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記事コンテンツ内製化の4つのコツ|メリット・デメリットを踏まえた社内環境の整え方

最終更新日:2022年4月25日)

SNSやスマートフォンの普及などにより、既存のメディアを介さずに企業から顧客への直接的な情報伝達・拡散が容易になりました。特に企業にとってのオウンドメディアの重要度は高まり続けており、多くの企業が運営に取り組んでいることでしょう。

オウンドメディアに掲載する記事コンテンツを制作する方法は、大きく分けて「内製」と「外注」の2つに大別できます。企画・執筆・編集などといった作業を自社内ですべて行うのが内製で、これらの作業を制作会社や外部ライターに依頼するのが外注です。
これからオウンドメディアを立ち上げる企業、もしくは立ち上げたばかりの企業は、まずは予算をかけずにスモールスタートさせたいという意図から、内製を選択するケースがほとんどではないでしょうか。

しかし、メディア運営というものは想像以上に複雑です。コンテンツ内製の難しさに直面し、効果的なメディア運営ができなくなるという状況が往々にして起こります。編集プロダクションである弊社では、これまでに「内製化がうまくいかなかった、やはりプロに外注したい」というご相談を数多くいただいてきました。

ただし強調しておきたいのは、我々が編集プロダクションだからといってむやみに外注を推奨しているわけではないという点です。以下で説明する通り、内製の方が望ましい点はいくらでもあります。

記事コンテンツを内製化するためには、社内環境の整備が最も重要です。本稿では、コンテンツ内製化に取り組むことのメリット・デメリットを踏まえつつ、内製を成功させるための社内環境の整え方について解説します。

メリット・デメリットを踏まえた内製化の価値

読者に愛されるオウンドメディアの条件としては、以下の3つが挙げられます。

  • 更新頻度が高い
  • オリジナルの情報を発信している
  • コンテンツのクオリティが高い

つまり、記事コンテンツを作るにあたって目指すところは「自社独自の知見を活かして」「読者にとって有益な記事を」「量産する」という状態です。これらを前提として、メリット・デメリットを踏まえた内製化の価値を考えてみましょう。

内製化の4つのメリット

1.オペレーションが円滑

「企画・構成・執筆・編集・掲載」という一連の作業に関わるのが社内スタッフだけであるため、意思疎通が図りやすいです。業界用語がわかる、ターゲット像がスムーズに共有できる、細かな進捗確認ができる、など……社内の人間同士ならではの密なコミュニケーションが支えとなり、オペレーションが円滑になります。コンテンツを量産するにあたり、スピード面で大きな力を発揮するでしょう。

ただしこれは、複数の人がチームとして動いている場合に限ります。複数の担当者が個々に記事を作っている場合、安定/継続したコンテンツ作りは難しくなります(詳細は後述の「記事内製化の4つのコツ」にて解説しています)。

2.ノウハウが社内に蓄積される

記事コンテンツの制作には、様々なスキルが求められます。企画・執筆・編集力をはじめ、SEO(検索エンジン最適化)やCMS(コンテンツ管理システム)、Webデザインなど、メディア運営のための知識も必要となるでしょう。

内製の場合、これらのノウハウが経験と共に社内に蓄積されていきます。結果として専門的な経験を持つ人材が育ち、言わば会社の財産となるでしょう。また、ターゲット(メディア運営の場合は読者)を意識した企画・実行・効果測定までのプロセスを繰り返すことは、自社のマーケティング力の向上にもつながります。

蓄積されたノウハウと経験豊富な人材がそろえば、オリジナリティのある記事/読者にとって有益な記事が作れるようになります。そしてこれらのスキルは、メディア運営の他にもあらゆる業務で活かせるはずです。

3.金銭的コストが削減できる

内製の場合、制作それ自体にキャッシュの動きは生じません。外注コストを抑えられる点は、内製化の大きなメリットです。とはいえ、キャッシュの動きがないだけで、実際には様々なコストが発生しています。

例えば、担当者の労力と運営によって生まれる効果を勘案した生産性については考えておくべきでしょう。ノウハウやスキルが不十分なオウンドメディア立ち上げ期は、内製しても制作効率が上がりづらいため、かえってコスト(人件費)がかかってしまう場合もあります。

4.社内の人を巻き込める

外注でコンテンツを制作する場合、その主な目的は「自社内の省力化」です。社内でメディア運営に関わる人は少ないので、結果として担当者が孤軍奮闘する状態になりがちです。その点、内製であれば社内で関わる人が多くなるので、担当者がコンテンツ制作に奮闘する姿を間近に感じられます。社内の皆にとってメディアの存在が身近なものとなるでしょう。

こうなると、いざ社内の協力が必要になったときにも理解を得やすくなります。これは、自社独自の知見を活かしたコンテンツを作る上でとても重要です。オウンドメディアである以上、ネタとなる情報は社内にあります。それをアイディアとして拾い上げるためにも、多くの人の気付きが必要になるのです。

▼参考になるツイートを見つけたので共有します

内製化の4つのデメリット

1.大量生産が難しい

内製によりメディア運営とコンテンツ制作を行う場合、最初から専任担当者を置くことは稀でしょう。普段の業務と兼ねながら制作をスタートさせることが多いと思います。この場合、短期間での記事量産は難しくなります。

メディア運営においては、ローンチ前に記事コンテンツが大量にストックされている状態が理想です。ローンチ後はストックを定期的に公開していきます。これにより、次のストック用コンテンツを制作するための時間が確保できます。

内製の場合は、このような進行が難しいのが実情です。記事を作っては掲載し、作っては掲載し……担当者は日々スケジュールに追われることになるでしょう。このような状態は、企画がワンパターン化するなど、メディア全体のクオリティに悪影響を及ぼす可能性があります。

かくいうこのYOSCAブログも内製で作り続けていますが、現状やはり月0〜1本ほどの更新になっています。。他の業務に取り組みながら、かつ内製で、そして本気で記事を作っていくとどうしてもローペースの更新になると実感しています。

2.専門知識が求められる

SEO、CRM、Webデザインなど……こうしたノウハウが社内に蓄積されていく点は、内製のメリットであるとお伝えしました。しかしながら、ノウハウが蓄積され、人材が育つのを待てる懐の深い企業はそう多くないはずです。「専門知識がないとすぐに始められない」という点は、内製のデメリットとも言えます。

そして、Webコンテンツ制作は日々変化するものです。Googleの頻繁なアルゴリズム変更、SNSとの連携、デザインやプロモーションのトレンド移行など……これらに対応するためには、高度な専門知識が求められます。これらの知識の習得は自社にとってメリットとなるか、それともコストが大きいか、判断する必要があるでしょう。

ひとつ言えるのは、担当者がスキル習得に前向きであり、そしてスキル習得を評価できる社内体制が整えられている状態でないと、内製化の成功は難しいです。または完全に内製にするのではなく、記事制作は内製としつつ、WebデザインやSEO対策、SNS運用など専門知識や技術が求められる部分のみ外注するというハイブリット型も検討の余地があるでしょう。

3.体制作りに時間がかかる

内製化のメリットや重要性は理解しつつも、社内体制や仕組み作りに時間と労力がかけられないという企業は多いのではないでしょうか。内製のオペレーションをこなせる体制を作るためには、まず運営のためのノウハウや専門知識を担当者が学ぶところから始めなくてはなりません。あるいは、知識とスキルを持つ人材を採用するところから始める場合もあるでしょう。いずれにしても、チームの立ち上げまでにはある程度の時間が必要です。

そもそもオウンドメディアというものは、成果を出すまでに多くの時間を要します。読者のニーズがある情報を掲載し続けて閲覧を増やし、コンテンツを通じてその読者を自社の目的に見合う顧客に育てる――。ここまできて初めて効果が現れます。加えて、ニーズの把握や情報設計の精度はトライ&エラーを重ねながら高めていくものですので、これにも時間がかかります。オウンドメディアの運営により早急に成果を得たい場合、内製はあまり適していないでしょう。

4.モチベーションを維持しづらい

担当者が通常業務と兼任して制作にあたる場合に起こりがちなのが、意欲の低下です。例えば、メディア運営の目的が以下のようなものであった場合を考えてみましょう。

  • ユーザーとのコミュニケーション強化
  • サービスのPR
  • 人材採用の貢献 など

どれも、結果がなかなか数字に表れづらいものばかりです。閲覧数や訪問者数などの指標とこれらの結果が直接結びつかないとなると、担当者の中でメディア運営は二の次になってしまいます。

一見すると無責任な担当者のようにも思えますが、実はそうではありません。これは、社内の理解と評価体制の問題です。

オウンドメディアはリピートの読者を得るまでに時間がかかるため、すぐに結果には結びつきません。先行きが見えない中でノウハウを掘り下げ、試行錯誤しながらコンテンツを作り続けるのは、なかなか辛いものです。企業全体でメディアの重要性やコンテンツ制作の大変さを理解することが、良質なコンテンツを制作するための第一歩であると言えるでしょう。

記事コンテンツ内製化の4つのコツ

ここまで述べてきたように、内製によるメディア運営において大きな障壁となるのが、安定・継続したコンテンツ制作の難しさです。そこで以降では、コンテンツの内製化を成功させるために押さえておきたいポイントを4つお伝えします。

【1】社内への周知を徹底する

自社メディアを運営することになったら、まずは運営の目的を明文化し、社内に周知しましょう。目的は売上貢献か、認知拡大か、人材採用か、あるいは顧客との関係性構築か――。設定されている目的によって、作るべきコンテンツも社内からの見え方も変わります。ここを明確にしていないと社内からメディアとコンテンツの価値を理解してもらえません。それどころか、担当者が自己満足のために制作しているように見えてしまう恐れもあります。

先述の通り、コンテンツ制作は見かけよりずっと難しいもの。目に見えない地道な努力が必要ですし、相応の労力をかけても結果が出るまでには時間がかかります。この点を周囲が理解していないと、担当者のモチベーションは下がっていくばかりです。コンテンツ制作の難しさやメディア運営の重要性を積極的に周知し、社内全体で企画・制作をしていきましょう。

【2】プロジェクトリーダーを置く

担当者を1名にして孤軍奮闘させるスタイル、あるいは「書きたい人が書く」というスタイルをとっていると、大抵の場合はコンスタントな制作ができずに行き詰まります。プロジェクトを仕切るリーダーを必ず置くようにしましょう。リーダーの役割としては、スケジュールの管理、企画構成、記事の編集、担当者のマネジメントなどが挙げられます。

中でも、制作担当者へのマネジメントは軽視されがちですが、最も重要な業務であると言っても過言ではありません。コンテンツに対するフィードバックは、制作担当者のモチベーション維持に大きく貢献します。閲覧数などで理想的な数字が出た場合は、その事実を制作担当者に伝えてあげましょう。そして同時に、文章表現などにおいて改善すべき箇所があった場合は、丁寧に指摘してあげることも大切です。

このように、リーダーにはライティングスキル、マーケティングスキルが求められます。ライティングスキルを持つ人は執筆を任せられがちですが、あえてリーダーに据えるのもひとつの手です。その能力を編集で発揮してもらい、クオリティの確保につなげましょう。

【3】仕様書を作る

各担当者のセンスに任せてコンテンツを作っていては、クオリティや見た目がバラバラになってしまいます。コンテンツを内製する場合は、制作方針の基準となる「仕様書」を必ず作り、関係者の足並みをそろえましょう。

仕様書は「レギュレーション」「依頼書」などとも呼ばれます(当社では「原稿依頼書」と呼んでいます)。いずれも、記事の目的やターゲットを明確にして執筆をスムーズに進めるため、また複数の担当者がコンテンツを量産していく上で、記事クオリティを一定に保つために使われます。

フォーマットは独自で制作しても問題ありませんが、最低でも以下の項目は明記しておきましょう。

・メディアの目的

メディアを運営する目的を明記しておきましょう。例としては、「読者が欲する情報を記事として提示し、そこから自社サービスを知ってもらう」などが挙げられます。自社の記事コンテンツに触れることで、読者にどのような変化をもたらしたいのか――。記事コンテンツ作りの指針となる情報ですので、あらかじめ整理しておきましょう。

・ターゲット/想定読者

「誰に向けて書く記事なのか」という点を明記しましょう。ターゲットとなる読者の性別や年齢、抱える悩みなどを想定しておけば、記事内容がブレにくくなります。

また、想定読者を家族構成や職業、年収などライフスタイルまで落とし込む「ペルソナ」の設定も有効です。ペルソナが具体的であれば「この人ならどんな記事を読みたいか(または読みたくないか)」という判断がしやすくなります。

トンマナ(トーン&マナー)

トンマナとは、簡単に言うと「記事全体の雰囲気」のことです。例えば文体について、敬体(です・ます調)と常体(だ・である調)とでは読者に与える印象が大きく変わります。このような記事の雰囲気を決定する要素についても、仕様書内で整理しておきましょう。

読者に与えたい印象は誠実さや真面目さか、それとも親しみやすさか。より具体的に、絵文字や感嘆符、疑問符などの使用可否を定めておくことも、記事のテイストを決める指針になります。

記事サンプル

自社・他社は問わず、コンテンツの完成イメージが湧くようなサンプル記事やメディアを探し、記載しておきましょう。全体の雰囲気を伝えられるようにしておくことで、制作担当者が変わっても仕上がりとクオリティが均質になります。トンマナの参考にもなるでしょう。

【4】根気よくフィードバックする

ライティングスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。プロジェクトのリーダーは、制作担当者の原稿に対して根気よくフィードバックすることが求められます。良い点はしっかりと褒め、改善点については理由とともに具体的な解説をしてあげましょう。このような地道な行いが、担当者のモチベーションアップ、ひいては記事コンテンツのクオリティアップにつながっていくのです。

なお、このようなフィードバックは、制作担当者だけではなく社内全体に共有するのも有効です。ライティングに関する勉強会を開くなどしてノウハウを共有すれば、各担当者のスキルを効率よく向上させられます。

最初の2〜3ヶ月くらいはほとんど反応がなく過ぎていくと思いますが、徐々に「あの記事、○○のキーワードで上位に上がっていたよ」「あのお客様、○○の記事を見てお問い合わせしてくれたって」といったように成果が見えてくるはず。そうした「目に見える結果」というのもフィードバックしてあげたいところです。

ちなみに、記事作成の方法・コツについてはこちらの記事で、

SEOライティングについてはこちらの記事で、

詳しく説明しています。

おわりに〜「納得感」こそが成功の秘訣〜

担当者の「やらされ感」は、オウンドメディア運営を失敗に導く大きな要因となります。内製のメリット・デメリットを理解し、企業と担当者が納得した上で作業を進められている状態が理想です。

なお、制作の苦労を身をもって体験している我々としては、無理に内製化にこだわらなくてもいいのではないかな、とも思っています。部分的に外注を活用して効率化を図る、という方法も考えられるでしょう。自社の価値観や環境を踏まえた上で、ベストな選択をしていただければと思います。

内製化に取り組まれているご担当者の皆様、本当にお疲れ様です。この記事で少しでも運用が楽になれば幸いです。

編集協力:佐藤千夏

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伊藤謙三
横浜出身。青山学院大学経済学部卒業後、フリーランス活動を経て編集者・ディレクターとして株式会社YOSCAに入社。2020年に「あなたのライターキャリア講座」を立ち上げ、講座の運営・開発を担当している。ライター向けPodcast「フリーライターのよりどころラジオ」のMCも務める。趣味は音楽鑑賞、スケートボード、麻雀。