「介護現場にこそテキスト研修を」安心安全な介護と業務効率化に役立つ文章スキルの重要性(社会医療法人山紀会様)
大阪市南部、西成区に本部を構える社会医療法人山紀会様。急性期・慢性期の2つの病院と4つの介護老人保健施設等の運営を通じ、長年にわたり地域の保健・医療・福祉に貢献してきました。
今回、同法人では介護施設の職員を対象に「ビジネスメール・チャット添削研修」を実施。介護の現場では対面によるコミュニケーションが中心ですが、シフト勤務が基本のため、申し送りや報告書など文面による情報共有も重要です。とりわけ事故報告書は、情報の記録と再発防止の観点からも、正確に状況を描写する文章力が必要とされます。
利用者の安全と業務効率化、どちらも必要とされる現場において「日々、部下との文章のやり取りに課題を感じていた」と語る、やまき・あべの苑介護科長の山内裕子さん。今回は、研修を導入した背景や、研修後の現場の変化についてお話を伺いました。
介護現場の隠れた悩み:テキストコミュニケーションの壁
ーーどのようなきっかけで研修を受けようと思われたのですか?
きっかけは、SNSで見かけたとある書籍の広告でした。書籍のタイトルは『部下のメール・チャットが読みづらい!と感じたときに読む本』(著者は当研修開発者の伊藤謙三)というもの。このタイトルは、まさに私たちが抱えている課題そのものでした。そして当書籍を読む流れで「ビジネスメール・チャット添削研修」の存在を知り、受講を考えたんです。
私たちの仕事においては、対面によるコミュニケーションが重要なのは言うまでもありません。一方で、勤務交代の際の申し送りや事故報告書など、文字ベースで情報を共有する機会も多く、文章でのやり取りの難しさを感じていました。
ーー具体的にはどのような課題があったのでしょうか?
職員の書いているチャットや報告書などを読むとき、意図を理解するのに時間がかかることが多くて…文面をさっと読んだだけでは情報が足りず、想像したり、深読みしたりする必要がありました。
本当は直接会って話をできればいいのですが、シフト制の勤務のため、人によっては2週間近くも顔を合わせないこともあります。土日などは職員が少なく、文章による情報共有がさらに増えます。事故報告書も週に5〜6件、多いときには1日に3件くらいあり、作成する人によって文面のばらつきも大きかったんです。
最初は、研修のタイトルから「一般企業向けでは?」と、介護現場に適しているかどうか半信半疑でした。この件についてオンラインで相談してみたところ、課題を抱えている「事故報告書」に合わせて研修内容もカスタマイズしてもらえると知り、受講を決めました。オンライン研修も可能だったため、職員がそれぞれの施設で受講できたのも良かったです。
カスタマイズされたカリキュラムで学びが着実に定着
ーー実際に研修を受けてみていかがでしたか?
「3時間は長いのでは」と思っていましたが、講義→ワーク→フィードバックとテンポよく進み、あっという間に感じました。スライドはシンプルでわかりやすく、講師の解説を聞きながら要点をメモすることで、事前に資料を配布される研修よりも集中して取り組めたと思います。
ーー講義やワークの難易度はいかがでしたか?
難しすぎず易しすぎず、ちょうど良いレベルでした。ワークでは自分の書き留めたメモをもとに講義を思い出しながら取り組めたので、しっかり実践に落とし込めたと感じています。
課題としていた事故報告書もワークに取り入れていただきました。文章作成のポイントを学んだあと、事故の様子を描いたイラストを見ながら、各自が「事故内容の詳細」の文章を作成しました。それをもとに、研修のスタッフの方がChatGPTを使って、事故シーンのイラストを生成してくださったんです。課題のイラストと見比べることで、事故の描写が正確にできているかを視覚的に確認できて良かったです。

ChatGPTで生成した事故現場のイメージ
ーーグループワークではとても活発に議論されていましたね。
受講したメンバーは普段から顔を合わせているので、意見を言い合える関係性がすでにあり、グループワークがスムーズに進んだのではないでしょうか。誰かが聞き漏らしていた部分を他の人がフォローする形で、協力しあってひとつの回答を作成できました。
ーー当研修は個別の添削も特徴のひとつです。実際に文章の添削を受けられてみていかがでしたか?
自分の文章の良い点を具体的に褒めてもらえたことが、大きな自信になりました。役職につくと、部下を評価する機会はあっても、自分が褒められる機会は少ないんです。その経験から、部下へフィードバックするときにも、同じように具体的なポイントを伝えるようになりました。
添削を受けた他の職員も「具体的にコメントをもらえて、何を実践すべきかが明確になった」と喜んでいます。

添削指導の例
「部下のメールが変わった!」職員の自信と意識に変化
ーー研修後はどのような変化がありましたか?
研修で学んだ「要点から書く」を、徹底するようになりました。メールの件名も、メッセージの目的を意識し、伝わりやすいように工夫をしています。メッセージの改行や余白も意識するようになり、文章の読みやすさが格段に向上したと思います。
ーー研修で学んだことを職員の方に共有する機会はありましたか?
部下がまとめていた他の研修の報告書を見る機会がありました。一読したところ読みやすい文章ではなかったので、研修で学んだ【目的・結論・補足情報】を整理する方法を教えました。
ーー受講された他の職員の方はいかがですか?
「日々、学んだことを意識しながら文章を書いている」と報告を受けています。実際、その職員から送られてくるメッセージは、研修の内容がちゃんと反映されて読みやすくなっていました。「プライベートで使うLINEでも伝わりやすさを考えている」と聞いて、文章に対する意識そのものが大きく変化していることに驚きました。
別の職員は「文章が苦手だったのではなく、文章の書き方を学ぶ機会がなかっただけ」と気付いたと話していました。文章に自信が持てることで、役職者とも積極的にコミュニケーションを取れるようになってきています。研修を通じて得た「やればできる」経験が、仕事への自信につながったと大変嬉しく思っています。
業務効率化が求められる介護現場にこそ「文章力」を
ーー今後研修受講を検討している方へのメッセージをお願いします。
文章やコミュニケーションの研修は、一般の企業だけでなく、私たちのような介護の現場こそ必要だと思います。
高齢化社会が進み、介護職の人材不足が深刻化する中で、介護現場では限られた人員で業務をいかに円滑に回すかが課題となっています。介護業界のIT化はまだまだ遅れていますが、業務効率化のために情報を管理するシステムを導入している施設も多いでしょう。しかし、生産性を上げるには、しくみを変えるだけでは不十分です。そこでやり取りされている情報、つまり「文章」をいかに効率よく作るかがカギになってくると思います。
介護業界では専門知識の研修やリーダーシップ研修などがよく実施されていますが、文章について学ぶ機会はほとんどありません。今回研修を受けてみて、文章スキルを根本から学ぶことが、生産性の向上につながると実感しました。一般企業の方はもちろん、私たちの業界の方にこそ、この研修を強くおすすめしたいと思います。


