【例文あり】部下のメールスキルを上げる指導法とは?添削のコツからNG例まで徹底解説
( 最終更新日:2026年1月7日)
「良かれと思って指導したのに、部下が萎縮してしまった…」
「毎回同じようなミスをする部下に、どう指導すれば響くのかわからない…」
部下や後輩のメール指導において、このような悩みを抱える管理職や先輩社員の方は多いのではないでしょうか。単に文章の誤りをあげつらうだけの「ダメ出し」にも似た添削は、部下のやる気を削ぎ、思考停止を招くことさえあります。
この記事では、ビジネスメール・チャット関連の書籍執筆経験を持つ筆者の知見に基づき、単なる文章修正で終わらない、部下の思考力を養い、信頼関係を築く「指導」としてのメール添削術を解説します。

目次
指導の際に持つべき3つのマインドセット
効果的な添削は、文章を修正するテクニックの前に、指導者自身の「心構え」が最も重要です。まず、以下の3つのマインドセットを意識しましょう。
減点法ではなく「加点法」で見る
指摘したい点ばかりが目につくものですが、まずは「できている部分」を見つけて具体的に褒めることから始めましょう。
「件名が分かりやすいね」「結論から書けているのが良い」など、最初にポジティブなフィードバックをすることで、部下は安心して指摘を受け入れる心理状態になります。完璧なメールを目指すのではなく、以前より少しでも良くなった点を見つけて認める「加点法」が、成長を促す土台となります。
「正しさ」よりも「目的」を共有する
敬語の間違いや表現の細部を指摘する前に、「このメールで何を達成したいのか」というゴールを部下と共有しましょう。
「このメールの目的は、相手に快く日程調整してもらうことだよね。そのためには、どういう表現がいいと思う?」というように、目的から逆算して考える視点を与えることが重要です。文章の「正しさ」だけを追求するのではなく、目的達成のために最適なコミュニケーションは何かを共に考えるパートナーとしてのスタンスが、部下の思考力を育てます。
ティーチングではなく「コーチング」を意識する
すぐに正解を教える(ティーチング)のではなく、問いかけによって相手に考えさせる(コーチング)ことを意識しましょう。
「もっと良い表現はないかな?」「相手はどう思うだろう?」と問いかけることで、部下は自分自身で課題を発見し、解決策を考えるようになります。答えを与えるのは簡単ですが、それでは応用力が身につきません。部下自身に「気づき」を与えることが、持続的なスキル向上につながるのです。
効果的なメール添削の4ステップ
全体構造から指摘する
誤字脱字といった細部から指摘すると、話が発散し、最も重要な点が伝わりにくくなります。まずは、ビジネスメールの基本となる「型」、つまり全体構造から確認しましょう。
- 一目見て内容が分かる件名になっているか?
- 本文は結論から書かれているか?
- 挨拶、署名などの基本構成が守られているか? など
文章の骨格がしっかりしていれば、コミュニケーションの齟齬は大幅に減らせます。
「なぜ修正が必要か」という理由を伝える
修正点を指摘する際は、必ずその「理由」をセットで伝えましょう。
NG例)
この表現はイマイチだから書き直して。
OK例)
この表現だと相手に少しきつい印象を与えるかもしれないから、「〜していただけますでしょうか」のように、クッション言葉を入れるといいね。より丁寧な印象になって相手も気持ちよく対応してくれるよ。
「なぜ修正するのか」「修正するとどんないいことがあるのか」を伝えることで、部下は修正の意図を理解し、次回以降のメール作成に活かすことができます。
改善案は「選択肢」で提示する
正解を一つだけ提示するのではなく、いくつかの改善案を示し、部下自身に選ばせるアプローチも有効です。
OK例)
結びの言葉だけど、A案の「よろしくお願いいたします」と、B案の「今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます」、この相手ならどっちがより適切だと思う?
このように、複数の選択肢から選ばせることで、部下は表現のニュアンスの違いを学び、状況に応じて使い分ける判断力が養われます。
対面での指導も活用する(ハイブリッド添削)
テキストだけの指摘は、どうしても冷たい印象や厳しいニュアンスで伝わりがちです。特に大幅な修正が必要な場合や、部下が落ち込んでいる様子が見られる場合は、メールやコメント機能だけでなく、対面や短いチャットでのフォローを組み合わせましょう。
「さっきのメールの件、5分だけいいかな?」と口頭で意図を補足するだけで、誤解を防ぎ、心理的なサポートにもなります。
【実践例】メール添削ビフォーアフター
ここでは具体的なシーン別に、添削のビフォーアフターと指導ポイントを見ていきましょう。
ケース1:社外へのアポイント依頼メール
ビフォー
件名:アポイントのお願い
株式会社〇〇 営業部
〇〇様いつもお世話になっております。
株式会社△△の鈴木です。以前お話しされていた件で、一度お打ち合わせをさせていただきたくご連絡いたしました。
つきましては、来週あたりでお時間をいただくことは可能でしょうか。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
アフター
件名:新サービス〇〇のご提案に関するお打ち合わせのお願い(株式会社△△ 鈴木)
株式会社〇〇 営業部
〇〇様いつもお世話になっております。
株式会社△△の鈴木です。先日は、貴社メディアにてご紹介いただいた新サービス「〇〇」について、詳細なご提案の機会を頂戴したく、ご連絡いたしました。
貴社のマーケティング課題解決の一助となるかと存じます。
つきましては、下記日程のうち、〇〇様のご都合の良い日時をいくつかお教えいただけますでしょうか。<候補日時>
・8月26日(月)13:00〜16:00
・8月27日(火)終日
・8月28日(水)10:00〜15:00上記日程でのご調整が難しい場合は、〇〇様のご都合をいくつかお聞かせいただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
指導ポイント
- 件名を分かりやすく
- 「誰から」「何の要件か」が一目でわかるように具体的に指導する。
- 目的やメリットを伝える
- なぜ打ち合わせをしたいのか、相手にとってどんなメリットがあるのかを最初に提示するよう指導する。
- 日程提示は具体的に
- 「来週あたり」といった曖昧な聞き方ではなく、具体的な候補を複数提示し、相手が返信しやすいように配慮する「想像力」の重要性を伝える。
ケース2:お客様へのお詫びメール
ビフォー
件名:納品遅延について
株式会社〇〇 営業部
〇〇様いつもお世話になっております。
申し訳ございません。ご注文いただいた商品ですが、現在、配送業者のシステムトラブルにより、お届けに遅れが生じております。復旧の目処が立ち次第、改めてご連絡させていただきます。
ご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。
アフター
件名:【重要】商品お届け遅延のお詫び(ご注文番号:12345)
株式会社〇〇 営業部
〇〇様いつもお世話になっております。
株式会社△△の鈴木です。この度は、ご注文いただきました商品(ご注文番号:12345)のお届けに大幅な遅れが生じておりますこと、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません。
現在、配送システムの障害により、本日8月22日(金)にお届け予定でした商品が、最短で8月25日(月)のお届けとなる見込みでございます。原因究明と復旧を最優先で進めております。今後の進捗につきましては、明日8月23日(土)の午前中までに、改めてご報告させていただきます。
多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、重ねて深くお詫び申し上げます。
指導ポイント
- 謝罪の意図を明確に
- まずは結論として、何に対して謝罪しているのかを明確にし、誠心誠意お詫びの言葉を伝えることの重要性を教える。
- 状況を具体的に書く
- 「なぜ遅れているのか」「いつ届くのか」という相手が最も知りたい情報を具体的に記載するよう指導する。
- 今後の対応を伝える
- 「連絡します」だけでなく、「いつまでに、何を連絡するのか」を明記することで、相手の不安を少しでも和らげる姿勢を教える。
- 言い訳がましくならないよう、事実と対策を淡々と、しかし誠実に伝えることが重要。
メール添削で絶対にやってはいけないNG行動
最後に、指導者が陥りがちな「やってはいけないNG行動」を5つ紹介します。これらは部下のモチベーションを著しく低下させ、信頼関係を損なう原因となります。
全文を真っ赤に書き直して渡す
部下は修正箇所を思考停止で受け入れるだけになり、成長の機会を奪います。
関係者が見ている前で指摘する
公開処刑であり、部下のプライドを深く傷つけます。指導は必ず1対1の場で行いましょう。
感情的に「なぜできないんだ」と人格を否定する
指導の目的は、ミスの追及ではなく改善です。感情的な言葉は百害あって一利なしです。
「てにをは」など、本質的でない重箱の隅をつつく修正に終始する
まずはメールの目的が達成できるかという本質的な視点で添削しましょう。細かすぎる指摘は、部下を萎縮させるだけです。
深夜や休日に添削結果を送る
部下に不要なプレッシャーを与え、プライベートな時間を侵害します。添削は勤務時間内に行うのが鉄則です。
まとめ:メール添削は人材への「投資」である
メール添削は、単なる文章チェックという「作業」ではありません。部下の思考のクセを理解し、ロジカルシンキングや顧客視点を育む絶好のコミュニケーション機会であり、未来のチームを支える人材への投資です。
今回ご紹介したマインドセットやステップを実践することで、あなたのフィードバックは部下の心に響き、確かな成長へとつながるはずです。そして、部下に教えるという経験は、あなた自身のマネジメント能力を向上させ、指導者としての成長にもつながるでしょう。
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