社史・記念誌・会社案内、似ているようで役割が違う3つの読み物の使い分け
( 最終更新日:2026年5月19日)
周年を迎えた、あるいは事業が大きく拡大した。そのタイミングで「会社のことを伝える媒体を作ろう」という話が浮上する企業は少なくありません。
ところが話し合いを始めると、「社史を作りたい」「いや記念誌の方がふさわしいのでは」「会社案内のリニューアルでいいんじゃないか」と、社内で呼び名や期待がバラつくことがよくあります。
3つの呼び名は似ているようで、目的も読み手も使いどころも根本的に異なります。この記事では3つの媒体の違いを整理し、社内で「何を作るか」の方向性をそろえるための視点を提供します。
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目次
呼び名がバラつくのはなぜか
3つの媒体が混同されやすい理由は、どれも「会社のことを伝える冊子」という外見上の共通点を持っているためです。
経営陣は「会社の歴史を残したい」と考え、広報担当者は「周年の節目を祝いたい」と考えています。一方、営業や採用担当者は「見込み客や求職者に配りたい」と考えています。同じタイミングで話し合いが始まっても、頭の中にある媒体は全員バラバラ、ということが起こります。
ここで認識をそろえずに進むと、「歴史もあって、祝いのメッセージもあって、サービス説明もある」全部入りの一冊ができあがります。情報量は多くても、誰に何を届けたいのかが曖昧になり、どの読者にも刺さらない媒体になってしまいます。
出発点として「3つは別々の媒体だ」という認識をそろえることが、失敗しない第一歩です。

社史は、記録と継承のための媒体
社史とは
社史は、企業の創業から現在に至る歴史を体系的に記録した資料です。目的は「正確な記録を次世代に残すこと」であり、読み手は社員・役員・OB・創業家・取引先など、企業との深い関係を持つ人たちです。
社史の価値は正確性と網羅性にあります。会社がどのような経緯で生まれ、どんな困難を乗り越え、何を積み上げてきたか。その事実を記録することが、社史の本質的な役割です。
社史が向いているシーン
創業50年・100年といった大きな節目に作られることが多いです。また、経営者交代や事業承継のタイミングに、「会社の原点と歩みを次のリーダーに引き継ぐ」目的で制作されるケースもあります。社員に自社の歴史を深く知ってもらい、インナーブランディングを強化したい場面にも向いています。
制作で押さえておきたいこと
社史の制作には、最低でも1年から2年の期間を見込む必要があります。資料収集・取材・事実確認・原稿執筆・デザインと、工程が多いためです。
読みやすさより正確性が優先される媒体でもあります。歴史的な事実を丁寧に積み重ねることが、社史としての信頼性につながります。
記念誌は、祝祭と感謝のための媒体
社史に似ていますが、記念誌はまったく別の目的で作られます。
記念誌とは
記念誌は、特定の節目を「祝い、感謝を伝える」目的で作られる冊子です。10周年・20周年といった周年タイミングのほか、上場・新社屋の完成・創業者の退任など、企業にとって意味のある出来事を記念して作られます。
読み手は取引先・株主・顧客・地域コミュニティ・OBなど、外向きの関係者が中心です。社史と異なるのは、「関係者とともに喜びを分かち合う」という感情的なゴールを持っている点です。
記念誌が向いているシーン
周年式典や記念パーティーの場で配布する場合に最も効果的です。ゲストへの感謝の気持ちを形にしたいとき、式典の記憶を残す品物として手渡したいとき、記念誌は大きな力を発揮します。
制作で押さえておきたいこと
記念誌は内容の自由度が高く、インタビュー集・写真集・メッセージ集など、形式を柔軟に選べるのが特徴です。デザインや紙質、装丁にこだわることで、「もらって嬉しい一冊」になります。感謝と祝いの気持ちが伝わるトーンを大切にすることが、制作上の最重要ポイントです。社史より制作期間は短くなることが多く、数か月から1年程度が一般的です。
会社案内は、営業と採用を支える実用ツール
3つのなかで最も「実用品」としての性格が強い媒体です。
会社案内とは
会社案内は、自社のサービス・強み・価値観を見込み客や求職者に伝えるための媒体です。目的は「対外的な営業・採用活動を支援すること」であり、読み手は商談相手・採用候補者・パートナー候補など、まだ深い関係が築かれていない相手が中心です。社史や記念誌が「過去と現在」を伝えるのに対し、会社案内は「今の会社」の魅力を伝えることに特化しています。
会社案内が向いているシーン
展示会・商談・採用説明会など、初対面の相手に会社を紹介する場面で最も効果を発揮します。コーポレートブランディングを一新するタイミングや、新事業をスタートして対外メッセージを刷新したいときにも向いています。
制作で押さえておきたいこと
会社案内は「今の会社」を伝えるものなので、情報の鮮度が命です。事業内容・実績・組織体制が変わるたびに更新が必要で、社史のように長期保存を前提とした媒体ではありません。
「会社案内を作ったら長期間使える」と考えていると、やがて古い情報が載ったまま配布される事態になりかねません。定期的な更新を前提に設計することが、会社案内を実用品として機能させるポイントです。
3つを「目的・読み手・タイミング」で整理する

社史・記念誌・会社案内の3つを整理すると、次のように分けられます。
社史は、目的が「記録と継承」、読み手が「社員・OB・役員など内部の深い関係者」、タイミングが「創業50年・100年など大きな節目」です。
記念誌は、目的が「祝祭と感謝」、読み手が「取引先・株主・OBなど外部の関係者」、タイミングが「周年・上場・式典などの出来事」です。
会社案内は、目的が「営業・採用の支援」、読み手が「見込み客・求職者など新規の接点相手」、タイミングが「必要に応じて随時・定期更新」です。
最初に「誰に届けたいか」と「何を達成したいか」を決めると、自然とどの媒体を選ぶべきかが見えてきます。
「全部まとめて1冊にしたい」という気持ちは理解できますが、ターゲットが違う媒体を1冊に詰め込むと、どの読者にも届かないものになります。社内でこの3つの整理を共有するところから、媒体制作の議論を始めることをお勧めします。
まとめ
社内で認識がバラついてしまうのは、実は呼び名の問題ではなく、「誰に、何のために届けるか」という前提がすれ違っているからであることがほとんどです。よくある失敗は、「冊子を作ること」自体が目的になってしまうケースです。アウトプットの形から議論を始めてしまうと、各自が都合のいいゴールを描いたまま並行線をたどり、最終的に「誰も満足しない全部入りの冊子」ができあがってしまいます。
議論が煮詰まったときは、まず「この冊子は、誰が一番喜ぶものか?」という原点に立ち返ってみてください。届ける相手の顔が明確になれば、自ずと今作るべき媒体の輪郭が見えてくるはずです。
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