ビジネスメールの書き出しマナー&ケース別の例文
( 最終更新日:2024年9月2日)
メールやチャットなどの文字によるやりとり、いわゆる「テキストコミュニケーション」は社会人にとって欠かせないものです。取引先やお客様、また社員同士の連絡手段として日常的に使っているものの、実はあらためてマナーを学ぶ機会は少ないのではないでしょうか。
弊社で実施したビジネスメール・チャットに関する実態調査によると、「メール・チャットの書き方はどのようにして身につけましたか?」という質問に対して「上司・先輩から教わった」という方は35.3%、「何もしていない/自然と身についた」という方は31.3%でした。
また「上司・先輩から教わった」という方に対して「教わる際にストレスを感じたことはありますか」と尋ねたところ、64.6%の方が指導内容に不満を持っているという結果になりました。主な要因として、指導・指摘内容が曖昧であることが挙げられています。
ビジネスシーンでのメールのやり取りは、堅苦しくて苦手と感じる方もいるかもしれません。しかし、ビジネスメールには共通の型やルールがあるため、きちんと理解しておけばあらゆる場面で活用できるようになります。相手との円滑なコミュニケーションができれば、仕事の効率化にも直結することでしょう。
今回は、ビジネスメールの型と、すぐに使える書き出しの例文とマナーをお伝えします。メールの書き方に迷ったときには、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ビジネスメールの基本構成
ビジネスメールは「1.件名」~「8.署名」で構成されています。一般的に、その中の「1.件名」~「5.要点」までが「書き出し」といわれる部分です。それぞれの書き方とポイントを解説していきます。
1.件名
受け取った相手が、一目で内容や用件がわかるようにしましょう。「情報を共有します」「資料を送付します」といった要点はもちろん、約束の日付や案件名なども記載され、開封前におおよその情報を把握できる状態が理想です。
反対に「いつもお世話になっております」「株式会社YOSCAの△△でございます」「先日はありがとうございました」など、内容が予測できない件名は避けた方がよいでしょう。
2.宛名
会社名、部署名、役職名、氏名の順に、改行しながら記載します。
社内宛の場合は、もちろん会社名は不要です。社内メールでの部署名や役職名の書き方は、会社独自のルールが存在する場合もあるため、事前の確認をおすすめします。
3.挨拶
社外の方には「いつもお世話になっております」、社内には「お疲れさまです」が基本です。まずは、この2つを覚えておきましょう。さらに、メールの用件によって文面を使い分けるとスマートな印象です。詳しくは、シチュエーション別の例文でお伝えします。
4.自己紹介
初めてメールを送る相手でなくても、毎回「株式会社YOSCAの△△です」と、名乗りましょう。社内宛のメールでも「〇〇部の△△です」といった自己紹介をするのが一般的です。
5.メールの要点
このメールで、最も伝えたい内容を要約して書きましょう。要点が明確に伝われば、受け取った相手は「こういう目的でメールを送ってきたのだな」と素早く理解でき、メールを読み進めやすくなります。
6.本文詳細/補足情報
「要点」を補足するために必要な情報を書きます。ここでは、あれもこれもと情報を詰め込み、つい長々と書いてしまいがちなので要注意です。一文ごとに情報を簡潔にまとめる、箇条書きにするなど、相手が理解しやすいような構成を心がけましょう。
7.締めの挨拶
本題のみで文章を終えてしまうと、相手に高圧的、あるいは素っ気ない印象を与えかねません。「ご多用のところ恐れ入ります」「ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます」「ご検討いただきますよう、お願い申し上げます」「今後ともよろしくお願いいたします」など、内容に応じた締めの挨拶を必ず書き添えましょう。
8.署名
会社名、部署名、氏名、さらに住所や電話番号などをまとめた署名を付けるのが一般的です。メールソフトで自動表示設定ができる場合が多いので、ぜひ活用してください。
シチュエーション別:書き出しの例文(宛名~自己紹介)
ビジネスメールの書き出しの例を、シチュエーション別にご紹介します。メールを送る状況に応じて臨機応変に使い分けられるように、それぞれのケースを知っておきましょう。
上司・同僚へ送る場合
宛名
社内であっても、宛先の氏名は必ず書きます。部署名や役職名、敬称の使い方(様、さん)は自社のルールに従いましょう。
挨拶
社内であれば、相手の年次にかかわらず「お疲れさまです」を使うのが一般的です。午前中や始業すぐのタイミングには「おはようございます」を使うケースもあります。宛先と同様、社内の独自ルールもありますので、上司や先輩のメールを参考にしてみてください。
例)
〇〇課 〇〇さん
お疲れさまです。
△△課の△△です。
社外の方へ送る場合
宛名
会社名、部署名、役職名、氏名を、改行しながらバランスよく配置します。
先方の会社名や部署名は略さず、必ず正式名称を確認して書きましょう。たとえば、株式会社を(株)と略して書くのは失礼にあたります。「株式会社」が社名の前につくか、後ろにつくかも間違えやすいので注意が必要です。これは、郵送物や領収書の宛名を書くときも同様ですので、客先に発信する文書は必ずダブルチェックをしましょう。
役職名は名刺などの表記と同じく、必ず氏名の前に記載します。この書き方はどのような高い役職であっても有効なので、例えば「代表取締役社長 〇〇様」という使い方もできます。「〇〇部長様」というような、役職に「様」を付ける書き方は適切ではありません。
挨拶
「いつもお世話になっております」がもっとも一般的な挨拶です。「平素より大変お世話になっております」は、通常よりもかしこまった印象になるため、送信相手や内容など、状況に応じて使い分けるようにしましょう。
〇〇株式会社
〇〇様
いつもお世話になっております、〇〇社の△△でございます。
初めての相手へ送る場合
挨拶
初めての相手に対しては「いつもお世話になっております」という挨拶は不適切です。ご連絡が初めてであると伝えた上で、ご連絡にいたった経緯の説明をしておくとよいでしょう。
はじめまして、〇〇社の△△と申します。
弊社〇〇の代理でご連絡いたしました。
先日お問合せいただいた〇〇の件、担当である私から詳細をお伝えいたします。
久しぶりに連絡する場合
挨拶
通常よりも連絡の間隔が空いているときや、しばらく連絡や訪問をしていなかった相手にメールを送るときには、お詫び、あるいは相手への気遣いの気持ちを添えるとよいでしょう。一般的に使われる「お久しぶりです」という挨拶は、ビジネスメールとしてはやや軽いニュアンスに受け取られます。相手との関係性にもよりますが、通常は「ご無沙汰しております」を使っておく方が確実です。
〇〇株式会社
〇〇様
ご無沙汰しております、昨年□□のプロジェクトでお世話になりました、〇〇社の△△です。
その後、□□の状況はいかがでしょうか。
一般のお客様へ送る場
挨拶
自社の商品・サービスを利用してくださるお客様へのメールは、用件に関わらず、まずは利用のお礼や感謝の気持ちから伝えます。会社の代表として丁寧に対応するのは当然ですが、会社同士のやり取りよりもやや柔らかい言葉づかいで、相手の心情に寄り添った文章を心掛けましょう。
〇〇様
昨日は「〇〇屋 〇〇店」にご来店いただき、誠にありがとうございました。
〇〇店 マネージャーの〇〇と申します。
お買い上げいただいた〇〇の調子はいかがでしょうか。
お困りのことがありましたら、何なりと当店までお問合せくださいませ。
目的別:要点を伝える例文
報告
・進行中の〇〇プロジェクトの件で、ご報告です。
・お問合せいただいた□□の件、メーカーに確認が取れましたのでご報告いたします。
連絡
・来月の社内イベントに関してご連絡いたします。
・本日発生しているシステムエラーに関する対処法のご連絡です。
相談
・A社に提案予定の見積もり金額についてご相談です。
・次回の面談スケジュールについて、ご相談があります。
確認・質問
・先日ご提案いただいた資料の件で、2点お尋ねいたします。
・先日お送りしたデザイン案ですが、ご感想はいかがでしょうか。
依頼・お願い
・合同ミーティングの件、〇月〇日(月)でご調整いただいてもよろしいでしょうか。
・新規プロジェクトの件、スケジュール案と見積の作成をお願いしたく存じます。
催促
・先日お願している〇〇の作成ですが、進捗はいかがでしょうか。
・〇日に納品いただく予定の△△が、まだ届いておりません。恐れ入りますが、状況の確認をお願いできますでしょうか。
謝罪
・先ほどお送りしたデータの一部に誤りがございました。確認不足で大変申し訳ございません。
・弊社窓口対応の不備により、〇〇様に大変ご不便をおかけいたしました。誠に申し訳ございません。
まとめ
ビジネスメールは、基本構成をしっかり理解したうえで、要点を正しく伝えることが重要です。そのために必要なのが「情報の要約力」です。今回お伝えした、メールの書き出し部分はもちろんですが、メール本題を書くときには更なる要約力、要点をまとめるスキルが求められます。
YOSCAの提供する「ビジネスメール・チャット添削研修」は、ビジネスメールやチャットの書き方を体系的に学べる、企業向けのプログラムです。ワークを中心とした実践的な講座で、テキストコミュニケーションのポイントを学べます。社員のビジネスメールをレベルアップさせたい、もっとテキストコミュニケーションを効率化したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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