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編集 プロダクションとは?

編集プロダクションとは?出版社との違いから必要なスキル・就職・収入・将来性まで

最終更新日:2021年8月4日)

「書くことを仕事にしたい!」という方がまっさきに思い浮かべる就職先といえば出版社、その次くらいにちょっと詳しい方は編集プロダクションを思い浮かべられるかもしれません。

出版社はメジャーな会社がたくさんありますが、実は編集プロダクションはその出版社の大事なパートナーです。皆さんが普段スマホを使って読んでいるWebの記事も、どこかの編集プロダクションが丹精込めて作り上げたものかもしれません。

この記事では、そんな普段は表舞台に立たない、しかし日本の教養や知識欲を支える「編集プロダクション」に焦点をあて、そもそも編集プロダクションとは何をするところなのかに始まり、今後の展望も含めて解説をします。

この記事をお贈りするのは、自分もWeb系の編集プロダクション・株式会社YOSCAを2012年に創業した阿部(@abemichihiro)です。この記事を読んで編集プロダクションに興味を持っていただき、日本ひいては世界に羽ばたくライターや編集者が現れてくれたら……泣きます。

出版社と何が違う?編集プロダクションの定義

本や雑誌を作るという意味では、出版社と編集プロダクションの仕事内容はほぼ同じです。違いがよくわからないという方もいるでしょう。まずは、編集プロダクションと出版社の違いをご説明します。

出版社とは

出版社は発行物に対して、出版権や版権などと呼ばれる複製や販売の権利を占有しており、ここが編集プロダクションとの最も大きな違いといえるでしょう。例えば、賞を受賞した書籍の売れ行きが伸びると判断して増刷する場合、増刷する権利は出版社がもちます。

出版社には、いわゆる大手出版社(講談社小学館新潮社……)から中堅出版社(岩波書店ダイヤモンド社サンクチュアリ出版……)、さらに専門分野に特化した出版社(山と渓谷社主婦の友社山川出版社……)などがあります。

編集部には、書籍編集部や雑誌編集部などがありますが、書籍編集部のなかでも、単行本、新書、文庫、ノンフィクション、児童書、辞典などジャンル別に分けている場合もあります。

また、編集業務以外にも、本を作成するにあたり必要となる業務は一気通貫で何でもおこないます。たとえば、イラストレーターやカメラマン、印刷所など、外部との調整業務もその一つです。加えて、社内に編集部以外に総務部や経理部、営業部など多様な部署があり、出版社に入社したからといって誰もが編集の仕事に関わるわけではありません。

編集プロダクションとは

出版社とちがい、基本的に編集プロダクションは刊行物の版権を持ちません。主に出版社や版元の下請け業務を行います。規模は小さく、多くとも50人ほどです。片手に収まる人数で仕事をしている編集プロダクションも多々あります。

また、編集プロダクションは、自前でPR活動や販売はおこなわないため、内部には編集部しかない場合がほとんどです。編集プロダクションに入社をすると、基本的には編集の仕事に関わることになります。制作物は、出版社の発行する書籍のほか、企業の広報誌やフリーペーパーなど多岐にわたります。

仕事の内容自体は、出版社の編集部の仕事と大きくは変わりません。企画段階から取材先の選定、取材依頼から実際の取材、原稿の執筆などをおこないます。また、必要に応じてイラストレーターやデザイン事務所など外部とのすり合わせもおこないます。

原稿の種類によっては、外部のフリーランスのライターなどに依頼するケースもしばしばあります。

今や主戦場はWeb!編集プロダクションの種類と違い

もともと編集の仕事と言えば紙媒体の制作物を対象としていました。しかしご存知の通り、Webメディアの台頭によるコンテンツマーケティング市場の拡大により、Webに特化した編集プロダクションの数が増えてきています。

紙媒体とWeb系編集プロダクションの違い

一般的な編集プロダクションは、前項「編集プロダクションとは」でご紹介したような紙の制作物(本や雑誌、広報誌やフリーペーパーなど)に関わる編集、ライティング等の業務を手掛けます。制作物の出版には半年~1年ほどかかり、比較的長い時間を要することが多いです。

一方、Web系編集プロダクションは、その名の通りインターネットの記事に特化した編集プロダクションです。企画段階から制作物の作成まで一気通貫でおこなう点は紙媒体の編集プロダクションと変わりませんが、制作物を印刷するというプロセスがなく、Web上に公開するだけで国内のみならず全世界に情報発信をすることができるという特徴から、情報の正確性はもちろん、速報性が重要となります。また紙の印刷物と違い、一度アップした情報を必要に応じて加筆・修正できるのもインターネット記事の大きな特徴です。

Web系編集プロダクションにおいて求められるスキル

インターネットには膨大な量の情報が溢れており、ターゲットに対していかに効率的にアプローチできるかがWebコンテンツにおける成功のカギとなります。そのため、紙媒体における編集スキルに加え、Webマーケティングの知見が問われることとなります。代表的なものを下記に挙げます。

1)SEO対策

検索エンジンに最適化した記事を制作することにより、ターゲットへのアプローチを図ります。ターゲットが抱えている課題を的確に認識し、それを解決できるような良質な記事がSEO対策の第一歩です。以下の記事も参考になるでしょう。

2)SNS広告

情報発信をおこなうにあたり、twitterやFacebook、noteなどSNSが果たす役割は大きくなってきています。ターゲットの属性を見極め、どのSNSでどのように情報発信するのが一番効果的かなど、運用のスキルが問われます。

3)データ分析スキル

インターネットにアップされた記事は、「いつ・どのような属性の人に・どれほど読まれた」というデータを抽出することが可能です。数値化されたデータをもとに課題点を洗い出し、より効果的にターゲットに訴求するにはどうすれば良いか改善策を立案し実行するというPDCAサイクルを短いスパンで回していくことが必要です。

また、どんなにPV数が伸び、色々な人に読まれたとしても、書籍と違いネットの記事は基本的には無料です。記事を読んでもらうことを最終ゴールにせず、記事を読んでもらうことでいかにクライアントの抱えている課題(集客、購買促進、認知など)解決につなげることができたかが重要です。記事を制作して満足するのではなく、いかに読者のアクションにつなげられたかという指標を持ち、定期的な振り返りと効果測定をしながらトライ&エラーを繰り返していくことも重要です。

Web系編集プロダクションの実例

ここで、実際のWeb系編集プロダクションをいくつかご紹介しましょう。

1) 有限会社ノオト

https://www.note.fm/

https://www.note.fm/ より(2021/08/04撮影)

Webサイトのコンテンツ作成に強みを持ち、編集プロダクションではなく「コンテンツメーカー」と自称しています。コンテンツ制作、ブログやソーシャルメディア運営を軸としたクライアント向けサービスにとどまらず、コワーキングスペーススナックの運営をおこない人々のつながりを生み出すなど、編集を多義的に捉えた活動をおこなっています。

また「編集プロダクション」について興味を持ってここにたどり着いた方なら、代表の宮脇さんもフォローしておいていただきたいです。

2) 株式会社シンプリック

https://simplique.jp/

https://simplique.jp/ より(2021/08/04撮影)

SEOキャリア15年の代表を中心としたWeb特化型編集プロダクション。コンテンツを制作するだけでなく、届けるところまでを重視し、クライアントの課題解決を目指します。

3) 株式会社プレスラボ

https://www.p-labo.biz/

https://www.p-labo.biz/ より(2021/08/04撮影)

Web専業の編集プロダクションとして創業、企業のオウンドメディアの企画・編集を主力事業とする編集プロダクションです。企業価値向上のために良質な記事を提供することにより、クライアントと長期的に良好な関係を築くことを目指しています。

ちなみに、代表の梅田カズヒコさんもまた変わった経歴の持ち主です。

自分も仕事したい!出版社・編集プロダクションにおける就職事情

新卒中心?採用ルートから採用後のポストまで

紙媒体の衰退による出版業界の低迷が叫ばれますが、依然として大手出版社に正社員として新卒入社するのはハードルが高く、学歴も重視されます。アルバイトや派遣、パートで採用される例もあり、アルバイトであれば、資料の整理やアンケートの集計、経理業務、音声の文字おこしなどを行うことが多いようです。ただし、正社員以外のポストから正社員に登用される例はほとんどありません。

また先程も触れた通り、大手の出版社は発行物をつくるところから読者に届けるところまですべてに関わるので、編集部だけではなく、総務や経理、営業などの部署があります。つまり、出版社勤務と一言でいっても、すべての社員が編集やライティングの仕事をしているわけではなく、業務内容はさまざまで、入社後に編集やライティングに携わらない部署に配属される可能性があります。編集部に配属されたとしても、自分の興味のないジャンルに配属されるというのもままあることです。

一方、新卒採用において、編集プロダクションは大手出版社に比べると門が広く、また正社員以外のポストから正社員に登用される可能性もあります。学生時代にアルバイトをし、卒業と同時に正社員として登用されるケースも聞かれます。また、基本的には入社後に何らかの形で編集やライティングの業務に携われることになるでしょう。

中途採用については、出版社・編集プロダクション共に、経験者が優遇されるケースがほとんどです。

お金も大事!年収はどれくらい?

大手出版社の編集者は、平均年収で600万円~800万円程度です。これに対し、編集プロダクションの給与は平均年収で350万円~600万円程度となり、出版社と比べると一般的には低い傾向にあります。一概に年収だけで比較するのではなく、福利厚生や労働環境(時間外労働など)も含めトータルで考慮すべきでしょう。

また、出版社や編集プロダクション等の企業に所属せずフリーランスで働く場合、仕事量や制作物のクオリティによって報酬が支払われることになるため、年収はまちまちです。個人としてのスキルが明確に収入に反映されるため、自由がある分厳しい環境ともいえるでしょう。

編集プロダクションでの求人情報の例

ここでは、編集プロダクションの中でも採用ページを公開している会社を取り上げました。

1) 株式会社アーク・コミュニケーションズ

https://www.ark-gr.co.jp/recruit/

https://www.ark-gr.co.jp/recruit/ より(2021/08/04撮影)

出版社が発行する書籍等のほか、企業・団体が刊行する広報制作物や販促誌などを幅広く手がけており、海外クライアントの対応実績もあり語学力を活かせる可能性があります。

2) 有限会社モッシュブックス

https://www.moshbooks.jp/recruit

https://www.moshbooks.jp/recruit より(2021/08/04撮影)

編集者、ライター、デザイナー、カメラマン、イラストレーター、Web制作・Webデザイナー等の制作パートナーを募集していました。

編集プロダクションの市場環境と今後の可能性

出版産業は「斜陽産業」か?

近年、エンタメコンテンツの多様化などにより、日本国内での紙の出版物は減少傾向にあります。特に雑誌においてはその傾向が顕著に見られ、月刊誌の発行部数は2010年から2019年にかけて約半分になるなど、出版業界は「斜陽産業」と叫ばれて久しい状況です。

こちらはヨッピーさんが2016年に書かれた記事から抜粋。この辺、納得感ありますよね。

スマホを使えない以上、車内で絶対ヒマになるので週刊誌なんかを大量に買い込みました。3冊あわせて1,490円。
スマホさえあれば適当にゲームしたりネットしたりで雑誌なんて読まないのになぁ、と思ったのですが、そう考えるとスマホが普及したせいで雑誌が売れなくなるのは当然の流れなのかもしれない。

インターネットに疲れたから、スマホを置いて一人旅に出てみた(強調は阿部)

これは1990年代前半の映像と思われます。二郎の開店を待っている学生が皆雑誌を読んで待っているのに時代を感じますね。

一方で紙+電子出版市場は2年連続プラス成長というデータもあり、一概に本が買われなくなったかといえばそうでもないといえます。コロナによる巣ごもり需要は出版にも及んでいるといえそうです。

変容する「編集」の意義

上記のような状況の中、「編集」=紙の印刷物の制作という定義にしがみついていては、新たなビジネスチャンスはつかめません。編集業界におけるDX化が進む中、ウェブ市場にて存在感を発揮すること、また「編集」というものをより広義に捉えて再定義していくことが必要です。

「紙媒体の編集プロダクションとWeb系編集プロダクションの違い」の項目でも触れた通り、「編集」とは企画・コンテンツを通してクライアントの「課題解決」をすること、という意味合いが強くなってきています。記事についても読まれることを最終目的とするのではなく、そこからいかに読者のアクションにつなげていくかが重要です。

これからの編集者に求められること

上記の状況を踏まえ、これからの編集者には、「文章がうまい」「社内外の調整力がある」など従来のスキルに加え、

  1. クライアントが潜在的に抱えている課題を発見する能力
  2. 課題を解決するために最適なチームを構築する能力
  3. コンテンツを幅広くリーチさせ読者のアクションを促しクライアントの課題解決に導く、という幅広いディレクション能力

が必要となってきます。クライアントにより深く入り込みパートナー的な存在となり、時には記事や印刷物といった「文字」の領域を超えてイベント等の場の企画や運営までおこなうなど、扱うフィールドが多岐にわたるようになってきています。

その上で、以下のインタビューは今後の編集プロダクションの方向性が示唆されており興味深いです。

 これからは「出版」の時代ではなく「編集の時代」だと思っています。今までは「出版」の一分野として「編集」がありました。
 しかし「出版」という狭い分野だけでなく、もっと広いコンテンツの「編集」があらゆる分野で必要とされる時代になりました。今は「もの」を売る時代ではなく、「ストーリー」や「感動」を売る時代だとよく言われます。
 そうしたものを生み出す力はまさに「編集力」です。「時代に対応した編集力」をいかに身につけるか、それがテーマです。

【編プロ特集】日本編集制作協会・小林哲夫理事長に聞く 時代のニーズに応える編集プロダクション – 文化通信デジタル

既存の枠に捉われない編集プロダクションの実例

編集の意義が多様化している中で、既存の枠に捉われずユニークな取り組みをしている編集プロダクションを紹介します。

1) 株式会社ツドイ

https://tsu-doi.jp/

https://tsu-doi.jp/ より(2021/08/04撮影)

「編集とイベント」を中核事業とし、企業の課題解決をサポートしています。

主な実績として、集英社が開催する漫画の学校「ジャンプの漫画学校」の企画と運営、ダンデライオン・チョコレート・ジャパン主催のオンラインおやつ会の企画制作など、まさに文字という領域を飛び越えてコンテンツ制作をおこなう企業です。自前でノンアルコールバーの企画・運営もおこない、人が集う場所やしかけづくりも含めて編集と定義づけているところがユニークです。

2) 株式会社モメンタム・ホース(解散)

自らを編集プロダクションとは名乗らず、「編集は手段に過ぎない」をコンセプトに、編集を武器にビジョンや事業に根ざした課題創造と解決に戦略面からコミットしてきた企業です。DMMグループ各社のコンテンツパートナーに就任し、採用ブランディングからインナーコミュニケーション、事業パートナーへの情報発信を目的としたコンテンツ制作を中長期的に全面サポートする等、まさにクライアントと一丸となって課題解決に挑んできました。しかし2020年、CEO長谷川リョー氏の意向で解散しました

編集プロダクションに所属しなくてもできる!文章に関する仕事・働き方

以上、編集プロダクションについて、業界の概要や今後の展望についてご紹介しました。

ただ、編集やライティングを仕事にする場合、出版社や編集プロダクションに所属するだけがすべてではありません。最後に、編集やライティングの領域で活躍したい方に向けて、出版社や編集プロダクションに所属しない働き方をご紹介します。

フリーランスの編集・ライター

特定の企業に所属せず、フリーランスの編集・ライターとして業務に携わるという選択肢もあります。ただし、年収は個人のスキルや仕事量に大きく左右されますので、編集・ライター業界である程度経験を積み、ステップアップとしてフリーランスになることが現実的です。

また、今はまったく異なる業界で働いている場合、まずは副業から編集・ライター業務を始めてみて、適性を判断したり、自分の思っていた業務内容とギャップがないかを確かめたりすることをおすすめします。これからライターを目指す方は以下の記事も併せてご参照ください。

企業の広報部

編集・ライター業界以外の企業にいながら、広報担当としてオウンドメディアの運用やSNSを通じた情報発信をおこない、編集者やライターのような業務に携わるという道もあります。案件ごとにクライアントが変わることがなく、内部の人間として長期的な目で企業が抱える課題を考え抜き、真価を伝える最適なコンテンツを考えることができることが魅力です。

まとめ

繰り返しになりますが、編集プロダクションの業務は、「紙の制作物を作成する」という枠を飛び出し、クライアントのパートナーとなり課題解決に貢献するというより広い範囲にわたってきています。それに伴い編集者に求められるスキルも、文章を書き構成するというスキルのみならず、Webマーケティングの知識や、クライアントの課題発見から課題解決のソリューションの提案、実行まで手掛けられるディレクション能力が必要となってきています。責任は大きいですが、その分やりがいのある仕事といえるでしょう。

一方で、出版社や編集プロダクションに所属せずにこうした分野の仕事に携わることも可能です。この記事を読んで、今一度「編集やライティングに携わる業務がしたい」という心の声に耳を澄ませ、どのような働き方が自分の理想なのかを振り返るきっかけにしていただければと思います。

編集協力:田河知華

★当記事を書くにあたっては、本文中にリンクしたサイト以外にも以下のサイトを参考にしました。ありがとうございました。

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阿部道浩

2011年に慶應義塾大学文学部を卒業後、大学時代からインターンとして参画していたモバイルサイト運営会社に就職。Webコンテンツの制作・編集業務に携わった後、2012年にWebコンテンツ作成を専門とする株式会社YOSCAを代表と二人で立ち上げる。編集業務のほか、営業、マーケティング、編集スタッフのマネジメントを経て、現在はライティング講座の開発・運営を主に行っている。
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