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採用広報が続かない本当の理由|更新が止まる構造と片手間でも回る体制の作り方

最終更新日:2026年9月5日)

この記事の要点


Q: 採用広報が続かない最大の原因は何ですか

A: 担当者の熱量ではなく、企画から公開までの八つの工程がすべて一人の予定表に乗っている構造です。忙しくなると全工程がまとめて止まります。

Q: 更新が止まると採用にどんな影響がありますか

A: 候補者が企業を調べる際、採用サイトの最終更新日が判断材料になることがあります。途中で途切れた採用サイトは、まだ発信していない会社とは違って、続かなかった会社という印象を与える可能性があります。

Q: 片手間でも続けるにはどうすればよいですか

A: 先に公開日をカレンダーへ置き、企画を埋める作業に変えることです。取材と執筆の工程を外に出すと、更新が個人の余力から切り離されます。

採用サイトのお知らせ欄に並んだ記事の日付が、半年前で止まっています。立ち上げのときは月に二本出すと決めていました。三本目まではその通りに進み、四本目の企画を出しかけたところで採用のピークが来て、そのまま今に至ります。

担当者に理由を聞けば、返ってくる言葉はたいてい同じです。時間が取れなかった、と。ただ、時間が取れなかったのは事実であっても、それは止まった理由ではありません。忙しさは最初から分かっていたはずで、変わったのは忙しさの量ではなく、忙しくなったときに何が最初に削られるかという順番のほうです。

採用広報が続いている会社の担当者も、同じように兼務で、同じように採用のピークを迎えています。それでも更新は止まりません。両者を分けているのは意欲でも人員の数でもなく、一本目を書く前に決めておいたことの中身です。

◉本記事の著者
宮嵜幸志
編集プロダクションYOSCA代表 兼 星天出版編集者。10年以上にわたりライティング学習について研究。自らも執筆する傍ら、60冊以上のライティング本による学習から、「ライター」「編集」と名がつくセミナーやライター講座・スクールを30以上受講し、ライティングスキルの研鑽を積む。ライティングセミナーの講師としても活動。『入門 SEOに効くWebライティング サイトの価値を高める正しいコンテンツの作り方(出版社:SBクリエイティブ)』 を上梓。 ▶X(Twitter)

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更新が止まった採用広報を候補者はどう受け取るか

更新が止まって困るのは、記事が増えないことではありません。すでに公開されている記事の見え方が変わることです。

候補者は選考が進むほど企業のことを調べます。求人票を読み、採用サイトを開き、noteやSNSをさかのぼります。そのとき、最終更新日が判断材料になることがあります。一年前の日付が並んでいる採用サイトは、記事が一本もないサイトとは違う印象を残します。まだ発信を始めていない会社と、始めたのに続かなかった会社では、受け取られ方が変わるからです。情報の不足と並んで、途切れた形跡も強い印象を残す可能性があります。

しかも止まる直前の記事は、たいてい勢いのある内容です。新オフィスへの移転、大型の資金調達、新規事業の立ち上げ。その後に何も続いていないと、あのあと何かあったのだろうかという余白が生まれます。候補者はそれを確認する手段を持たないので、余白は不安のまま残ります。

面接で記事を読みましたと言われた経験がある担当者なら、逆の状況も想像がつくはずです。読まれているという前提に立てば、止まっている状態は単なる未着手ではなく、すでに発信されているメッセージの一種になります。

採用広報が続かない会社に共通する三つの構造

採用広報を担当する人事・広報の担当者80名に、更新が滞った理由を聞いたところ、他業務との兼務で手が回らないという回答が約70%にのぼりました。次に多いのが社員インタビューなどのネタが集まらないという回答で約55%、応募や採用への効果が見えず優先度が下がったという回答が約45%と続きます。

採用広報の更新が滞った・止まった理由(複数回答)

▸ 他業務との兼務で手が回らない

約70%

▸ 社員インタビューなどのネタが集まらない

約55%

▸ 応募・採用への効果が見えず優先度が下がった

約45%

▸ 担当者の異動・退職で引き継がれなかった

約30%

▸ 経営層や現場の協力が得られない

約25%

YOSCAによる独自調査(2026年実施・採用広報を担当する人事・広報担当者80名・複数回答)

上位の三つは別々の悩みに見えますが、原因をたどると同じ場所に行き着きます。採用広報という仕事が、担当者一人の頭の中でしか組み立てられていないという状態です。

採用広報が続かない3つの構造

企画から公開までを一人で抱えている

兼務が原因なら、専任を置けば解決するはずです。ところが専任を置いた会社でも更新は止まります。工数の総量よりも、工程が分かれていないことのほうが効いているからです。

採用広報の一本は、企画、取材相手の選定、日程調整、取材、執筆、社内確認、公開、告知という順に進みます。このうち一つも自分の手を離れないと、全体が自分の予定表の空きに依存します。面接が三件入った週には、八つの工程がまとめて止まります。兼務で手が回らないという約70%の回答は、人手不足の側面とともに、一人が全工程を担う体制の脆さも示唆しています。

続いている会社は、この八つの工程のどこかに必ず他人が入っています。日程調整だけを採用アシスタントに渡す、執筆だけを外に出す、社内確認の窓口を各部署の一人に固定するといった形です。誰かの手が入った工程は、担当者が忙しい週にも勝手に進みます。

記事の企画がその都度発生している

ネタが集まらないという回答が約55%にのぼる背景には、企画を毎回ゼロから考えていることも関係しています。前の記事を出し終えてから次を考える進め方だと、企画会議は毎回白紙で始まります。

白紙から始める作業は、忙しい時期にもっとも後回しにされます。取材や執筆には締め切りがありますが、企画を考える時間に締め切りはありません。締め切りのない作業は、予定表の中でいちばん先に消えます。

効果の見え方が応募数だけになっている

優先度が下がったという約45%は、成果の測り方から生まれています。採用広報の効果を応募数だけで見ると、実際の効果を過小評価する可能性があります。記事を読んで応募した人も、たとえば、記事を読んで企業への理解を深めた人が、最終的には求人媒体から応募するケースもあります。

実際に効いている場面は選考の途中にあります。面接で自社の話が早く通じる、辞退の理由に会社のことがよく分からないという声が減る、内定承諾までの日数が縮まる。どれも数字にしにくい代わりに、面接に出ている担当者なら体感で分かります。測り方を変えないまま続けると、続けている本人が最初に価値を見失います。

社員から話が集まらない会社と集まる会社の分かれ目

ネタが集まらないという言葉には、二つの意味が混ざっています。書くテーマが思いつかないという意味と、書きたいテーマはあるのに社員の協力が得られないという意味です。担当者を消耗させるのは後者のほうです。

取材依頼が個人的なお願いになっている

取材の依頼が、担当者から社員への個人的な頼みごとになっている会社があります。お忙しいところ申し訳ないのですが、という前置きで始まるメッセージです。丁寧ではありますが、この形だと断られたときに次の手がありません。

依頼が個人の関係に乗っている限り、頼める相手は担当者と面識のある社員に限られます。回を重ねるほど同じ顔ぶれが並び、読む側にも社内にも既視感が生まれます。そして担当者のほうも、また頼むのは気が引けると感じ始めます。

続いている会社では、取材が業務として位置づけられています。年に一度は自部署から一人が取材に協力する、といった取り決めが部門長との間で先に交わされている状態です。個人の善意ではなく部署の予定として動くので、担当者が頼み込む必要そのものがなくなります。

公開後の反響が現場に戻っていない

取材に協力した社員が、公開後に何も知らされないまま終わることがあります。記事のURLは共有されても、それがどう読まれたかまでは伝わりません。

協力した側からすれば、半日を使って話した結果がどうなったのか分からないままです。次に声をかけられたときの返事が鈍くなるのは自然なことで、ここから社内の協力が細っていきます。

公開後に、閲覧数、面接で話題に出た回数、候補者から届いた感想のどれか一つでも本人と上長に返すと、扱いが変わります。取材が業務として成立した証拠が社内に残るからです。この反響が二本目の依頼を通しやすくします。

片手間でも止まらない年間運用の組み立て方

ここまで見てきた構造は、どれも運用の設計で潰せます。人員を増やさずに、順番を入れ替えるだけで済むものもあります。

更新が止まらない年間運用の3ステップ

先に公開日を押さえ企画は後から埋める

年間の運用でまず決めるのは、テーマではなく公開日です。第三金曜に一本、と決めて十二か月分の枠をカレンダーに置きます。中身は空欄のままで構いません。

枠が先にあると、企画は考える作業から埋める作業に変わります。白紙に向かうより、空欄を見て何を入れるかを選ぶほうが、負荷は大きく下がります。締め切りのなかった企画に、公開日という締め切りが後ろから付くことも効きます。

枠の数は無理をしないほうが続きます。実際に、月2本の更新が続かなかった企業が、月1本にペースを落としたことで継続できたケースもあります。続いている会社が出しているのは、多い量ではなく途切れない量です。

一度の取材から複数の形に展開する

社員一人への取材は、設計しだいで一本では終わりません。九十分の取材で出てくる話は、記事一本に収まる量を超えているからです。

入社の経緯と現在の仕事を軸にした社員インタビュー記事、印象に残った一つのプロジェクトを掘り下げた記事、話の中で出てきた仕事観を切り出したSNS用の短文。取材の前に何をどう使うかを決めておけば、同じ素材から三つの形が生まれます。取材相手の負担は一回分のまま、公開できる本数だけが増えます。

この展開を前提にすると、質問の順番も変わります。エピソードを一つずつ完結させながら聞いていくと、後から切り出しやすい形で素材が残ります。

更新を止めない最低ラインを決める

採用が忙しくなる時期は必ず来るものとして、そのときに何を守るかを平時のうちに決めておきます。そのときに何を守るかを、平時のうちに決めておきます。

社員インタビューは翌月に回し、その代わり社内の出来事を短く伝える投稿だけは出すと決めておきます。この最低ラインがあると、止まったのではなく一本落としただけという状態を保てます。候補者から見える最終更新日も動き続けます。

反対に、最低ラインを決めていない会社は、一本落とした時点で再開の合図を失います。次はいつ出すのかが誰の予定にも入っていないので、落としたことがそのまま終わりになります。

内製と外注の境界線をどこに引くか

工程を分ける話をすると、社内に渡す先がないという反応が返ってきます。人事も広報も人数の限られた会社では、現実的な選択肢は外に出すことになります。採用広報を担当する人事・広報の担当者80名に、何を外に出したいかを聞いたところ、社員インタビューの取材と執筆が約60%で最も多く、記事の企画やネタ出しが約50%で続きました。

採用広報のうち外部に任せたい・任せている業務(複数回答)

▸ 社員インタビューの取材・執筆

約60%

▸ 記事の企画・ネタ出し

約50%

▸ 原稿の編集・校正

約40%

▸ SNSの運用・投稿作業

約30%

▸ 効果測定・分析

約20%

YOSCAによる独自調査(2026年実施・採用広報を担当する人事・広報担当者80名・複数回答)

目を引くのは、効果測定や分析を外に出したいという回答が約20%にとどまった点です。手を動かす部分は任せたいけれど、判断する部分は手元に残したいという意識が、数字に表れているとも読み取れます。

外に出しても失われないもの

取材と執筆を外に出すと自社らしさが薄まるのではないか、という懸念はよく聞きます。実際に薄まるのは、外注したからではありません。何のために書くのかを伝えないまま発注したときです。

求めている人物像、現在、採用を強化している職種、候補者に誤解されがちな点。この三つを渡してあれば、書き手が社外でも記事の方向はぶれません。むしろ社内の人間には当たり前すぎて書き落とす部分を、外部の書き手のほうが拾うことがあります。

手放してはいけない判断

反対に、外に出すと機能しなくなるものもあります。誰に取材するかの選定と、公開前の最終判断です。

取材相手の選定は、社内の力学と採用の優先度を把握していないと難しい部分があります。いま伸ばしたい部署はどこか、誰の話なら候補者の不安を解けるか。この判断まで外に出ると、記事は整っているのに採用の役には立たないという状態になります。効果測定を手元に残したいという担当者の感覚は、ここにつながっています。

費用と依頼範囲の目安

社員インタビュー記事の制作を外部に依頼した場合、取材から執筆までを含めて一本あたり五万円から十五万円程度が一つの目安になります。取材の同席人数、撮影の有無、原稿の分量によって幅が出ます。

企画から年間の運用まで含めて任せる形にすると月額での契約になり、本数と関与の範囲によって十万円台から数十万円まで開きます。判断の材料になるのは金額の絶対値ではなく、その費用で担当者の何時間が空くかです。取材と執筆に月十五時間を使っていた担当者がその時間を選考に戻せるなら、比べる相手は他社の見積もりではなく、その十五時間の使い道になります。

止まってしまった採用広報を再開するときの順番

すでに止まっている場合、いきなり月二本の体制に戻そうとすると二度目の停止が起きます。再開には順番があります。

最初にやるのは、過去記事の棚卸しです。公開済みの記事を読み返し、いまも通用するもの、情報が古いもの、方針と合わなくなったものに分けます。古い記事を更新して日付を新しくするだけでも、候補者から見える状態は変わります。新しく書くより負荷が軽く、最初の一歩として現実的です。

次に、再開の一本目を何にするかを決めます。ここで大型の企画を選ぶと準備に時間がかかり、また止まります。すでに社内にある素材から選ぶのが確実で、直近の入社者への短い取材や、社内で好評だった取り組みの紹介あたりが向いています。

そのうえで、三本目までの公開日を先に押さえます。一本目を出した勢いで二本目を考える形に戻すと、同じ場所で止まります。再開を社内外に告知するのは、三本目の枠が埋まってからでも遅くありません。

まとめ

採用広報が止まるのは、担当者の熱量が尽きたからではありません。一本の記事ができるまでの八つの工程が、すべて一人の予定表の空きに乗っているからです。その構造のままでは、忙しくなった瞬間に全工程がまとめて止まります。

手を入れる先は、工程の順番と分担です。公開日を先に押さえて企画を埋める作業に変え、八つの工程のどこかを必ず他人の手に渡すことです。この二つで、更新が個人の余力から切り離されます。

それでも多くの会社が途中で止まるのは、採用広報が最初はうまくいくからです。立ち上げの直後は書きたい話が社内に溜まっており、担当者の熱量も高く、二本や三本は勢いだけで出せます。この助走が、体制を整えないまま進む理由になります。仕組みの必要性に気づくのは、たいてい社内の在庫を使い切ったあとです。しかしそのときには、企画を考える余裕も、社内に頼み込む勢いも残っていません。

いま止まっているなら、まず公開済みの記事を並べて最終更新日を確認するところからです。そのうえで、次の三本の公開日をカレンダーに置いてみてください。取材と執筆の工程だけがどうしても埋まらないようであれば、その部分を外に出す選択肢もあります。YOSCAでは、採用広報の年間設計から社員インタビュー記事の取材・執筆までをご一緒しています。

採用広報の継続におけるよくある質問

Q.更新は月に何本出せばよいですか

A. 本数の正解はありませんが、一年間守れる本数から逆算するのが現実的です。月二本を三か月で止めるより、月一本を十二か月続けたほうが採用サイトの印象は良くなります。まず月一本で回し、余力が出た月に短い投稿を足す形が続きやすくなります。

Q.社員が取材に協力してくれません

A. 依頼が担当者個人からのお願いになっている可能性があります。部門長と話し、年に一人は自部署から取材に出すという取り決めを先に作ると、依頼の性質が業務に変わります。あわせて、公開後の反響を本人と上長に返す流れも作ってください。次の依頼の通りやすさが変わります。

Q.採用広報の効果はどう測ればよいですか

A. 応募数だけで測ると効果は見えません。面接での逆質問の内容が具体的になったか、辞退理由に会社の実態が分からないという声が減ったか、内定承諾までの日数が縮まったか。選考の途中に現れる変化を、四半期ごとに振り返る形が向いています。

Q.止まってから一年以上経っています。今から再開する意味はありますか

A. あります。長期間更新が止まっている場合でも、新しい記事を公開することで、候補者から見た情報の鮮度を改善できます。ゼロから書き起こすより、既存記事の情報を更新して日付を新しくするほうが早く着手できます。棚卸しから始めてください。

Q.外注すると自社らしさが失われませんか

A. らしさが薄まるのは、外注そのものが原因ではなく、目的を伝えないまま発注したときです。求めている人物像、応募が足りていない職種、候補者に誤解されがちな点の三つを共有しておけば、書き手が社外でも方向はぶれません。取材相手の選定と公開前の判断だけは社内に残してください。

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宮嵜 幸志
編集者 / YOSCA代表 ライタープロデューサーとして試行錯誤中です。 Udemy講師として『1秒1文字!悩まず書ける ノンストップライティング 』、『現役プロライター・編集者に学ぶ 取材・インタビューの実践テクニック100分速習コース』を提供。
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