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Webライター初めての確定申告!副業・専業どちらの場合も解説

最終更新日:2023年5月9日)

Webライターとしてまとまった収入が出てきたら、確定申告をする必要があります。自らの申告にもとづいて税額を確定させ、しっかりと税金を納めることは国民の義務です。しかし、今まで会社員やアルバイト、パートとして働いていた人は、勤務先が給与から天引きしていたため、納税についてあまり意識する機会はなかったかもしれません。

初めて確定申告をする人は、「青色申告」「白色申告」など聞き慣れない言葉も多く不安に思いますよね。正しい知識がないまま進めてしまうと、本来よりも多く税金を支払うことになり、損をしてしまう可能性もあります。

そんなことにならないように、この記事では、確定申告の基礎知識から手続き方法、節税につながる方法まで解説します。

◉本記事の監修者
黒田 悠介
税理士法人Bridge 代表
税理士・政治資金監査人
大手税理士法人で相続対策・事業承継業務に従事。 その後、金融機関・IPO企業・富裕層コンサルティング会社を経て、税理士法人Bridge東京・静岡事務所を創設、現在まで代表を務める。 「お客様に幸せの架け橋を」というビジョンを掲げ、IPOコンサル・相続事業承継対策など多角的な税務サービスを行っている。
税理士法人Bridge HP
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確定申告の基礎知識

確定申告とは

確定申告とは、1年間の所得を計算して自ら税務署に申告し、税金を支払う手続きのことです。前年1月1日~12月31日までの所得を、翌年2月16日~3月15日の確定申告期間に申告します。

確定申告では、所得の計算が非常に重要です。「所得」とは、「収入ー必要経費」のこと。所得に対して一定の税率を適用することで納める税額が決まります。そのため、必要経費を漏れなく計上することが節税につながります。

確定申告の大まかな流れ

確定申告の大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 確定申告に必要な書類を準備する
    1年分の領収書やレシートなどを集めて、帳簿を作成していきます。
  2. 確定申告書を作成する
    申告書用紙を税務署に取りに行くか、国税庁のホームページからダウンロードし、必要事項を記載していきます。
  3. 提出書類を確認して、提出する
    提出書類に間違いがないか確認してから提出しましょう。期限までに税務署に送付するか、e-Taxで電子申告することも可能です。e-Taxは24時間受け付けているため、おすすめです。
  4. 納税するまたは還付を受ける
    申告した内容に基づいて納税します。税金を払いすぎていた場合は、還付金を受け取れます。

確定申告をしないとペナルティが課される可能性がある

自分が頑張って稼いだお金が税金によって引かれてしまうのは、誰しも喜ばしいことではありません。「申告しなければ、納税しなくて済むのでは?」「それほど収入も大きくないし、申告しなくてもバレないだろう」と思う方もいるのではないでしょうか。

税務調査により無申告であったことが発覚すると、ペナルティとして「無申告加算税」を課される可能性があります。本来の納付すべき所得税に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分には20%の割合を乗じた金額を支払わなくてはなりません。

国税庁より令和4年11月に公表された個人向けの税務調査件数(※1)によると、令和3年度の実地での税務調査件数は約3.1万件でした。同年の申告納税者は約657万人(※2)のため、税務調査をされる確率は約0.5%とかなり低いように見えます。しかし、多額の入出金取引があるなど、申告漏れの疑いがある人を中心に調査が入るため、「バレないだろう」という考えは禁物です。

※1 国税庁 令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
※2 東京国税局 令和3年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について

確定申告が必要となるケース

本業は会社員で副業としてWebライターをしている人と、ライター業で生計を立てている人の場合では、確定申告が必要となる基準が異なります。

副業ライターの場合

副業ライターの場合は、1年間の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。Webライター以外に副業をしている場合は、その所得との合計で判断します。ただし、所得が20万円以下でも、医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合には確定申告をします。

専業ライターの場合

専業ライターの場合は、1年間の所得が48万円を超えると確定申告が必要です。ただし、所得が48万円以下であっても、できれば確定申告をした方が良いでしょう。
理由としては、

  • 源泉徴収で払いすぎていた税金が還付される可能性がある
  • 青色申告の場合は損益通算ができるため、赤字であることを申告しておけば、黒字になった年の所得を少なくすることができる

といったメリットがあるからです。

専業ライターは青色申告で賢く節税しよう

専業ライターの確定申告は、「青色申告」「白色申告」と2種類の申告方法があります。基本的には節税効果の高い青色申告がおすすめですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。特徴をよく理解して、自分に合った申告方法を選びましょう。

青色申告って?白色申告との違いは?

青色申告と白色申告では、「税制上の特典」と「帳簿付けの方法」に違いがあります。

 税制上の特典帳簿付けの方法
青色申告あり複式簿記(やや複雑)
白色申告なし単式簿記(簡単)

簡単に言うと、青色申告では複式簿記で事業の状況を細かく国に報告することの見返りとして、税制上の特典が受けられます。

青色申告を適用するためには、定められた期限までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。期限は二通りあり、青色申告をしたい年の3月15日まで、または新たに事業を開始した場合は「個人事業開業届」を提出してから2カ月以内です。提出しない場合は自動的に白色申告となります。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告のメリットは、「青色申告特別控除」「純損失の繰越控除・繰戻還付」「少額減価償却資産の特例」などといった税制上の特典が受けられることです。何だか小難しい用語が出てきましたね。一つずつ見ていきましょう。

青色申告特別控除

規定の条件を満たせば、10万円/55万円/65万円の所得控除が受けられます。控除されるのはあくまでも「所得」であり、「税額」そのものではないので注意してください。

純損失の繰越控除・繰戻還付

純損失(赤字)が出た年の赤字を繰り越して、翌年以降の3年以内で黒字が出た年の所得から控除することができます。また、その逆も可能です。前年が黒字で青色申告によって納税していた場合は、赤字の年の損失額を繰り戻して税金の還付を受けることができます。

少額減価償却資産の特例

白色申告の場合、10万円を超える備品や機器(例:パソコンなど)はその年に一括で経費計上できず、耐用年数にしたがって経費を分割する必要があります。このことを「減価償却」といいます。少額減価償却資産の特例では、10万円以上30万円未満の資産をその年に一括で経費計上できます。高額なパソコンやオフィス家具などを購入した年には、非常に有利な特例です。ただし、上限は合計300万円までと定められています。

デメリットとしては、複式簿記というやや複雑な方法で帳簿付けをする必要がある点です。会計知識がない人が全て自力で行うのは難しいため、会計ソフトの利用や、税理士への相談を検討しましょう。

白色申告のメリット・デメリット

白色申告のメリットは、事前の申請の必要もなく、単式簿記という簡単な帳簿付けで確定申告ができる点です。「収支内訳書」という家計簿のようなものがあれば良いので、1日とかからずに手続きができるでしょう。

駆け出しのWebライターで売上がまだ少ない場合は、青色申告で受けられる税制上の特典によるメリットも小さいため、白色申告でも問題ありません。確定申告にかかる作業負担と、税制上の特典によるメリットを天秤にかけて現在の状況に合った申告方法を選びましょう。初年度は白色申告にして、売上が大きくなってから青色申告に切り替えることもできます。

青色申告の必要書類

青色申告では、「青色申告決算書」と「確定申告書」に加えて、必要に応じて控除関係書類を提出します。確定申告書は、以前は「確定申告書A」「確定申告書B」の区分に分かれていましたが、2022年分の申請から統合されました。

前述した通り、青色申告は会計知識がない人にとっては少々ハードルが高いものです。そのため、会計ソフトの利用や税理士に相談することを前提とし、ここでは簡単な概要のみを記載します。

青色申告決算書

青色申告決算書は全部で4ページです。ページごとの記入内容は以下の通りです。

  • 1ページ目(損益計算書)
    売上原価や経費の内訳を記入します。
  • 2ページ目(損益計算書の内訳)
    月ごとの売上・仕入れ金額、また従業員や専従者(家族の従業員)がいる場合は、その給料賃金などについて)を記入します。
  • 3ページ目(損益計算書の内訳)
    減価償却費や地代家賃などを記入します。
  • 4ページ目(貸借対照表)
    期首(1月1日)と期末(12月31日)時点での資産や負債などについて記入します。

確定申告書

確定申告書は第一表と第二表、第三表から構成されています。

第一表では、売上金額・所得金額・各種控除金額、そして所得金額にかかる税額を記入します。
第二表では、所得の内訳など第一表で記入した項目の具体的な内容を補足していきます。
第三表は、対象の所得(譲渡所得、配当所得、雑所得、山林所得、退職所得)がある場合に提出します。Webライターの事業所得以外に所得が発生していなければ、用意する必要はありません。

最大65万円の所得控除を受ける方法

青色申告特別控除では、規定の条件を満たせば、10万円/55万円/65万円の所得控除が受けられます。最大65万円の所得控除を受ける条件は以下の通りです。

  1. 複式簿記により記帳していること
  2. e-Taxによる電子申告をしていること

つまり、前述の通りに正しく青色申告を行ったうえで、紙の提出ではなくe-Taxでの電子申告を選択すれば最大65万円の所得控除を受けることができます。

1のみ満たしておらず紙媒体で申告書を提出した場合は55万円、1、2のいずれも満たしていない場合は10万円の所得控除となります。

節税のためにはきちんと経費計上することが大切

このように、税金は所得に対して課されます。そのため、必要経費をきちんと経費計上して所得を少なくすることが節税につながります。

Webライターで経費計上できるものって?

経費として認められるのは、「売上のために必要なもの」に対する支払いです。Webライターの場合は商品仕入れなどの分かりやすい経費はありませんが、身の周りを見渡してみると経費計上できるものはたくさんあります。

物品購入費

(例)

  • パソコン
  • パソコン周辺機器
  • デスクや椅子
  • 文房具
  • 書籍

固定費

(例)

  • 家賃
  • 電気代
  • インターネット通信費

自宅を作業場としているWebライターの場合、プライベート用と事業用の利用割合を計算し、事業用で使っている分だけを経費として計上します。このことを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。

例えば家賃の場合は、自宅の床面積のうち作業場として使っているスペースの割合が計上できます。家賃9万円で、60平米のうち20平米(全体の3分の1)が作業場なのであれば、3万円が「地代家賃」となります。

その他

(例)

  • ポートフォリオサイトの運営費
  • 取材先への交通費
  • 打ち合わせでの飲食代
  • セミナー受講料
  • 執筆のための商品・サービス購入費

漏れなく経費計上するためには、日頃から領収書やレシートをファイリングするなどして管理しておくことが大切です。また、銀行口座やクレジットカードはプライベート用と事業用で分けておくと、事業にかかる支出・収入が把握しやすくなります。

経費で計上できないもの

このように、経費とは「売上のために必要なもの」に対する支払いのため、もちろんプライベートでの飲食代や日用品の購入費、美容代などは経費に計上できません。その他にも知っておくべきポイントがいくつかあります。

借入金は経費として計上できない

Webライターとして事業を始めるために融資を受けていた場合でも、借入金を経費として計上することはできません。ただし、借入金にかかる利息の部分については必要経費として計上できます。

自宅兼作業場として使っている家の住宅ローンや、取材のために使用するプライベート兼用の車のカーローンも同様です。ただし、利息の全額が経費として計上できるわけではなく、事業用としての利用割合を按分した金額を必要経費として計上します。

10万円を超える資産は減価償却の対象となる

「青色申告のメリット・デメリット」でも触れましたが、10万円を超える備品や機器(例:パソコンなど)はその年に一括で経費計上できません。耐用年数にしたがって経費を分割し、減価償却する必要があります。

ただし、「一括償却資産」と呼ばれる取得価額が20万円以下の資産は、耐用年数にかかわらず3年間で均等に償却することができます。

青色申告者の場合は「少額減価償却資産の特例」が適用されるため、取得価額が30万円以下であればその年に一括で経費計上することができます。

経費の計上しすぎには注意

節税を目的として経費を多く計上した場合、税務署から目をつけられる恐れがあります。経費として計上してよいか判断に迷う場合は、「なぜその支払いが売上のために必要なのか」を第三者に明確に説明できるかどうかを考えてみてください。明確に説明できないと思う場合は、経費として計上しない方が無難です。

経費として認められないものを故意に計上していたことが発覚した場合、ペナルティを受ける可能性があります。「過少申告加算税」や、さらに悪質と判断されると「重加算税」を課せられ、本来よりも多く税金を支払うことになります。節税のためにしたことが、これでは本末転倒ですね。経費は嘘偽りなく申告することが重要です。

会計ソフトや各種相談窓口も活用して正しく確定申告しよう

初めての確定申告では慣れない言葉や手続きも多く、面倒に感じるかもしれません。しかしWebライターとして活動していく上では避けては通れないところです。初めての確定申告を乗り越えれば、おおよその要領を掴めるため次年度以降の手続きはグッと楽になるでしょう。

イチから自分で確定申告をすることもできますが、特に青色申告の場合は作業負担が重く、誤った申告をしてしまうリスクも高くなります。会計ソフトを使う、税理士に相談するなどの方法も合わせて検討してみてください。お金をかけたくない場合は、最寄りの税務署や市区町村役場、青色申告会や商工会議所などで相談することも可能です。正しく確定申告を行い、節税につなげていきましょう。

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YOSCAブログ編集部
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