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潜在ニーズとは?4つの引きだし方や具体例、フレームワークを紹介

潜在ニーズとは?4つの引きだし方や具体例、フレームワークを紹介

最終更新日:2024年6月11日)

どのようなビジネスでも、潜在ニーズの把握は市場拡大や顧客獲得につながります。ウェブ運営やSEOの面でも、より多くのCV(コンバージョン)を生みだすには潜在ニーズの分析が欠かせません。

ターゲット自身が気づいていない潜在ニーズを掘り起こすには、どのようなアプローチをとればよいのでしょうか。本記事では具体例を交えながら、潜在ニーズの引きだし方や分析方法を解説します。

◉本記事の著者
片山雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。

潜在ニーズ・顕在ニーズとは?

そもそもニーズとは、需要につながるヒトの欲求を意味します。具体的な要望はウォンツと呼ばれており、マーケティングの世界では「ニーズは目的」「ウォンツは手段」と区別されています。

目的にあたるニーズは、さらに「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」にわけられます。どのような違いがあるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

顕在ニーズは自覚している欲求

顕在ニーズとは、消費者やユーザーなどが自覚している欲求です。例としては、「お腹を満たしたい」「のどを潤したい」「疲れを和らげたい」などが挙げられます。

多くの場合、ニーズが顕在化している人は自ら解決策であるウォンツを探します。積極的にアクション(購買や情報収集)を起こすため、企業などからするとターゲットにしやすい特性があります。

潜在ニーズは隠れている欲求

潜在ニーズとは、消費者やユーザーなどが自覚していない欲求です。日常生活に何らかの不安や課題は抱えているものの、具体的な欲求までははっきりしていない状態を指します。

マーケティングやSEOで潜在ニーズが重視される理由は、顕在ニーズより多くのターゲットが存在しているためです。市場全体で見ると、ニーズを自覚できている顕在層は氷山の一角であることから、顕在ニーズ・潜在ニーズの関係性は下図のように表されることがあります。

潜在層をターゲットにしたい場合は、サービス提供者(またはウェブ運営者)からの積極的なアプローチが必要です。マーケティングなどで潜在ニーズを掘り起こし、顕在ニーズに引き上げることができれば、購買行動などのアクションを促しやすくなります。

潜在ニーズはウォンツの深掘りで明確になる

潜在ニーズの捉え方を誤ると、マーケティングやウェブ運営は間違った方向に進みます。そのため、潜在ニーズの分析は「ウォンツの深掘り」をベースし、ひとつずつ紐解いていくことが重要です。

ウォンツの深掘りは、消費者やユーザーの具体的な要望に対して、「なぜ?」という質問を繰り返して行います。以下でわかりやすい例を紹介しましょう。

<例:ウォンツが「パーソナルジムに通いたい」の場合>
Q1.なぜ専属トレーナーが必要なのか? A.トレーニングの方法がわからず、続けられる気がしないから。
Q2.なぜジムに通いたいのか? A.健康的な身体を手に入れたいから。
Q3.なぜ健康面を気にしているのか? A.肥満気味であり、疲れやすい気がするから。
Q4.なぜ疲れが溜まっているのか? A.仕事が忙しく、通勤先が遠いから。

ウォンツを深堀りした結果、主な要因は「仕事が忙しいこと」「通勤先が遠いこと」にあることがわかりました。つまり、この消費者は「仕事や通勤の負担を減らしたい」という潜在ニーズを抱えています。

ここからさらに、潜在ニーズを解決するための手段を考えてみましょう。

<仕事や通勤の負担を減らす手段>
・休日が多い会社に転職する
・自宅から近い会社に転職する
・自動車を利用する
・会社の近くに引っ越す

上記の例では、転職サイトやカーシェアリング、引っ越し業者の利用なども解決策になり得ることがわかります。不安や悩みの解決をゴールと考えれば、必ずしもパーソナルジムに通う必要はありません。

最初から潜在ニーズを読み解くことは難しいですが、自社などに関連するウォンツから紐解いていくと、的確な分析結果を得やすくなります。

潜在ニーズの引きだし方4つ

顧客などから潜在ニーズを引きだすには、日々の悩みや要望(ウォンツ)を調査する必要があります。どのような調査をすればよいのか、以下では5つの方法を紹介します。

1.アンケートを取る

紙やウェブを利用したアンケートは、ターゲットから直接的にニーズを聞ける方法です。ウォンツを深堀りできる質問を入れると、収集したデータを見るだけで潜在ニーズを読み取れることもあります。

どのような質問項目を入れるとよいのか、以下で例を紹介しましょう。

<例1>
Q1.パーソナルジムに興味はありますか?
Q2.興味があると回答した方は、その理由を選択してください
Q3.「その他」と回答した方は、具体的な理由を記入してください

<例2>
Q1.健康面に不安はありますか?
Q2.「不安がある」と回答した方は、当てはまるものを選択してください
Q3.「疲れがたまるから」と回答した方は、疲れの原因を選択してください

上記のように、ターゲットのウォンツや不安を深堀りすると、潜在ニーズまでたどりつける場合があります。収集したいデータと、ターゲットがどのように回答するかを具体的にイメージしながら、ひとつずつ質問を組み立ててみましょう。

なお、派遣型の企業研修サービスを提供している当社も、過去にビジネスメール・チャットに関するアンケートを実施しています。会社員にとってメールやチャットは基本業務ですが、回答者自身では気づきにくい課題や実態も明らかになりました。

(参考)フジテレビ系列の報道番組「Live News α」においてYOSCAの実施したアンケート調査結果が使用されました | 記事作成代行なら株式会社YOSCA

2.インタビューをする

店舗などでインタビューをする方法も、ウォンツや悩みを直接聞ける方法です。アンケートより労力はかかりますが、インタビューは回答内容に合わせて質問を変えられるため、潜在ニーズまで深堀りできる可能性が高まります。

ただし、一般的なアンケートでは深掘りが難しいこともあるので、次のような手法も検討してみてください。

  • デプスインタビュー(1対1で対話をする形式)
  • グループインタビュー(5人程度のターゲットを集めて、座談会をする形式)

たとえば、BtoBかつ厚利少売のサービスを取り扱っているような場合は、専門家がインタビュアーを務めるデプスインタビューが向いているかもしれません。当社では、経験豊富な取材ライターによるインタビューも承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。

3.行動観察をする

エスノグラフィーと呼ばれる行動観察調査も、潜在ニーズを引きだす方法のひとつです。

行動観察は、実際に製品・サービスを利用してもらっている環境で行います。どのような使われ方をしているかや、使用中の反応などを確認し、ターゲットが感じている課題や不安を分析します。

一度の観察では分析が難しいこともあるため、可能であればビデオカメラなどで現場を撮影しましょう。また、製品・サービスの利用後にアンケートやインタビューをすると、より具体的な感想や意見を聞くことができます。

4.SPIN営業をかける

SPIN営業とは、 「状況質問・問題質問・示唆質問・解決質問」の順で話を展開し、顧客から潜在ニーズを引きだす営業手法です。ターゲット自身に潜在ニーズを自覚させる効果があるため、スムーズに商談を進められる可能性があります。

どのように話を展開するのか、以下ではパーソナルジムの営業を例として解説します。

※SPIN営業の流れ

<状況質問の例>

  • 最近になって体型は変わりましたか?
  • 日頃からスポーツや運動はしていますか?
  • 自宅にトレーニング用の機材はありますか?

<問題質問の例>

  • 健康面に不安はありますか?
  • ご自身に合った運動方法を知っていますか?
  • トレーニング機材をいくらで買えるか知っていますか?

<示唆質問の例>

  • 運動不足になると疲れがたまりませんか?
  • 間違った運動でケガをすると困りませんか?
  • 高い機材を買っても続けられるか不安ではありませんか?

<解決質問の例>

  • 会社帰りに通えるジムがあると便利に感じませんか?
  • 専門家から正しい運動方法を教わりたくないですか?
  • 機材のそろったジムがあると助かりませんか?

潜在ニーズの調査だけを目的にする場合は、示唆質問の段階までで構いません。SPIN営業の流れは参考になるため、インタビューなどにとり入れることも検討してみてください。

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SEO分析で潜在ニーズを見つける方法

潜在ニーズの把握は、ウェブコンテンツの製作にも役立ちます。たとえば、読者に潜在ニーズを自覚させることができれば、SPIN営業と同じような効果が期待できます。

ウェブユーザーの潜在ニーズを調べる場合は、検索エンジンやツールを使ったSEO分析が有効です。どのような方法があるのか、ここからは具体的な分析方法を紹介しましょう。

検索上位のページを分析する

Googleなどの検索エンジンは、ユーザーの検索意図に合致したページを評価し、検索画面の上位に表示する傾向があります。つまり、検索上位のページにはユーザーが「知りたい」「役に立つ」と感じる情報が詰まっているため、潜在ニーズの分析に活用できます。

たとえば、「パーソナルジム 費用」のキーワードで検索すると、各サービスの料金比較や相場を紹介するページが上位を占めています。この検索結果に対して「なぜ?」という質問で深掘りすると、検索ユーザーの潜在ニーズが少しずつ見えてきます。

<潜在ニーズを深堀りする例>
Q1.なぜ料金を比較したいのか?A.できるだけ安いジムを探しているから。
Q2.なぜ安いジムを探しているのか?A.高額な費用がかかるなら、自宅でのトレーニングを考えているから。
Q3.なぜパーソナルジムを検索したのか?A.自宅で機材をそろえることが大変だから。
Q4.なぜ自宅だと難しいのか?A.機材を置くスペースがなく、続ける自信もないから。

上記のように深掘りすると、検索ユーザーは「自宅のスペース」と「継続性」の面で悩んでいる可能性もあると考えられます。そのため、スペースを取らないトレーニング機器や、趣味として楽しめるアクティビティにも関心を示すかもしれません。

ユーザーが「そのキーワードをなぜ検索したのか?」を意識しながら、検索上位のページを分析してみましょう。

サジェストや関連キーワードを分析する

検索エンジンに表示されるサジェストや関連キーワードからも、潜在ニーズを読みとれることがあります。

サジェストとは、検索したいキーワードの入力中に表示される予測キーワードです。一方で、検索結果の画面に表示される予測キーワードは、関連キーワードと呼ばれています。

いずれのキーワードも、基本的にはユーザーの検索意図を踏まえたものが表示されます。そのため、検索上位のページと同じ流れで分析すると、潜在ニーズまでたどりつける可能性があるでしょう。

サジェストの分析方法については、下記のページでも詳しく解説しています。効率的に抽出する方法もまとめているので、潜在ニーズを把握したい方はぜひ参考にしてください。

参考記事

共起語を分析する

検索キーワードと一緒に使われることが多い共起語も、潜在ニーズの分析に役立ちます。

たとえば、パーソナルジムの共起語には「食事」があります。「なぜ食事というキーワードが一緒に検索されるのか?」を調査してみると、低脂肪高タンパクの食事がトレーニングに役立つことがわかります。

共起語には潜在ニーズを言語化したものが多いため、目を通すだけでさまざまな情報が読みとれます。共起語の調べ方や分析方法については、下記のページを参考にしてください。

参考記事

潜在ニーズを掘り起こすフレームワーク

ビジネスなどで用いられるフレームワークも、潜在ニーズの分析に活用されます。ここでは、アンケートや行動観察と併用しやすいフレームワークを紹介します。

5W1H

5W1Hは、「いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように」という視点で物事を分析するフレームワークです。ターゲットの行動を深堀りしやすいため、前述の行動観察(エスノグラフィー)との組み合わせが有効でしょう。

たとえば、パーソナルジムに30代男性のモニターを呼び、途中でトレーニングをやめてしまったケースを分析してみます。

  • When(いつ):運動不足を感じていた時期に
  • Where(どこで):モニターとして呼ばれたパーソナルジムで
  • Who(だれが):30代男性のモニターが
  • What(なにを):トレーナーから教えてもらったトレーニングを
  • Why(なぜ):日頃の運動不足がたたって
  • How(どのように):身体の痛みを訴えてやめてしまった

上記のように分析すると、男性がトレーニングを中断した背景や原因がわかります。「なぜ中断したのか?」が言語化されるため、モニターが潜在的に求めていた運動のレベルや、提案すべきだったトレーニングなどを分析しやすくなります。

5W1Hを使いこなすには、各要素をできるだけ具体化することが重要です。一部の情報が不足している場合は、アンケートやインタビューとの併用も検討してみましょう。

AIUEOフレームワーク

AIUEOフレームワークも、行動に至った背景や原因を分析できるものです。ターゲットの現状から分析をする形になるため、基本的にはアンケートやインタビューとの相性がよいでしょう。

AIUEOフレームワークの構成要素は、以下の通りです。

  • Activities(行動):いま起こっていること、対象者の希望や目標
  • Interactions(相互作用):対象者の交流、サービス同士のつながり
  • User(利用者):ターゲットの属性
  • Environment(環境):物事が起こった背景や場所
  • Object(もの):あるモノとないモノ

5W1Hと同じく、30代男性がトレーニングを途中でやめてしまったケースを分析してみます。

  • Activities(行動):身体を鍛えたかったが、ケガでトレーニングを中断した
  • Interactions(相互作用):専任のトレーナーが方法を教えた
  • User(利用者):日頃から運動不足を感じている30代男性
  • Environment(環境):会社帰りに通えるパーソナルジム
  • Object(もの):十分な機材はあるが、経験豊富なトレーナーが少ない

仮に上記のように分析すると、トレーニングが中断された原因は運動不足だけではないことがわかります。トレーナーのスキル不足によって、個々に適したメニューを提案できなかったのかもしれません。

したがって、モニターの男性と属性が似ている人は、「運動不足でも安全かつ効果があるトレーニング法」を求めている可能性があります。聞き取り調査だけでの分析が難しい場合は、同様の流れで潜在ニーズを深堀りしてみましょう。

潜在ニーズは丁寧に掘り起こそう

潜在ニーズは隠れているからこそ、段階を踏んで掘り起こすことが重要です。ターゲット自身も気づいていないため、アンケートやインタビューだけでは簡単に引きだせません。

データの収集後には、「なぜ?」という質問を繰り返して深掘りをする必要があります。5W1Hなどのフレームワークも活用しながら、丁寧に分析作業を進めていきましょう。

本記事の内容が、貴社のビジネスにプラスとなりましたら幸いです。潜在ニーズを踏まえたウェブ運営・記事制作については、当社でもお手伝いをしております。各分野の専門ライターもそろえておりますので、どのようなジャンルでもお気軽にご相談くださいませ。

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片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。