ライター必見!著作権を侵害しないための対策と記事の権利について
( 最終更新日:2024年7月4日)
ライターにとって著作権の知識は必要不可欠で、記事制作の際に必ず配慮しなければいけません。とはいえ、以下のような不安を抱く方も多いのではないでしょうか?
- 言葉はよく聞くけど、きちんと理解できているか心配
- 著作権の細かいルールまでは覚えきれていない
- 自分の書いた記事の著作権の帰属が分からない
- 著作権についてどう学べば良いのか分からない
このように、著作権についての知識が曖昧で不安な方は少なくないはずです。しかし、著作権についてきちんと理解できていなければ、安心して業務を遂行できないだけでなく、最悪の場合トラブルや罰則に発展しかねません。
そこで本記事では、以下の内容について紹介します。
- 著作権とはどのようなものか
- 著作権を侵害した場合の罰則
- 著作権を侵害しないためのテクニック
- 自分が執筆した記事の著作権の帰属
- 著作権について勉強する方法
著作権トラブルの回避方法を知りたい方、自分が執筆した記事を自信を持ってポートフォリオに公開したい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
著作権とは
著作権とは、著作物を作成した人(著作者)が有する権利です。また、著作権を守るための法律を著作権法といいます。
著作物には、言語・写真・美術・音楽・映画・踊り・建築・地図や図形・コンピュータプログラムなどがあります。世の中に存在している、人によって作られたもののほぼすべてに著作権があると覚えておくとよいでしょう。
ライターに関連する著作物としては、執筆物やインターネット上の文章・画像・イラスト・図解・表などが挙げられます。
著作者の権利は、著作者人格権、著作権(財産権)の二つに分かれ、著作者人格権は3つ、著作権(財産権)は11の権利で守られます。
著作者人格権:著作者の人格的権利を守る。他人への譲渡や相続ができない。
名称 | 概要 |
---|---|
公表権 | 自分の著作物を公表するかしないか、公表するなら、いつ、どのような方法で公表するかを決められる権利 |
氏名表示権 | 自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するかしないか、表示するなら、実名か変名かを決められる権利 |
同一性保持権 | 自分の著作物の内容または題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利 |
著作権(財産権):著作物の財産的権利を守る。合意があれば他人への譲渡が可能。
名称 | 概要 |
---|---|
複製権 | 著作物を印刷、写真撮影、複写、録音、録画などの方法によって有形的に再製する権利 |
上演権・演奏権 | 著作物を公に上演、演奏する(上演、演奏の録音物を再生することを含む)権利 |
上映権 | 著作物を公に上映する権利 |
公衆送信権・公の伝達権 | 著作物を自動公衆送信、放送、有線放送する権利、またそれらの公衆送信された著作物を受信装置を使って公に伝達する権利 |
口述権 | 言語の著作物を朗読などの方法により口頭で公に伝える(口述の録音物を再生することも含む)権利 |
展示権 | 美術の著作物や未発行の写真の著作物の現作品を公に展示する権利 |
頒布権 | 映画の著作物の複製物を頒布(販売・貸与など)する権利 |
譲渡権 | 映画以外の著作物の原作品または複製物を公衆へ譲渡する権利 |
貸与権 | 映画以外の著作物の複製物を公衆へ貸与する権利 |
翻訳権・翻案権など | 著作物を翻訳、編曲、変形、翻案等する権利(二次的著作物を創作する権利) |
二次的著作物の利用権 | 自分の著作物を原作品とする二次的著作物を利用(上記の各権利に係る行為)することについて、二次的著作物の著作権者が持つものと同じ権利 |
この中でも著作者人格権の公表権・氏名表示権・同一性保持権、著作権(財産権)の複製権・公衆送信権・翻訳権・翻案権など・二次的著作物の利用権は、ライターに特に大きく関わる権利です。信頼性の高い記事を制作するために、これらの知識をしっかりと把握しておきましょう。
著作権を侵害した場合の罰則
記事制作の際に、他者の文章や画像・イラスト・図解・表などを無断で使用するのは、著作権法の侵害に当たります。
権利を侵害した場合、読者や発注先の信頼を失うのはもちろん、法律で以下の罰則が課せられます。
著作者人格権 | 5年以下の懲役または500万円以下の罰金 |
著作権 | 10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金 |
また法人が著作権を侵害した場合は3億円以下の罰金、さらに著作権を侵害した個人に対しても刑罰が課せられます。
自分が作成した記事が著作権侵害に該当すれば、勤めている会社や発注先にも多大なる影響を与えかねません。著作権を常に意識し、責任を持ってライティング業務を遂行しましょう。
著作権を侵害しないためのライティングテクニック
書籍やWebサイトの文章を参考にしてライティングすること自体に問題はありません。ただし、他者が書いた文章をそのまま使ってしまうと複製になり、著作権を侵害する行為となります。
記事制作において、著作権を侵害しないためのテクニックは以下の4つです。
- 参考程度にとどめる
- 引用を用いる
- 転載の許可をとる
- 画像や写真にも注意する
どれもライティングにおいてとても重要なので、しっかりとおさえておきましょう。
参考程度にとどめる
前述の通り、他者の文章のコピー&ペースト(コピペ)はNGです。本やWebサイトなどからの情報収集は参考程度にとどめ、必ず自分の言葉でまとめましょう。
集めた情報だけをメモなどにまとめておき、後から自分で文章を組み立てるといった一工夫を加えると、コピペのリスクは軽減されます。
ただし、工夫を加えたとしても記事の内容によっては発注先、もしくは検索エンジンにコピペを疑われる恐れもあります。そのため、記事の制作が終わった段階でコピペチェックツールを利用しましょう。
近年では、無料でも使用できる高性能なコピペチェックツールが多数公開されており、有名なものに以下の3つがあります。
コピペは、著作権の侵害はもちろん、SEOにおいても不利になります。情報収集は参考程度にとどめ、コピペチェックツールの利用を徹底して、オリジナル性の高い良質な記事を制作しましょう。
引用を用いる
引用とは、正当な範囲内で自分の文章に他者の文章や表、図などを用いることです。
参考にする文章をコピペでそのまま使用するのは著作権の侵害に当たりますが、引用を用いれば著作権の侵害を回避できます。
引用を用いる際は、以下のルールを守って使用しなければなりません。
▼引用のルール
- 他者の著作物を引用する必然性がある場合のみ使用する
- 公表された著作物を使用する(手紙やメールなどはNG)
- かぎ括弧をつけるなど、引用するものと引用されるものとを区別する
- 引用するものと引用されるものの主従関係を明確にする(自分の著作物が主体)。
- 著作者の意に反して改変や加工をしない
- 引用の出所を明記する
引用は自分の文章を補う目的で使用し、あくまで補足的な内容にとどめる必要があります。引用部分が大半を占めないように、量においても内容においても自分の文章が主体、引用部分が補足となるように主従関係を明確にしましょう。
引用する際はどこからどこまでが引用箇所か、はっきりと明確に分かるように表示しましょう。かぎ括弧「」やダブルクォーテーション“”などを用いると区別しやすくなります。
引用する文章は「同一性保持権」によって、著作者の許可なしに改変してはならないと定められています。引用箇所は改変せず、必ず原文のままの使用を徹底しましょう。文章の内容だけでなく、句読点の位置や漢字などの表記、改行位置など細かい部分の改変も認められません。
出所の明記には、Webサイトの場合は記事タイトルやURLを、書籍の場合はタイトル・著者名・出版社・出版年・引用箇所のページなどを明記します。
また引用と似た言葉で、出典・参照・参考があります。出所を明記する際は下記を参考にしてそれぞれ使い分けましょう。
引用元 | 自分の説のよりどころとして他の文章や事例を引くときに使用。 |
出典元 | 故事・成語・引用句などの出所である文献や書籍そのものを指すときに使用。 |
参照元 | 他の文章と照らし合わせたり、比べたりして、自分の文章と併せて見てもらいたいときに使用。 |
参考元 | 自分の意見や考えの元となった話や情報を明示するときに使用。 |
引用のルールを守り、正しく使用すれば、著作者に許可を取る手間が省けます。テクニックとしてしっかりと身につけておきましょう。
転載の許可をとる
転載とは、すでに公開されている文章を複製して、別の媒体にそのまま記載することです。
引用と似ていますが、大きな違いは記載する文章量の割合にあります。引用の場合、自分の文章が主、引用箇所が従の関係にしなければいけません。しかし転載の場合は、他人の文章をそのまま紹介するためのものであるため、文章の割合が大部分になっても問題ありません。
通常、転載を用いる場合には著作者の許可が必要です。ただし例外として、国や地方自治体、公共団体が作成した資料は許可なしでも転載できます。
転載を用いるには、事前に許可を取る一手間が加わりますが、より信頼度の高い記事を執筆するテクニックとして有効です。
画像や写真にも注意する
ライティングの業務によっては、文章を書くだけではなく、記事内の画像を選定することもあるでしょう。
インターネット上で写真や画像を探す場合、著作権の侵害に当たらない、著作権フリーの画像を選ぶ必要があります。
しかし著作権フリーのものを選んだとしても、画像によっては「商用利用はNG」など、利用用途を制限している場合があります。そのため、掲載されているWebサイトの注意事項や利用規約をよく確認して、利用用途に合致したフリー画像を選びましょう。
著作権フリーの画像をダウンロードできるWebサイトとして、無料で使用できるおすすめのサイトを4つ紹介します。
※2024/06/28追記
無料でも使えて誰でも格好いいSNS画像やサムネイルが作れるといえば、そう!Canva(キャンバ)ですよね。実はこのブログのサムネイルの多くもCanvaを使って作っています。
そんなCanva内で、上記でも取り上げた「いらすとや」の素材が使い放題になったようです。企業から自治体まで広く使われているあの「いらすとや」とCanvaが連携してくれるなんて夢のようですね!
さらに、写真やイラストの使用には細かいルールがあるのでそれぞれ紹介します。
人や動物が写っている写真
人が写り込んでいる写真をそのまま掲載すると、写っている人の肖像権の侵害に当たります。肖像権とは、他人に無断で写真や映像で容姿を撮影されたり、公表されたりしないことを主張できる権利です。
顔にモザイクをかけたり、後ろ姿の写真であったりしても、その人を特定できると見なされれば肖像権の侵害に当たってしまうので注意が必要です。
人が写り込んでいる写真はなるべく使用せず、どうしても使用したい場合は本人や撮影場所などが特定できないようにする、本人から許可を得るなどの配慮をしましょう。
また、動物に肖像権は発生しませんが、動物園や水族館などの施設の動物が写った写真を使用する場合は、事前に施設から許可を得ておきましょう。施設によってルールを定めている場合があるためです。
さらにキャラクターや絵画などをメインに撮影したり、背景に大きく写していたりすると、著作権の侵害に当たる場合があります。キャラクターや絵画だけでなく、看板などにも著作権が発生している場合があるので、撮影するときは背景にも注意を払いましょう。
出版物が写っている写真
本や雑誌などの出版物は、中身の内容を撮影し掲載するのはもちろんですが、表紙の写真を掲載しても著作権の侵害に当たります。
利用規約は出版社によって異なるので、原則として出版社に確認してから使用する必要があると覚えておきましょう。
Webサイトのスクリーンショット
公開されているWebサイトやアプリなどを写した、スクリーンショットや画面キャプチャを記事に利用するのは、著作権侵害に当たる可能性があります。
使用する際は原則として、サイトやアプリの運営者にスクリーンショットを撮った画像を使用してもよいか許可を得て、そのサイト名・アプリ名・URLなどの出典元を明記しましょう。
イラスト
イラストを使用する際は、イラストの作者に許可を得る必要があります。
さらに有名人の似顔絵など、明らかに描かれている人が特定できるようなイラストは、モデルとなった本人の許可も必要です。
ライターにとっての著作権
ライターが執筆した記事は著作物であり、作成したライターに著作権が発生します。著作権は自動的に著作者に発生し保護されるので、行政への登録手続きなどは必要ありません。
ただし、「著作権は当社に帰属します。」など、発注先との契約のなかで著作権の帰属が決定する場合もあります。このような契約を交わした場合、記事を納品し、報酬を受け取った時点で著作権は企業に移ります。
著作権が企業に帰属することに合意している場合、許可なくポートフォリオなどに実績を公開すると著作権の侵害に当たるため注意が必要です。
企業によって以下のように公開のルールは変わるので、著作権が企業側にある場合は必ず許可を取る必要があります。
参考)企業側の対応
- 実績として公開しても良い
- 新規の応募先のみ公開して良い
- 異なる分野の応募先のみ公開して良い
- 公開してはいけない
そのためライティング業務を請け負う際は、初めに必ず契約書を確認し、著作権の帰属が誰にあるのかをはっきりと把握しておきましょう。
著作権がライター側にある記事や、企業から公開の了承をもらっている記事は公開しても問題ありません。著作権の帰属を把握して、上手く実績公開に繋げましょう。
著作権について学ぶには
ライターに必要な著作権についての知識を網羅するには、法律への理解が必要不可欠です。そこで最後に、著作権について勉強する方法を紹介します。著作権の勉強法は主に以下の4つです。
- 本から学ぶ
- セミナーに参加する
- Webサイトから学ぶ
- 資格を取る
無料ですぐに学べるものもあれば、お金や時間をかけて詳しくじっくり学べるものなどさまざまあるので、ご自身にあった形の勉強法を選んでください。
また著作権を含む法律は改訂される場合があるので、常に最新情報を確認し、情報を更新していく必要があります。
本から学ぶ
著作権法について記された書籍から学ぶ方法です。
専門家が図解や事例を用いて分かりやすく解説している書籍が多く出版されているので、自分のレベルに合ったものを選びやすく、自分のペースで学べます。
著作権法を基礎から確実に学びたい方、自分の時間を有効活用したい方に特におすすめの勉強法です。
(参考)『著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本』
セミナーに参加する
著作権セミナーに参加することでも、著作権法の知識を深められます。
主催しているのは文化庁や公共社団法人、一般事業などさまざまです。セミナーの形態はオフライン・オンライン・無料・有料、また学べるレベルも初心者向けから上級者向けなどさまざまあるので、自分に合わせたものを選びやすいでしょう。
セミナーに参加する一番のメリットは、講師にその場で質問できることです。
対話形式で学びたい方、時間を使ってでもしっかり学びたい方に特におすすめの勉強法です。
Webサイトから学ぶ
著作権の知識や情報を無料でスピーディーに得たい場合は、Webサイトから学ぶのも一つの手です。Webサイト上には記事だけでなく、解説動画などもたくさん投稿されています。
以下におすすめのWebサイトを2つ紹介します。
一般の方のブログや動画などは、間違った情報や古い情報を発信している場合もあるので、情報の出所はしっかり確認しておきましょう。
資格を取る
著作権の知識を本格的にしっかりと網羅するには、資格を取得する方法もおすすめです。自分自身がルールを守って執筆できるだけでなく、発注先からの信頼も得られます。
著作権の資格としてサーティファイ著作権検定委員会が運営、知的財産研究教育財団が研修を行う、ビジネス著作権検定があります。
ビジネス著作権検定には初級と上級があり、受験料は初級が5,100円、上級が8,000円です。以下のサイトからWeb申し込みできるので、興味がある方は確認してみてください。
サービスページ:ビジネス著作権検定
資格を取得すれば漠然としていた著作権への理解度が増し、自分の作品についても色々と向き合えます。また過去の判例を問題に採用しているため、検定をクリアするだけの知識を身につければ、業務にも直結して役立てられるでしょう。
法律が絡むため一見「難しそう」と思いがちな著作権ですが、制作の自信に繋げ、業務に役立てたいと考える方には特におすすめの勉強法です。
まとめ
著作権は、そのリスクが常に執筆活動につきまとい、ライターにとっては切っても切り離せない存在です。
著作権には著作者人格権と著作権(財産権)とがあり、侵害すると著作者人格権は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、著作権(財産権)は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が課せられます。
著作権を回避するテクニックとしてライターができるのは、情報収集は参考程度にとどめる・引用を用いる・転載の許可をとる・画像や写真にも注意を払うといった方法です。これらのテクニックを上手に駆使して、信頼度の高い良質な記事制作を目指しましょう。
執筆した記事の著作権は基本的に執筆したライターにありますが、契約内容によってはクライアントに帰属する場合もあります。著作権の帰属は、ポートフォリオなどでライターとしての実績公開をする上でも重要なポイントです。受注する際に契約内容を確認し、著作権がどこにあるのかを把握しておきましょう。
著作権を学ぶ方法は多岐にわたり、書籍・セミナー・Webサイト・資格の取得などがあります。著作権を含む法律は常に改訂され続けるので、常に情報を更新しながらご自身にあった形で学び、執筆活動に役立ててください。
本記事を参考に、著作権のトラブルを回避し、独自性の高い良質な記事の制作に繋げていただければ幸いです。
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