が古いと気づくのはどんな瞬間か
会社案内の寿命は、印刷の品質でも紙の劣化でもなく、書かれている内容と会社の実態がどれだけずれたかで決まります。一般に3〜5年が更新の目安とされますが、これはあくまで平均的な目安です。事業の変化が速い会社なら2年でずれますし、変化の少ない会社なら7年持つこともあります。
実際に担当者が「もう使えない」と判断する瞬間は、たいてい具体的な場面と結びついています。YOSCAが、会社案内の制作・改訂に関わった総務・広報・経営企画の担当者90名に尋ねたところ、リニューアルを考えた理由としてもっとも多かったのは約62%が挙げた基本情報のずれでした。
会社案内をリニューアルしようと考えた理由(複数回答)
▸ 事業内容・拠点・役員などの基本情報が現状と合わなくなった
▸ 新規事業や主力サービスの変化で、会社の強みを伝えきれていない
▸ 営業・採用の現場から「使いづらい」と声が上がった
▸ デザインやトーンが古く、Webサイトや他の販促物と統一感がない
▸ 競合他社や取引先の会社案内と比べて見劣りを感じた
YOSCAによる独自調査(2026年実施・会社案内の制作・改訂に関わった総務・広報・経営企画担当者90名)
注目したいのは二番目です。約49%が、新規事業や主力サービスの変化によって会社の強みを伝えきれていないと答えています。基本情報のずれは差し替えれば済みますが、こちらは差し替えでは直りません。何を強みとして語るかという、会社案内の骨格そのものが合わなくなっています。
一方でデザインの古さを理由に挙げた人は約28%にとどまりました。担当者の実感としては、見た目より中身のずれのほうが切実だということになります。ところが実際にリニューアルの企画書を書く段になると、なぜかデザインの話から始まります。
刷新したはずの会社案内が2年で古びる理由
制作会社に相談すると、多くの場合は最初にデザインの方向性を示すラフや参考事例が出てきます。会話が視覚的で進めやすく、社内の合意も取りやすくなります。見比べて選ぶだけなので、意思決定のコストが低く済みます。
その結果、原稿は後回しになります。デザインが固まってから「では文字を流し込みましょう」となり、担当者は既存の会社案内から文章をコピーして少し手直しする。ここで何が起きているかというと、前の会社案内の構成をそのまま新しいデザインに移し替えているのです。
3年前に決めた「何を、どの順番で伝えるか」が、そのまま持ち越されます。だから事業が変わっているのに、事業紹介のページ配分は昔のままです。伸びている新規事業が見開きの隅に小さく載り、縮小しつつある旧来事業が最初の見開きを占めている、そんな会社案内が完成します。
そして刷り上がった直後から、営業担当は「この部分は今は違うんです」と口頭で補足しながら渡すことになります。補足が必要な資料は、渡されたほうも読み込みません。
会社案内が短命に終わる原因は、印刷から2年で情報が変わったことではありません。作り直すときに構成を問い直さなかったことです。ページの割り付けは会社の優先順位を映す設計図であり、その設計図が古いままなら、どれだけ美しく刷っても中身は前と同じものになります。
会社案内とコーポレートサイトはどう役割を分けるか
「サイトがあるのに紙の会社案内は要るのか」という問いは、リニューアルの検討時にほぼ必ず出てきます。この問いに正面から答えないまま制作を始めると、サイトの情報を縮小コピーしただけの冊子ができあがります。
両者の決定的な違いは、読み手が能動的かどうかにあります。コーポレートサイトは、その会社に興味を持った人が自分で検索してたどり着く場所です。知りたい情報を自分で選び、必要なページだけを開きます。
会社案内は逆です。こちらから手渡します。商談の冒頭、展示会のブース、会社説明会の受付。相手はまだ興味を持っていないか、興味の輪郭がぼやけている状態です。そこで渡されるのだから、読み手が選ぶのではなく、こちらが読ませる順番を決められるという性質を持っています。
この違いは、載せる情報量にも影響します。サイトは検索エンジン経由の流入を意識して情報を網羅する方向に伸びますが、会社案内は逆に削る方向で設計します。16ページの冊子に入る情報量は限られており、削った結果として残ったものが、その会社が最初に伝えたいことになります。
網羅性はサイトに任せて構いません。会社案内の役割は、相手の関心に火をつけて、続きを調べたいと思わせるところまでです。だからこそ最後にサイトへの導線を置きます。紙で興味を持たせ、Webで深掘りしてもらいます。この分担が定まっていれば、何を載せるかの判断はぐっと楽になります。
逆に言うと、分担が曖昧なまま「サイトに載っていることは全部入れておこう」と考えた瞬間に、会社案内は情報の詰め込み合戦になります。文字が小さくなり、写真が縮み、結局どこも読まれない冊子になります。
営業と採用の両方で使える会社案内に必要な掲載項目
会社案内の掲載項目は、会社概要、事業内容、代表メッセージ、沿革、拠点一覧という並びが定番です。この順番自体は悪くありません。問題は、それぞれの項目に何を書くかが10年前の型のまま固まっていることです。
ここでは営業の場面と採用の場面、どちらで渡しても機能する書き方を項目ごとに見ていきます。

事業内容は自社の説明ではなく相手の課題から書く
多くの会社案内は、事業内容を「当社は〇〇の製造・販売を行っています」という自己紹介の形式で書いています。事実としては正しいのですが、読み手はこの文から自分との接点を見つけられません。
接点をつくるには、誰のどんな困りごとを解いているかを先に置きます。「食品工場で異物混入検査の人手が足りない現場に、画像検査装置を導入しています」と書けば、読み手は自分の現場を思い浮かべながら読めます。装置の仕様はその後で構いません。
採用の場面でも同じことが起きます。求職者は事業内容から、自分が入社したあとに何をする会社なのかを読み取ろうとしています。誰を助ける仕事なのかが書かれていれば、その仕事に就く自分を想像できます。
数字は規模の誇示ではなく判断材料として置く
売上高、従業員数、設立年。この三つはほぼすべての会社案内に載っています。ただ、載せているだけで読み手の判断を助けていないことが多くあります。
読み手が数字から知りたいのは、規模の大小ではなく「この会社に任せて大丈夫か」という一点です。取引社数、継続取引年数の平均、対応可能な最小ロット、内製比率。こうした数字のほうが、判断には直接役立ちます。
採用の読み手にとっては、平均勤続年数、中途入社比率、資格取得の支援実績などが同じ役割を果たします。数字を並べる前に、この数字は誰のどんな判断に使われるのかを一度考えるだけで、選ぶべき指標は変わってきます。
社員の言葉は一人ぶんを深く載せる
社員紹介のページは、4〜6人の顔写真とコメントを並べる形式をよく見かけます。ところが一人あたりの文字数が100字程度になると、どの人も似たような当たり障りのないことを言っているように読めてしまいます。
限られたページで人を伝えたいなら、人数を減らして一人ぶんを厚くするほうがよく伝わります。入社の理由、最初につまずいたこと、乗り越えた場面、今の仕事の手応え。ここまで書けば、読み手はその人の輪郭をつかめます。
営業の場面でも社員のページは効きます。取引先は、実際に自社を担当する人がどんな人かを知りたがっています。組織図では見えない担当者の人柄を伝えるには、一人の具体的な語りが適しています。
沿革は年表ではなく意思決定の記録にする
沿革のページは、設立、増資、工場竣工、支店開設といった出来事を年代順に並べたものになりがちです。この形式は正確ですが、読み手が得るものはほとんどありません。
沿革が意味を持つのは、なぜその判断をしたかが添えられているときです。「リーマンショックで主要取引先を失い、翌年に一般消費者向けの製品開発に着手」と書けば、そこには会社の性格が現れます。危機のときに何を選ぶ会社なのかは、他のどのページよりも沿革が雄弁に語ります。
すべての年に理由を添える必要はありません。転換点になった三つか四つの出来事に一文ずつ足すだけで、年表は物語に変わります。
リニューアルにかかる費用の内訳と相場の見方
費用は制作の規模によって大きく開きます。A4の8〜12ページで、デザインと印刷を中心に依頼する場合は40万〜80万円程度が目安です。取材や撮影を含み、16ページ以上で構成から設計する場合は100万円を超えることも珍しくありません。なお印刷部数と紙質によって総額は大きく動くため、同じページ数でも見積もりの幅は広くなります。
この幅がなぜ生まれるかというと、見積もりに含まれる工程が会社によって違うからです。内訳は大きく、企画構成費、原稿作成費、デザイン費、撮影費、印刷費の五つに分かれます。安く見える見積もりは、たいてい企画構成費と原稿作成費が入っていません。
その二つが抜けているとどうなるか。原稿は発注側が用意することになります。そしてここが、制作全体でもっとも時間を吸い取る工程です。
実際に会社案内の制作に関わった担当者に負担の大きかった工程を尋ねると、約57%が各部署への情報収集と事実確認を挙げました。
会社案内の制作過程で負担が大きかった工程(複数回答)
▸ 各部署への情報収集と事実確認(数値・実績・拠点情報など)
▸ 掲載内容の取捨選択と構成(何を載せ、何を削るかの判断)
▸ 会社概要・代表メッセージ・事業紹介などの原稿作成
▸ 写真・図版・ロゴなど素材の準備と権利確認
▸ 経営層・役員の確認と承認の取りまとめ
YOSCAによる独自調査(2026年実施・会社案内の制作・改訂に関わった総務・広報・経営企画担当者90名)
見積もりに現れない工数が担当者を圧迫する
情報収集と事実確認、そして約41%が挙げた掲載内容の取捨選択。この二つは、どちらも見積書の項目には現れません。しかし実務では、ここに数十時間から100時間規模の工数が消えます。
各部署に数値の最新版を照会し、返ってこない部署に催促し、部署ごとに違う言い回しをそろえる。掲載枠は限られているので、ある部署の内容を削る判断も必要になります。この調整を通常業務と並行して行うため、制作は止まりやすくなります。
安い見積もりが結果的に高くつく仕組み
企画構成費と原稿作成費を含まない見積もりは、金額としては魅力的に見えます。ただ、抜けた工程は消えるわけではなく、発注側の担当者に移っているだけです。
40万円の見積もりに担当者の100時間が加われば、総額は決して安くありません。しかも通常業務を圧迫した分は、どこにも記録として残りません。
見積もりを比べるときは、金額の前に「原稿は誰が書くのか」「各部署への確認は誰が回すのか」の二点を確認してください。この二つの答えが違えば、同じ金額でも中身はまったく別のものです。
会社案内リニューアルを進める7つのステップ
手順を整理します。工程を飛ばしても冊子は完成しますが、飛ばした工程の負債は後から必ず表面化します。

ステップ1|誰に渡すのかを一つに絞る
最初に決めるのは、この会社案内をもっとも多く渡す相手です。新規商談の担当者なのか、中途採用の応募者なのか、金融機関なのか。すべてに使いたいという要望はよく出ますが、主たる読み手を一つ決めておかないと、あとの判断がすべて曖昧になります。
主たる読み手を決めても、他の場面で使えなくなるわけではありません。優先順位が決まるだけです。
ステップ2|今の会社案内が現場でどう使われているかを聞く
営業担当に、いま会社案内をどう使っているかを尋ねてください。渡すときにどのページを開いて説明しているか、どのページを飛ばしているか。この情報は、どんな企画書よりも確かな判断材料になります。
使われていないページは削る候補です。逆に、営業担当が毎回口頭で補っている内容は、新しい会社案内に載せるべき項目です。
ステップ3|掲載する情報を集めきってから構成に入る
各部署への照会は早く始めるほど楽になります。必要な数値、実績、写真素材を一覧にして依頼し、回収の期限を切ります。この段階で情報が集まっていないと、後半のスケジュールが崩れます。
照会の依頼文には、その情報がどのページのどこに使われるかを書き添えてください。用途がわかると、返答の精度が上がります。
ステップ4|ページ割りを決めて優先順位を可視化する
集めた情報をページに配分します。何ページ目に何を置き、何ページ使うか。ここで会社の優先順位が数字として現れます。
この段階で社内の合意を取っておくのが要点です。デザインが上がってから「うちの部署が小さい」という議論が始まると、やり直しの費用が発生します。
ステップ5|原稿を先に固める
デザインより先に原稿を確定させます。文字量が決まっていればデザイナーは実寸で組めますし、後から文字を削る作業も減ります。
代表メッセージや社員インタビューは、この段階で取材を行います。既存の文章の使い回しでは、新しい会社案内にはなりません。
ステップ6|デザインと撮影を進める
原稿とページ割りが固まってから、デザインに入ります。撮影が必要な場合は、この段階でどのページにどんな写真が要るかが決まっているため、撮影計画も立てやすくなります。
社屋、製造現場、働く社員の様子。ストックフォトで代用すると、その会社らしさは急速に薄まります。
ステップ7|校正と事実確認を分けて行う
誤字脱字のチェックと、数値や社名の事実確認は別の作業です。同時に見ようとすると、どちらも精度が落ちます。
数値は情報を出した部署に最終確認を戻してください。制作の途中で更新された数値が反映されないまま印刷に回る事故は、実際に起こります。
企画から納品までの期間は、取材や撮影を含む場合で3〜4か月が目安です。周年や展示会に合わせる場合は、そこから逆算して動き出す必要があります。
制作会社を選ぶときに見るべき点
会社案内の制作を請け負う会社は、大きく三つに分かれます。印刷会社、デザイン事務所、そして編集を軸にする制作会社です。
印刷会社は印刷単価に強みがあり、部数が多い場合は総額を抑えられます。デザイン事務所は視覚表現の質が高く、ブランドイメージの刷新を狙う場合に向いています。ただしどちらも、原稿は発注側で用意することを前提にした見積もりになっているケースが多くあります。
問い合わせの段階で確認したいのは三点です。取材から原稿作成まで請け負えるか、構成の提案を出してくれるか、各部署への照会をどこまで代行できるか。
実績を見るときは、完成した冊子の見た目だけでなく、その会社がどんな業種を扱ってきたかも確認してください。専門的な事業内容を、業界の外の人にわかる言葉に翻訳できるかどうかは、経験の蓄積に左右されます。
YOSCAでは、会社案内や周年記念誌の制作を、取材と原稿作成を含む形で承っています。何を載せるかの整理から入るため、社内の情報が散らばっている状態からでも進められます。
まとめ
会社案内が古びるのは、情報が変わるからではありません。前回のリニューアルで「何を、誰に、どの順番で伝えるか」を問い直さなかったからです。構成が古いまま新しい表紙をかぶせても、中身の賞味期限は延びません。
だからリニューアルは、デザインの検討ではなく読み手の特定から始めます。誰に渡すのかが決まれば、載せるべき情報と削るべき情報の線が引けます。その線が引けてから、はじめてページ割りとデザインの話に進めます。
多くの会社がこの順番を逆にしてしまう理由は、デザインが目に見える点にあります。構成や原稿の議論は成果物が見えにくく、社内で「進んでいる感」を出しにくくなります。しかし進捗が見えやすい工程から始めると、見えにくい工程が後回しになり、最後に担当者へまとめて押し寄せてしまいます。
手元の会社案内を開いて、営業担当が毎回開くページと、一度も開かないページを分けてみてください。それだけでも、削るべきページと新しく取材すべきテーマが具体的に見えてきます。
会社案内のリニューアルにおけるよくある質問
Q.会社案内は何年ごとに作り直すのが適切ですか
A. 一般的な目安は3〜5年です。ただし年数より、書かれている内容と会社の実態がずれているかどうかで判断してください。事業構成が変わった、主力サービスが入れ替わった、拠点や役員が変わったといった変化があれば、年数にかかわらず見直しの時期です。
Q.デザインだけを新しくして原稿は流用してもよいですか
A. 事業内容や強みが前回と変わっていなければ、部分的な流用は可能です。ただし会社概要の数値、拠点一覧、沿革は必ず最新版に差し替えてください。事業が変化している場合は、ページ割りから見直さないと同じ問題が残ります。
Q.原稿は自社で書くべきでしょうか
A. 自社で書けば費用は抑えられますが、通常業務と並行して進めるため制作が長期化しやすくなります。社内の事情に詳しい担当者が情報提供に徹し、文章化と構成は外部に任せる分担も選択肢です。第三者が書くことで、社内では当たり前になっている強みが言語化される利点もあります。
Q.ページ数はどのくらいが適切ですか
A. 8〜16ページが一般的です。事業数が多い会社や採用でも使う場合は16ページ以上になることもあります。ページを増やすほど印刷費と制作費は上がるため、載せたい情報から決めるのではなく、渡す場面で読んでもらえる時間から逆算して決めるのが現実的です。
Q.制作期間はどのくらい見ておけばよいですか
A. 取材や撮影を含む場合で3〜4か月が目安です。既存原稿の更新が中心であれば1か月半〜2か月で仕上がることもあります。社内の確認や承認に想定以上の時間がかかるケースが多いため、余裕を持って逆算してください。


