企業出版/カスタム出版とは?メリットや費用、出版までの流れを解説
( 最終更新日:2024年6月14日)
企業のマーケティング施策として、高い効果を得られると注目されている「企業出版(カスタム出版)」。自社の製品やサービスのプロモーションによる集客アップ、販売促進やブランディングによる人材採用などを目的とする、書籍を使ったマーケティング手法です。
大きな事業効果を見込める企業出版ですが、書籍を作るまでに多くの工程があり、また、ただ書籍を出版するだけでは十分な効果が得られないため、しっかりと手法を理解したうえで戦略を練って臨む必要があるでしょう。
そこで、本記事では、企業出版における出版までの流れや、メリット/デメリット、費用相場について解説します。
・自社のマーケティング施策に課題を抱えている
・質の高い顧客を集客したい
・企業出版にどのくらいの費用や手間がかかるのか知りたい
このようなお悩みを抱えている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
企業出版とは?
まずは企業出版(カスタム出版)の概要について紹介します。
企業出版とはいったいどのような出版方法なのか、どれくらいの費用がかかるのか、どのような企業に向いているのか。また、書籍を広告媒体として捉えたとき、テレビCMや新聞広告、Web広告といったほかの広告媒体となにが違うのでしょうか。これらの疑問を解消していきましょう。
企業出版の概要
企業出版とは、企業や法人が抱える多様な経営課題(主に集客、人材不足、人材育成、顧客ロイヤリティ向上、従業員のエンゲージメント向上など)の解決を目的とした出版形態です。特に、商品やサービスのプロモーションを目的としたマーケティング手法として効果が高いことで注目されています。
企業の目的に合わせて書籍の内容をカスタマイズしていくという意味合いから、カスタム出版や、ブランディング出版とも呼ばれます。
「本を売る」「本を出す」ことを目的とした従来の商業出版や自費出版という出版形態があるなかで、企業出版は「出版後の事業効果」に狙いを絞っていることが大きなポイントになります。(※各出版形態の違いについては後述いたします。)
企業出版では、本を出版するために企業側がお金を負担します。その点では自費出版と同様です。しかし、企業出版は出版することが目的ではなく、本を使ったマーケティング、ブランディングが目的のため、全国の書店に流通させないケースもあります。
企業出版の費用相場
企業出版の費用相場は200〜1,000万円ほどです。幅があるのは、出版する本のサイズやページ数、ブックデザイン、電子書籍の制作、印刷部数のほか、出版社のサポート内容、書籍の流通やプロモーションにおける費用がかかってくるためです。オプションとして、広告媒体への掲載や広告運用などを提供している出版社もあります。
出版社のサポート内容については、企画から細かくアドバイスしてくれて、執筆もライターを用意してくれるところもあれば、簡単なディレクションだけで、原稿は自社で用意する必要がある場合など大きく異なります。また、傾向としては知名度が高い出版社ほど金額が高くなります。
あくまで一例ですが、中小出版社に依頼した場合の費用見積もりとして以下を参考にしてみてください。
【本の仕様】
・本のサイズ:四六判(縦177mm × 横127mm)
・製本:ソフトカバー(表紙が柔らかい紙)
・ページ数:200ページ
【印刷】
・印刷部数:3000部
・カラー:(フルカラー)カバー帯/(モノクロ)本文
【制作見積もり】
・4,100,000円
(内訳)
┣企画、編集、取材、執筆:1,800,000円
┣デザイン/DTP(印刷用のデータ作成):600,000円
┣校正:400,000円
┣印刷:800,000円
┗流通・プロモーション(プレスリリース/媒体営業):500,000円
高額な投資になるため、費用に見合った利益を出すことができるのか、事前によく検討する必要があります。
また、部数やサービス内容、出版社によって費用が大幅に上下しますが、見積もりを取る際は、料金の安さだけに注目してはいけません。
- 企画から制作までのサポート体制は万全か
- 出版後のサポートはどの程度見込めるか
- 流通体制はどのようなものか
これらの条件と見積もり費用を照らし合わせて出版社を検討するのがよいでしょう。
企業出版の費用対効果
企業出版の費用対効果は、販促したい商品やサービスの形態、料金によって大きく異なります。以下では、架空のサービスを例にシミュレーションいたします。
■施策状況/データ
・販売する商品:10万円の英語学習教材サービス(買い切り型サービス)
・書籍作成にかかる費用:5000部印刷、500万円(1冊あたり1,000円)
・書籍無料配布のWeb広告施策による一人当たり見込み顧客獲得費用:300円/人
・書籍の梱包・配送費用:200円/冊
・見込み顧客の販売商品購入率(転換率):5%
■費用対効果
・1顧客獲得単価:(1,000(円/冊)+ 300(円/人)+ 200(円/冊))÷ 5% = 3万円
・ROAS(広告費用回収率)=10万円 ÷ 3万円 x 100 = 333%
上記はあくまで簡易の計算となりますが、3万円かけて10万円の教材を1つ購入してもらうというシミュレーションとなります。この数値が割に合うかは、教材の原価によっても判断が変わってくるでしょう。
このように販売したい商品単価、ライフタイムバリュー、転換率、書籍作成にかかる費用などによって大きく費用対効果は変わるので、ご自身のサービス、商品に合わせて計算してみてください。
企業出版は経営者におすすめ
さまざまなプロモーション手段があるなかで、企業出版は経営者におすすめの手法です。経営者が著者になると、以下のような3つのメリットがあります。
信頼性・権威性の獲得
出版物は、他のテキスト制作物と比較して制作工程が多く、特に、校正/校閲のチェックが何度もあるため、信頼性が高い媒体です。「紙の本だから信頼できる」と思う人も多いのではないでしょうか。出版すると、「先生」と呼ばれることは珍しくありません。
大日本印刷株式会社が運営するWeb書店hontoが実施した「ビジネス書」に関するアンケート調査では、「業務上、必要な知識を得るうえで重視している情報源」として本(書籍、雑誌)が77%と圧倒的な信頼度を獲得していることが伺えます。
(出典:https://honto.jp/article/osusume-biz.html)
そして、そんな書籍を出版している経営者は、信頼のおける著者として認知されやすいです。「書籍を出している著者=専門家」といったふうに、その道のプロとしての権威性も獲得できます。
本を出すなら、自身で費用を負担して出版するのではなく商業出版の方がよいと思う方もいるかもしれません。しかし、後述するとおり、商業出版は出版までのハードルが非常に高く、また、出版社の意向が強いため自分の意見を本に反映できない可能性が高いです。一方の企業出版では自身の魅力が詰まった一冊がつくれるため、信頼性や権威性を十分に得られます。
認知度が向上する
一般的に経営者の名前よりも会社の名前の方が認知度は高いです。しかし、出版することで、著者として経営者個人の名前の認知度が上がります。
また、書籍は一冊でかなりの情報量がある媒体のため、経営者のビジョンや経営に対する想いを伝えるツールとして有効です。つまり、ただ経営者の認知度が向上するわけではなく、どのような人柄なのか、どういう想いで事業に取り組んでいるのかといったこともセットで認知度を上げることができるため、ファンが増えていくことにも繋がります。これによって人材採用がしやすくなるといったメリットも生まれます。
インナーブランディングの効果がある
書籍の制作過程では、自社の強みや事業内容について細かく言語化する作業が発生します。そのため、あらためて自社の魅力を棚卸し、再認識できる機会となります。また、自分では思ってもいなかった新たな魅力を見つけることができるかもしれません。こうした魅力を書籍に盛り込むことで、その本を読んだ従業員の会社で働くモチベーション向上や経営理念の浸透などといったインナーブランディングも期待できます。
企業出版と自費出版、商業出版の違い
本を出すための方法として、「自費出版」や「商業出版」もあります。それらと企業出版はどのような違いがあるのか説明していきましょう。
企業出版と自費出版の違い
自費出版とは、企業出版と同様、「著者側が費用を全額負担して本をつくる出版形態」です。
出版までの流れは、著者から持ち込まれた原稿を編集者が本の体裁に整え、校正ののち出版となります。企業出版と異なり、編集者と相談して企画立案をしたり、ライターが執筆したり、出版後のプロモーション施策を考えたりすることは基本的にないため、自社の課題解決を第一に突き詰めて考えた一冊にはなりにくいでしょう。
また、自費出版は、費用面さえクリアできれば誰でも出版できるというわけではありません。出版社の元から出す書籍となるため、著者が伝えたいことをそのまま発信できるわけではなく、校正段階でカットされる場合もございます。
また、負担する費用にもよりますが、出版部数は数十冊〜200冊程度の少部数が一般的です。書店に流通させるのも難しく、そもそも大型書店には流通しなかったりするため、読者に適切に届かない可能性は高いです。書店に流通しているといっても、実際にはすぐに書店から返本されているケースも多いです。自費出版は、あくまでも「本として形に残すこと」をメインとした出版になります。
企業出版の場合は、自費出版より発行部数は多くなります。また、書店に並びやすいテーマに調整していくことができるので、書店での流通を狙うことも可能です。企業出版は書籍を売ることが直接的な目的ではないため、書店に流通させることにそこまで重きは置きませんが、流通させることも施策の一つとして選択できることはメリットです。
企業出版と商業出版の違い
商業出版とは、「出版にかかる費用を出版社が全額負担して本をつくる出版形態」です。
費用ゼロで本がつくれるため魅力に思うかもしれませんが、テーマがニッチで売れなそうだったら出せない、流行りじゃないから出せないなど、出版までのハードルは高いです。
また、制作において大きな注意点があります。それは、本の売上を第一につくられるため、内容や宣伝方法などにおいて出版社の意向が強く、自分たちの考えが反映されないかもしれないという点です。また、当初の企画と大幅に内容が変わったり、企画次第では自社の魅力を存分に伝えられなかったり、最悪のケースでは出版社の都合で出版の話自体がなくなったりすることもあります。
負担する費用はゼロでも、労力に対して見合った効果が得られない可能性があるのが企業出版と大きく異なる点です。
企業出版のメリット
前述したとおり、企業の抱える課題を解決するためには、企業出版がもっとも適した出版形態だと言えます。次に、企業出版だからこそ得られるメリットについて解説していきます。
①質の高い顧客の獲得
企業出版の最大のメリットは、なんといっても質の高い顧客にダイレクトにアピールできることです。
読者は1,300〜1,500円をわざわざ支払って本を購入し、時間をかけて読むことになります。購入時にすでに書籍の内容に興味を持っていた読者が一冊読み終わる頃には、サービスや商品内容をしっかりと理解したうえで、問い合わせしたい、話を聞いてみたいと考えているはずです。いわば、企業の「ファン」になっているといっても過言ではありません。
また、くり返しになりますが、企業出版は経営課題を解決するためのマーケティング手法です。そのため、あえてタイトルや帯に「年収●●●●万円以上の人」や「●●業経営者のための~」といった対象読者を狭めるような単語を入れ、確実に狙った顧客に手に取ってもらうように仕向けることもできます。そういったタイトルのついた本は、長期間、書店でテーマごとに分けられた棚に並びやすいです。
テレビCMや新聞広告などといった不特定多数の人に短期間アピールする広告とは正反対で、長期間・狙った顧客に訴求できるでしょう。かぎりのある広告費の使い道として、マスに訴える広告媒体や闇雲な営業活動では得られない、質の高い顧客が獲得できる企業出版は、費用対効果を得やすいマーケティング手法として有効です。
②ブランディング
書籍はテレビCMや新聞広告などのほかの広告媒体と比べて、圧倒的な情報量を誇ります。つまり、商品のことだけではなく、企業活動の背景にある自社の理念までしっかりと伝えることができ、自社のブランディングまでできるプロモーション媒体なのです。
また、「書籍を出している企業」という信頼感や、「そのサービスの専門家なのでは」という権威性を醸成することもできます。
③営業ツール
本を一冊つくると、長期的にさまざまな場面で活用できます。
本一冊の情報量は、パンフレットなどの一般的な営業ツールよりもかなり濃い内容になります。顧客に配布することで、商談だけでは伝えられなかった企業やサービスの魅力をアピールし、自社への理解を深めてもらうことが可能です。商談だけではなく、セミナーなどで配布してもよいでしょう。
また、出版社との契約内容次第ですが、書籍の内容を抜粋してコラムとしてHPに掲載するなど、二次利用もできます。企業出版は、さまざまな場面で使えて、かつ質の高い営業ツールなのです。
④社員教育、採用ツール
本には企業理念について落とし込んで書かれているため、社歴の浅い社員に向けた社員教育の教材としても活用できます。
また、採用シーンでも、最終面接前の採用候補者に配布することで、自社への理解度を高めて志望度アップが狙えます。新卒採用であれば、親に向けても、「本を出している企業」という安心感を提供できることでしょう。
企業出版のデメリット
続いて、企業出版のデメリットについても見ていきましょう。
①情報のアップデートができない
書籍は印刷物のため、出版後は気軽に内容を変更することができません。そのため、こまめに情報が変わるものを取り扱うのはあまり向いていません。
なお、掲載している情報の一部を変更したい場合は、「改訂版」として出版することになります。この改訂版を出版する際には、あらためて書店や各媒体で大きく露出をすることで、書籍を使ったプロモーション施策をもう一度展開することも可能です。
②広く浅く訴求するのは難しい
企業出版の刊行部数は数千から多くて1万部程度です。テレビCMやWeb広告、新聞広告などと比べると、不特定多数への訴求は難しいでしょう。
ターゲットにピンポイントで訴求する媒体だと理解し、企画立案時に読者の絞り込みから念入りに行う必要があります。
③費用がかかる
前述のとおり、出版に際しては費用がかかります。
もし「新規顧客獲得」を目的に出版するのであれば、BtoB企業や顧客単価の高いサービスを提供する企業のほうが、企業出版の効果を感じやすいでしょう。本当に費用対効果が見込めるのか、事前に検討してから出版に臨みましょう。
本が出版されるまでの流れ
それでは、実際に企業出版で本が出版されるまでの流れを見ていきましょう。
①出版社へ相談→見積り
まずは企業出版を手がける出版社へ連絡し、見積もりを取るところからはじめます。同じ部数でも出版社によって価格は違うため、数社に見積もりを取ることをおすすめします。
また、出版社によってサービス内容や得意分野も異なるため、自分の目的をしっかりと整理してから話を聞きにいくとよいでしょう。
②企画立案
出版社が決まり、契約がまとまったら、さっそく編集者と企画の相談をはじめます。
「出版によってどんな課題を解決したいのか」という大きな目的だけではなく、「事業内容」「自社の強み」「得たい顧客」といった内容についてかなり細かくヒアリングが行われます。
とくに「出版の目的」を何に据えるのかは非常に重要になります。編集者の質問に答えるだけの受け身の姿勢ではなく、ある程度考えを整理してから打ち合わせに臨みましょう。
③目次作成、原稿執筆
企画が決まったら、原稿執筆の前に目次を作成します。自分で原稿を書く場合と、ライターや編集者に書いてもらう場合がありますが、企業出版においてはインタビュー形式でライターや編集者が執筆することがほとんどです。執筆のプロにまかせたほうが時間もかからず、クオリティの高いものに仕上がることでしょう。ただし、出版社によっては自分で原稿をまとめなければならないケースもあるため、事前によく確認しましょう。
目次が決まったら、その流れに沿ってインタビューを実施し、ある程度情報がまとまった段階で、本の中身を執筆していきます。
④編集作業
原稿がまとまったら、いよいよ書籍の体裁に仕上げていきます。
体裁を整え、誤字脱字や表現をチェックする校正作業を行うのは基本的に出版社サイドです。編集者から書籍の体裁に文字を流しこんだ「ゲラ」と呼ばれるものが送られてくるので、書いてある内容に間違いがないかどうかの確認作業を行います。
⑤装丁デザインの決定
編集作業と同時並行で、装丁(表紙、カバー、帯など)デザインについても検討します。
装丁は読者が最初に目にする部分なので、書籍を手に取ってくれるかどうかを分ける非常に重要な要素です。類似ジャンルの売れ筋書籍を分析するなどして、編集者と企業側で協力してよいデザインをつくりあげていきます。
⑥出版、プロモーション
原稿、デザインが完成したら印刷会社へデータを入稿し、3〜4週間ほどで仕上がります。出版までにかかる期間は、およそ半年~1年ほどが一般的です。
また、企業出版は「出版して終わり」ではありません。狙いたい顧客層に書籍を届けるために、Web広告、書店広告、媒体プロモーション、出版記念パーティーなどの施策を打っていきます。
また、商業出版のように書店に流通させることも可能です。たとえば、自社の周辺地域、顧客となりうる層が多く住んでいるエリア、類書の売れ行きが好調な書店など…どこに配本すればより狙いたい顧客層に届けることができるのか検討してます。
ただ出版するだけでは効果は得られない
何度も述べているとおり、企業出版は「ただ出版するだけ」では想定する効果が得られにくいです。多くの出版社が、出版後のプロモーション施策について独自のプランを用意していますが、出版社に任せきりにするだけではなく、自分たちでもできることを模索する必要があります。
ここでは、出版後にどういったプロモーションができるのか、一例を紹介します。
出版後のマーケティング施策事例
出版後のマーケティング施策の主な事例は、以下のとおりです。
ホームページやSNSでの告知
発売後に順調に売れるためには、発売前から話題をつくっておくことが大事です。自社のホームページやSNSで出版前からこまめに告知し、既存の顧客に予約をうながしていきます。
Amazonでのプロモーション
昨今、Amazonや楽天ブックス、書店の通販サイトなど、ECサイトで本を購入する人が増えています。株式会社クロス・マーケティンググループが2022年に行った調査によると、本を買う人の約3割がECサイトで購入していることが明らかになっています。
(参照:株式会社クロス・マーケティンググループ「本屋に関する調査(2022年)」)
ここではECサイトの一つである、Amazonのプロモーション施策について紹介します。
Amazonには、「Amazon Advertising」という広告システムがあります。リスティング広告のようなしくみで、キーワードやターゲットの商品を設定することで、検索ページや商品詳細ページに商品を掲載することができます。
そのほかにも、定額読み放題サービスの「Kindle Unlimited」やプライム特典の読み放題サービスである「Amazon Prime Reading」を活用して、書籍へのリーチをのばすことも狙えるでしょう。
また、Amazonは売り上げに応じてランキングが更新されます。最新販売数、累計販売数のデータを1時間ごとに取得しランキングに反映される仕組みとなっています。そのため、顧客になりうる方々に購入していただく時間帯を指定することで、ランキング上位を狙うといった施策もあります。
広告出稿(新聞、雑誌、交通、書店など)
広告出稿も代表的な出版プロモーション施策の一つです。媒体によって金額はピンキリですが、たとえば全国紙の新聞の朝刊で1,500,000円程度からといった相場です。
基本的に企業出版を依頼した出版社をとおして出稿することになるのですが、広告の枠は事前に押さえられていることが多いため、はやめに編集者に相談する必要があります。また、出稿費用は企業負担となります。少しでも気になる場合は、制作の段階で編集者に聞いてみるとよいでしょう。
ちなみに、企業出版を手がける出版社のなかでも、ダイヤモンド社や東洋経済新報社など自社で大きなメディアを持っている場合は、そこに出稿できる可能性があります。
セミナー開催
「出版記念セミナー」を開催する企業もあります。最近ではオンラインでも受講できるようにしている企業が多いですが、出版記念セミナーにおいてはオフラインでのイベントが有効です。出版した書籍を直截お渡しして顧客と交流を深めることで、企業や社長の「ファン」をつくりだすきっかけになります。
出版記念でなくとも、事業に関連するセミナーを開催して、書籍を配布してもよいでしょう。
ランディングページ(LP)の作成とWeb広告
書籍の情報をまとめた単体のページ(ランディングページ)をつくり、書籍を出版したことをWeb広告で大きく宣伝します。自社のサービスや出版記念セミナーなどとからめたページにするのも有効です。
プレスリリースの配布
プレスリリースとは、新商品や新事業などの経営情報を、ニュース素材としてまとめて各媒体に配布することです。企業出版の場合は、「書籍紹介コーナー」や「書評欄」で取り上げてもらうことを期待して、本の発売前後に書籍情報と本を一緒に各媒体に送付します。
雑誌や新聞への広告出稿は費用がかかりますが、プレスリリースとして取り扱ってもらえれば、原則費用ゼロで宣伝ができます。掲載してもらえるかどうかは各媒体の担当者の判断によるため、親和性の高いメディアに絞って送付することで、掲載確率のアップをねらいます。
なお、上記のプロモーション施策は、企業出版のプランのなかに入っている場合とそうでない場合があります。事前に出版社とよく相談するとよいでしょう。
企業出版ができるおすすめの出版社
企業出版を手がける出版社から、YOSCA編集部がピックアップした7社を紹介します。最新の費用や詳細なサービスについては各会社に問い合わせてみてください。
YOSCA
当記事を編集するYOSCAも、企業出版サービス(ブックマーケティング)を提供しています。
弊社は、文章制作の専門企業として10年以上の実績がある編集プロダクションです。これまでさまざまな企業さまのコンテンツ制作に携わってきた実績から、幅広いジャンルに対応可能なライターをアテンドすることが可能です。また、Webプロモーション実績も豊富で、高いクオリティのコンテンツづくりと、成果を出すプロモーションをお約束します。
一般的な企業出版では、書籍を作るまでのサポートと広告出稿のオプションが基本プランですが、弊社では書籍を使ったWebマーケティング(ブックマーケティング)がサポート内容となっています。
自社でWebマーケティングは対応できるといった企業様にもご活用いただきやすいよう、書籍を作るまでのサポートから、書籍を作った後のWebプロモーション施策まで、取り組み方はお客様に応じて自由にカスタマイズが可能です。Webプロモーション施策では、作った書籍のLP制作、リード獲得、書籍の倉庫管理、配送手配、見込み客のナーチャリング戦略と施策まで一気通貫で対応いたします。
大手出版社との比較ポイントは以下となります。
- 書店との関係性や流通量(専用の棚を持っている、書店員に融通が効くなど)は大手出版社の方がサポートは手厚い。(企業出版においては、書店に流通させることよりも、いかにターゲットに届けるかという点が重要なため、流通量はさほど関係しない)
- 書籍の制作費用は、大手出版社の7割以下で制作が可能。(書店営業人員の固定費など諸々の固定費が弊社では少ない)
- 大手出版社ではできないような書籍の内容調整や制作スピードにて提供が可能。
ご興味いただいた企業様はぜひ気軽にお問い合わせください。
(参考)株式会社YOSCAのブックマーケティングサービス
幻冬舎メディアコンサルティング
幻冬舎メディアコンサルティングは、「企業出版」という出版形態を生み出したパイオニアの出版社です。
20年近い歴史があり、とくに法人に向けた出版サービスに力を入れています。士業や医者、コンサルティング会社、メーカーなど、業種を問わず豊富な実績があります。
また、親会社である幻冬舎が保有する全国4000書店以上におよぶ流通ネットワークを活用し、事業戦略に合わせて全国の大型書店に配本できる点も魅力です。
企業出版のノウハウにすぐれた実績のある出版社ですので、さまざまな経営課題に寄り添って本をつくってくれるでしょう。
ダイヤモンド社
ダイヤモンド社は1913年の創業から、ビジネス界の情報誌や書籍を出版してきた老舗出版社です。
『週刊ダイヤモンド』(月間PV9000万程度)や『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー』といった自社メディアを有しているため、固定の読者がいるのが大きな強みです。さらに、これらの自社メディアでのタイアップ記事や純広告などの豊富なプロモーションプランも用意されています。
ビジネス界においての確固たる地位と信頼を生かして、企業出版をサポートしてくれることでしょう。
プレジデント社
プレジデント社は、経営者や富裕層に向けたメディアに注力する出版社です。
1975年から広報誌や社内報、会社案内などの出版をサポートしてきた実績があり、取引実績は100社以上になります。
長年の経験から、読者の行動をうながすようなコンテンツづくりを得意としているのがプレジデント社の大きな魅力。ターゲットの母数が少ない事業でも、企業が抱える課題の解決に導いてくれることでしょう。
日経BPコンサルティング
日経BPコンサルティングは、日経BPグループの企業出版部門です。
得意なジャンルは「経営」「技術」「生活分野」。それぞれの専門分野に精通した編集者がサポートして、中身も装丁もクオリティの高い出版物をつくり上げます。
また、同グループのコンサルティング部門が、市場動向や社内調査、出版後の書籍の活用方法まで包括的に案内してくれます。「出版後のプロモーション施策に不安が残る」「出版後もしっかりサポートしてもらいたい」という企業におすすめの出版社です。
東洋経済新報社
東洋経済新報社は経済・経営分野で圧倒的な力を誇る出版社です。
「東洋経済オンライン」をはじめとした自社メディアを複数擁しており、出版後の手厚いプロモーションが期待できるでしょう。
また、社史や広報誌といった社内ブランディング向けの出版物から、統合報告書や企業レポート、オウンドメディアの制作なども取り扱っており、企業が抱える課題に対して解決方法が豊富に用意されています。書籍の出版だけではなく、多角的な方法で相談にのってくれるでしょう。
クロスメディア・マーケティング
クロスメディア・マーケティングは、企業出版に力を入れる出版社です。
2005年に創業した株式会社クロスメディア・パブリッシングのグループ会社で、比較的新興の出版社のため、大手出版社と比較するとコストを抑えて出版できます。また、装丁デザインもカジュアルな傾向にあり、「イマドキ」の雰囲気に仕上げたい場合はおすすめです。
クロスメディア・マーケティングがとくに注力しているのは、出版後のプロモーション施策。多様なWebメディア、書店、イベント、各種セミナーをはじめ、新聞広告、Web広告などの広告宣伝まで、顧客に合わせた提案を行っています。
企業出版は狙った企業の経営課題を解決する手法
これまで紹介してきたように、企業出版は企業の経営課題解決のためのマーケティング方法です。
自社のブランディングや集客、認知度向上、採用問題など、さまざまな課題に寄り添って、一冊の本をつくりだします。また、出版は最終的なゴールではなく、出版後も長期的に活用できる点に大きな魅力があります。
一般的な広告媒体で思うような効果が出なかった方、新規のマーケティング施策を行ないたい方、他社との差別化を図りたい方は、ぜひ企業出版を検討してみてください。
なお、本ブログを運営する株式会社YOSCAでも、企業出版サービスを提供しております。編集プロダクションとしてさまざまなジャンルのコンテンツ制作に携わってきた経験から、クオリティの高い書籍をつくりあげることが可能です。「企業出版に興味があるけど、なにからはじめればいいのかわからない」「実際に見積もりをとりたい」といったお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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