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プレスリリースが取り上げられない理由

プレスリリースが取り上げられない理由|記者が読むかを決める判断基準と見直し方

最終更新日:2026年9月23日)

この記事の要点


Q: 記者はプレスリリースのどこを見て読むかどうかを決めていますか?

A: メディア関係者330名への調査では、読むかを判断する際に最も重視する点として45.8%がメールの件名、35.8%がタイトルを挙げています。本文より前に件名とタイトルで選ばれる場面が多いと考えられます。

Q: 件名を工夫しても掲載されないのはなぜですか?

A: 開封後の段階で、問い合わせ先や画像などの素材、社外に通じる言葉、なぜ今発表するのかという背景が欠けていると、記者が記事を書けずに見送ることがあります。

Q: 発表できるネタが少ないときはどうすればよいですか?

A: 自社の業界に関するアンケート調査を行い、その結果を発表する調査PRという方法があります。広報担当者111名への調査では94.6%が調査PRを有効だと答えています。

配信サービスを使って毎月プレスリリースを出しているのに、メディアからの連絡がほとんど来ない。プレスリリースが取り上げられない状態が続くと、広報担当者は原因探しを始めます。

ネタが弱いのか、配信先が合っていないのか、文章が下手なのか。候補はいくつも浮かびますが、どれが当たっているのかを社内で確かめる手段はなかなかありません。社内から掲載実績を聞かれても、はっきりした説明ができないまま次の配信日が来ます。

手がかりになるのは、記者がリリースを受け取ってから記事にするまでの流れです。記者は届いたリリースを開くかどうかを決め、読み進めるかどうかを決め、最後に書けるかどうかを判断します。配信会社や調査会社が公開しているデータを見ると、ある傾向が浮かびます。多くのリリースは、本文の良し悪しを見られる前の段階で候補から外れている可能性があります。

では、記者は届いたリリースのどこを見て、読むかどうかを決めているのでしょうか。

◉本記事の著者
宮嵜幸志
編集プロダクションYOSCA代表 兼 星天出版編集者。10年以上にわたりライティング学習について研究。自らも執筆する傍ら、60冊以上のライティング本による学習から、「ライター」「編集」と名がつくセミナーやライター講座・スクールを30以上受講し、ライティングスキルの研鑽を積む。ライティングセミナーの講師としても活動。『入門 SEOに効くWebライティング サイトの価値を高める正しいコンテンツの作り方(出版社:SBクリエイティブ)』 を上梓。 ▶X(Twitter)

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記者の多くは件名とタイトルで読むかどうかを決めている

共同通信PRワイヤーは、配信先のメディア関係者330名にプレスリリースの確認方法を尋ねています。受信したリリースを詳しく読み進めるかを判断するとき、最も重視する点として45.8%がメールの件名を挙げました。次に多かったのはプレスリリースのタイトルで35.8%、企業・団体名が11.5%と続きます。

プレスリリースを詳しく読むか判断するときに最も重視する点

▸ メールの件名

45.8%

▸ プレスリリースのタイトル

35.8%

▸ 企業・団体名

11.5%

出典:プレスリリースの確認方法に関する調査(株式会社共同通信PRワイヤー、2025年12月発表/調査期間2024年11月19日〜12月2日・同社プレス会員のメディア関係者330名)データを見る

件名とタイトルを合わせると81.6%になります。記者の多くは、本文を読む前に件名とタイトルの一行で読むかどうかを決めていることがうかがえます。本文をどれだけ磨いても、件名の段階で開かれなければ、読まれる機会そのものが生まれにくくなります。

反対に考えると、件名とタイトルは予算や新しいネタがなくても、配信のたびに見直せる部分です。

記者がプレスリリースを判断する3つの段階

件名だけで何の話かわかるか

同調査の自由回答には、件名に社名が明記されているとわかりやすいという声や、件名が長すぎると記事化を見送るという声が寄せられています。記者は一日に多くのリリースを受け取るため、件名を見て何の発表かが伝わらないものは、後回しにされがちです。

見落とされやすいのは、社内で使っている略称や製品のコードネームです。社内では誰もが知っている言葉でも、社外の記者には意味が通じないことがあります。件名を書いたら、社内の別部署の人に見せて、何の発表かを一言で言えるかを確かめてみてください。

タイトルに数字と新しさがあるか

同調査を発表した共同通信PRワイヤーの解説では、タイトルは30文字前後にまとめ、数字や実績、新規性を入れることが勧められています。業界初や大幅刷新といった言葉だけでは、どの程度新しいのかを記者が判断できません。

対象者数、価格、導入社数、前年比など、記者が記事の見出しに使える数字を一つ入れておきます。数字が一つあるだけで、読む理由が伝わりやすくなります。数字が出せない発表なら、誰の、どんな困りごとを解決するのかを具体的に書くだけでも印象は変わります。

発信者がどんな会社か伝わるか

企業・団体名を最も重視すると答えた記者も11.5%いました。知名度が高くない会社の場合、記者が社名を見ても事業内容を思い浮かべられないことがあります。

会社概要の欄には、事業内容と主な実績を短く書いておきます。過去に取り上げられたメディアや、取引先の業種がわかる情報があれば、発信元の信頼性を判断する材料になります。

記者の約半数は届いたリリースをすぐには開いていない

件名が重視される理由は、記者がリリースを確認するタイミングにも表れています。同じ調査で、メールで届いたリリースを都度開封していると答えた人は48.2%でした。一方で、受信フォルダにある程度たまったら確認する人が29.7%います。後でまとめて確認する人は10.9%、必要なときに確認する人は9.1%でした。

メールで受信したプレスリリースを確認するタイミング

▸ メールの都度、開封している

48.2%

▸ 受信フォルダにある程度たまったら確認している

29.7%

▸ 後でまとめて確認している

10.9%

▸ 必要なときに確認している

9.1%

出典:プレスリリースの確認方法に関する調査(株式会社共同通信PRワイヤー、2025年12月発表/調査期間2024年11月19日〜12月2日・同社プレス会員のメディア関係者330名)データを見る

最も多いのは都度開封する人の48.2%ですが、後から確認する三つの回答を合わせると49.7%で、ほぼ同じ割合です。後から確認する記者は、たまった何十通ものリリースを一覧で見比べて、開くものを選びます。自社のリリースは、他社のリリースと並べて比べられる前提で書くことになります。

一覧で見比べられる前提で件名を書く

メールソフトの一覧画面では、件名の後半が切れて表示されることがあります。発表の中心になる言葉は件名の前半に置き、社名と何をしたのかが最初の20文字程度で伝わるようにします。記号や装飾で目立たせるより、内容が一目でわかる言葉を選ぶほうが、比べられたときに開かれる可能性は高まります。

配信日は記者の予定から逆算する

イベントや新商品の発売に合わせたリリースは、記者が取材や掲載の予定を組める時期に届いているかを見ておきます。発売当日に配信すると、記者が記事化の段取りを組む時間を確保しにくくなります。月刊誌や業界紙のように締め切りが早い媒体を狙うなら、媒体の締め切りから逆算し、早めに情報を届けておく必要があります。

切り口を変えて再配信する

一度配信して反応がなかった情報でも、切り口を変えたり新しい情報を加えたりすれば、再び配信できます。共同通信PRワイヤーの解説でも、複数回の配信で記者の目に留まる機会を増やす方法が紹介されています。導入社数が節目を超えた、利用者の声が集まったといった変化があれば、それを件名の中心に据えて出し直します。

タイトルを工夫しても掲載率が上がらない広報担当者は多い

件名やタイトルを重視している広報担当者は少なくありません。IDEATECHの調査PRサービスであるリサピーは、広報・PR担当者111名にプレスリリースの実態を尋ねています。この調査では、6割以上がタイトルやリード文を工夫していると答えました。

それでも同じ調査で、希望するメディアへの掲載率が30%以下だと答えた人は73.9%にのぼります。工夫している人が多いのに、掲載率は上がっていない状態です。

ここから考えられるのは、件名とタイトルで開いてもらえた後にも、記事化を止める段階があるということです。記者が読んだうえで見送ったリリースには、書くための材料が足りていない場合があります。

出典:プレスリリースに関する実態調査(株式会社IDEATECH リサピー、2025年10月発表/プレスリリース配信サービスを利用している企業の広報・PR担当者111名)調査結果を見る

読まれても記事にならないリリースに足りないもの

記者はリリースを読んだあと、自分の媒体の読者に向けて記事を書けるかを考えます。そのときに材料が欠けていると、内容に興味を持っても記事化を見送ることがあります。欠けやすい材料は大きく三つあります。

記事にならないリリースに足りないもの

問い合わせ先と素材がそろっていない

記者が追加で確認したいことがあっても、問い合わせ先の担当者名や電話番号が書かれていなければ連絡できません。代表番号だけが載っていると、広報担当者につながるまでに時間がかかります。

写真や図版も同じです。Webメディアは記事に画像を載せることが多く、使える画像がないと掲載を後回しにされる場合があります。商品写真、利用シーン、代表者の顔写真など、そのまま使える素材を添付するかダウンロードできるようにしておきます。

社内の言葉のまま書かれている

リリースの本文が、社内の企画書や稟議書の言い回しのまま書かれていることがあります。機能の名称や社内の組織名が並んでいても、記者はそれが読者にとって何を意味するのかを自分で読み解かなければなりません。

リード文には、誰にとってどんな変化があるのかを最初に書きます。機能の説明はその後です。社内で承認を受ける過程で表現が硬くなることも多いため、承認後にもう一度、社外の人の目で読み直す時間を取っておくと安心です。

なぜ今発表するのかが書かれていない

記者が記事にするときは、なぜ今この話題を取り上げるのかを読者に説明しなければなりません。新商品の情報だけが書かれたリリースでは、記者がその理由を自分で探すことになります。

業界で起きている変化、法改正、季節の行事、社会の関心事など、発表と時期を結びつける背景を一段落添えておきます。背景が書かれていると、記者は特集や解説記事の材料としても使えます。

ネタが足りないときは調査データで切り口をつくる

件名も本文も見直したうえで、それでも発表できる新しい話題が少ないという悩みは残ります。新商品や提携の発表は年に数回しかない会社も多く、配信の間隔が空くと記者に社名を覚えてもらう機会も減ります。

こうした場面で使われているのが、アンケート調査の結果を発表する調査PRです。先ほどのリサピーの調査では、調査PRを有効だと答えた広報担当者が94.6%いました。有効だと考える理由の1位は、客観的なデータで信頼性が高まるという回答です。

調査データには、記者にとって扱いやすい点がいくつかあります。まず、数字があるので件名やタイトルに具体性を出せます。社会の動きと結びつけて書けるため、なぜ今なのかという問いにも答えられます。自社の商品を直接売り込む内容ではないため、記事の中で引用されやすいという面もあります。

ただし、設問の設計が甘いと、集計しても記事に使える数字が出てこないことがあります。誰に何を聞けば記者が使える結果になるのかを、調査の前に決めておく必要があります。設問設計から配信までの具体的な進め方は、調査リリースの作り方完全ガイドで詳しくまとめています。

配信前に見直したい確認の順番

ここまでの内容は、記者がリリースを開く、読む、書くという三つの段階に沿っています。配信前の確認も、同じ順番で進めると抜け漏れを防げます。

最初に確認するのは、開いてもらえるかどうかです。件名の前半に社名と発表の要点が入っているか、タイトルが数字や新しさを含み、長すぎないかを見ます。他社のリリースと並べたときに、何の発表かが一目で伝わるかも確かめます。

次は、読み進めてもらえるかどうかです。リード文の最初の数行で、読者への影響が伝わるか。社内の略称や専門用語が説明なしに使われていないか。発表と時期を結びつける背景が書かれているかをチェックします。

最後に、記者が書ける状態になっているかを見ます。問い合わせ先に担当者名と直通の連絡先があるか、使える画像がそろっているか、数字の出典が明記されているかを点検します。

社内の人だけで確認すると、同じ前提を共有しているため読み落としが起きがちです。配信前に一度、業界の外にいる人や社外の編集者に読んでもらうと、記者に近い立場で引っかかる箇所が見つかりやすくなります。

まとめ

プレスリリースが取り上げられない原因は、ネタの弱さだけとは限りません。記者の多くは件名とタイトルを手がかりに開くかを決め、本文で読み進めるかを決め、材料がそろっているかで書けるかを判断していると考えられます。どの段階で止まっているのかがわからないまま配信を続けると、同じ理由で見送られる状態が続きかねません。

見直す順番は、記者の判断の順番と同じです。件名とタイトル、リード文と背景、問い合わせ先と素材の三つを配信前に確認し、ネタが足りない時期は調査データで切り口をつくります。

しかし、この確認を社内だけで済ませるのは簡単ではありません。書き手自身が内容を知りすぎているためです。社内の事情を知っている人ほど、記者が知らない前提に気づきにくく、自分では読み手の位置に立ちにくくなります。

まずは直近に配信したリリースを三本選び、件名だけを並べて、社外の人に何の発表かを答えてもらうところから始めてみてください。社内だけでは見直しが難しい場合は、外部の編集者に一度読んでもらう方法もあります。YOSCAでは、記者の目線で構成と表現を整えるプレスリリース制作をお手伝いしています。調査の設計から記事化まで対応するアンケート調査コンテンツ制作も承ります。費用の目安はプレスリリース作成代行の費用相場の記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。

本記事テーマにおけるよくある質問

Q.プレスリリースの件名は何文字くらいがよいですか?

A. 共同通信PRワイヤーの解説では、タイトルは30文字前後が目安とされています。メールの件名も長くなりすぎないようにし、一覧画面では後半が切れることもあるため、社名と発表の中心になる言葉を最初の20文字程度に置くと内容が伝わります。

Q.一度取り上げられなかった内容をもう一度配信してもよいですか?

A. 切り口を変えたり、新しい数字や事例を加えたりすれば再配信できます。新しい導入事例や、前回発表後に集まった数字など、前回からの変化を件名の中心にすると、記者にも新しい情報として受け取ってもらえる可能性が高まります。

Q.発表できるネタが少ない会社は何を配信すればよいですか?

A. 自社の業界に関するアンケート調査を行い、その結果を発表する方法があります。IDEATECHのリサピーの調査では、広報担当者の94.6%が調査PRを有効だと答えています。設問設計の段階で、記者が使える数字になるかを考えておくことが欠かせません。

Q.プレスリリースの作成を外注するとどこまで任せられますか?

A. 依頼先によって異なりますが、ネタの整理、構成、執筆、件名とタイトルの案出し、配信後の見直しまで対応する会社があります。社内でネタと事実関係を確認し、外部には第三者の視点での構成と表現を任せる分担にすると、社内の負担を抑えながら品質をそろえられます。

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宮嵜 幸志
編集者 / YOSCA代表 ライタープロデューサーとして試行錯誤中です。 Udemy講師として『1秒1文字!悩まず書ける ノンストップライティング 』、『現役プロライター・編集者に学ぶ 取材・インタビューの実践テクニック100分速習コース』を提供。
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