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オウンドメディア 立ち上げの全手順(企画・記事制作・運用から費用まで)

オウンドメディア立ち上げの全手順〈企画・記事制作・運用から費用まで〉

最終更新日:2023年3月31日)

本記事ではオウンドメディア立ち上げの手順をご紹介します。オウンドメディアに関わる全ての担当者に読んでいただきたい内容にまとめました。

  • オウンドメディア立ち上げから運用までにやるべきこととその方法を知る
  • 成果を出せるコンテンツの作り方が分かる
  • 運用が上手くいくコツ、失敗する理由を知る

本記事を執筆・監修したのは、これまで数多くのオウンドメディアの記事作成に貢献してきた、記事作成代行のYOSCA取締役、阿部(@abemichihiro)です。(2名のライター・編集さんと協力して執筆しています。)

総ボリューム2万文字超と長文になってしまいました。最初から通して読むもよし、目次から気になる部分だけ読むもよし、ぜひオウンドメディアづくりに役立ててください。

目次

オウンドメディアとは?その機能や目的

オウンドメディアの定義

オウンドメディアとは、自社で発行する広報誌やパンフレット、インターネット上の自社ウェブサイト、ブログなど、企業がユーザーに向けて発信する媒体の総称です。その中でも、「企業が所有し独自に情報発信するWebメディア」を指すことがほとんどです。

オウンドメディアが注目された背景

オウンドメディアが注目され始めたのは2010年頃からだといわれています。この頃はスマートフォンやSNSが普及しはじめ、消費者が知りたい情報をいつでも簡単に収集できるようになった時代と重なります。
アクセスできる情報が圧倒的に増えたことで、消費者は自分が興味のある情報だけを選び、必要のない情報には見向きもしなくなりました。
それまで主流だった、企業が一方的にサービスや商品を売り込む広告が通用しなくなってきたのです。

そのような状況で、新たなマーケティング手法として話題になったのが「コンテンツマーケティング」です。

広告と違い、コンテンツマーケティングは消費者にとって価値のある情報を発信することで自社の存在を認知してもらい、集客を図ります。「オウンドメディア」は、コンテンツマーケティングの媒体として注目を集めるようになりました

オウンドメディアは、質の高いコンテンツを発信さえすれば、検索エンジンからの自然流入による集客が可能です。長く運営し続ければ、蓄積したコンテンツが会社の資産にもなります。

オウンドメディアの主要な目的

オウンドメディアサイトに訪れてくれた潜在顧客に対して期待できるのは、企業のこだわりや商品・サービスに込めた「思い」「情熱」を伝え、共感を得て、ファンになってもらうことです。
こうしたオウンドメディアの機能は、以下のような数値化可能な目的と結びつきます。

見込み客の新規獲得

オウンドメディアを通じて発信されたサービスや商品に関する情報が、今まで接点を持てなかった潜在顧客の元に届き、検索エンジンからの流入が増え、新たな見込み客(リード)の獲得につなげることが期待できます。

検索結果の上位表示(SEO)

Googleの検索エンジンは、「ユーザーの役に立つコンテンツを用意することが何よりも重要」という方針のもとで開発が続けられています(「検索に対する Google の方針」参照)。Googleが良質なサイトだと認識して検索エンジンに上位表示されれば、ユーザーの目に留まりやすくなるということです。
さらに、検索上位に表示されるサイトの企業は「業界上位の企業」というイメージを持たれやすいので、企業の信頼度が上がり、さらにコンバージョン(購入、資料請求、問い合わせなどの行動)につながりやすくなります。

社風に合った人材の採用

ファン化し、顧客としてではなく「この会社でぜひ働きたい」という熱意を持った人が集まればマッチング精度が向上するなど、人材採用にもメリットがあるといえます。
最初から採用を意識してオウンドメディアで働く社員や職場の雰囲気などを発信し、自社で働くことに興味を持ってもらうことも可能です。

採用につなげる社員紹介やインタビュー記事の作り方についてはこちらの記事も参考にしてください。

ペイドメディア、アーンドメディアと組み合わせて施策する

Web上のメディアには、オウンドメディアの他に「ペイドメディア」と「アーンドメディア」があり、これらを合わせて「トリプルメディア」と呼びます。マーケティングにおいてはオウンドメディア単独ではなく、この三種類を組み合わせた施策を行うのが一般的です。
それぞれの特徴に応じて得意・不得意な点があることを理解し、上手に運用しましょう。

メディア種別定義得意不得意
ペイドメディア
(Paid media)
費用を払って掲載する広告全般。テレビ、新聞、リスティング広告やマス広告など。・短期的な集客・ユーザーとのコミュニケーション
アーンドメディア
(Earned media)
SNSや口コミサイトなどのこと。消費者起点のプラットフォームで消費者の共感や信頼の獲得を狙う。Twitter、Facebook、Instagram、いいね!、おすすめ、レビューなど。・ユーザーとのコミュニケーション・短期的な集客
オウンドメディア
(Owned media)
企業や組織が独自に運営するメディア。Webサイト 、ブログなど。悩み・困りごとを解決するために情報を求めている人と接触する点で検索エンジンとの相性がよい。・ブランディング
・見込顧客獲得
・短期的な集客
・ユーザーとのコミュニケーション

最近では「トリプルメディア」に「シェアードメディア」を加えた、「PESO(ペソ)メディア」によるコミュニケーション戦略を謳う企業も出てきています。
「シェアードメディア」とは、「アーンドメディア」を、パブリシティ活動(出版、報道、インフルエンサーなど)と、消費者起点の活動(口コミやSNSによる拡散など)に分けたうちの後者を指します。

PESOメディアを活用する際の基本的な考え方はトリプルメディアと変わりません。しかし、旧アーンドメディアの概念がよりわかりやすくなったPESOメディアは、これからの主流となっていくでしょう。

オウンドメディアの立ち上げ手順

STEP1.立ち上げの目的と定量的な目標を明確にする

目的を明確にする

オウンドメディアの立ち上げは、目的を明確にすることから始めます。オウンドメディアのミッションは何か、ゴールはどこにあるのか。目的を明確にすることでチーム内に求心力が生まれ、戦略の創造やプランニングなどにおいて高いモチベーションを維持しアクションを起こし続ける力の源となります。

  • 企業の認知度アップ
  • 商品購入または問い合わせ件数の増大
  • 採用強化

など、オウンドメディアという手段によって解決したい課題を明確にしておきましょう。

定量的な目標数値を設定する

次に、オウンドメディアの定量的な目標数値を設定します。これは、ミッションに対する達成状況を定量的に計測し、進捗を把握するために必要です。
この数値がメディアの設計段階から運用まで、あらゆることの判断基準となりますので、オウンドメディアの運用に関わるチーム全体で共有しましょう。

多くの場合は以下の2種類の数値を設定することになります。

  • KGI…Key Goal Indicator/最終目標、ミッション、ゴール
  • KPI…Key Performance Indicators/中間目標、KGIを達成するための過程、指標

ここで注意したいのが、「KGIは一つにする」ということです。オウンドメディアに複数のゴールを持たせると、KPIが複雑になってしまいます。
また、よくある間違いが、数字も期日も曖昧な内容をKPIにしてしまうケースです。下に例を挙げてみます。

例えば、「年間の売上50%アップ」というKGIに対して……

  • 悪いKPI:良い記事をたくさん書く、認知を高める
  • 良いKPI:半年後にリピーターを50%増やす、1年後に○○万PVを目指す、など

いつまでにどんな数字を目指すのかをはっきりとさせておきましょう。後で数字の修正は可能なので、まずは目標を設定することが重要です。

数字目標の達成は短期・長期の両面から見る

オウンドメディアを立ち上げても、すぐに成果が出るとは限りません。早くても半年ほどで、1〜2年以上かかる場合もあります。
上質なコンテンツを配信し続け、サイトを分析し、改善を行う。中長期的にこれを繰り返すうちに、一定の効果が発揮されるのがオウンドメディアです。
初めからいきなり高い指標を設定すると挫折しやすいので、少しずつハードルを上げていくことをおすすめします。

具体的には、運用フェーズに合わせて適切なKPIの設定をします。

運用フェーズに合わせた適切なKPIを設置するための考え方

最適な運用フェーズと数値目標はメディアの性質によって異なります。いつ、何をすべきかを明確にした上で立ち上げに臨みましょう。

STEP2.サイトコンセプトを決める

ペルソナやカスタマージャーニーを設定

サイトコンセプトを設計する際は、「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」が必要になります。

ペルソナとは、サイトを訪問する人物像を指すもので、年齢、性別、趣味嗜好、ライフスタイル、職業、家族構成、学歴などできるだけ事細かに項目を設定したものです。
ペルソナがあれば、「誰」に「何(情報)」を提供するのかが明確になり、どんなコンテンツを作るべきか、サイトに必要な機能は何かなど、オウンドメディアのコンセプトや方向性が見えてきます。

カスタマージャーニーとは、ユーザーがサービスや商品を知り購入に至るまでの「行動」「思考」「感情」のプロセスのことです。
サイトに訪れたペルソナの行動をあらかじめプロセス化することで、運用の段階に入ってから方向性に迷うことが減り、オウンドメディアを成長させることができるでしょう。

カスタマージャーニーをプロットして図にしたものが「カスタマージャーニーマップ」です。ユーザーが何かアクションを起こす前後には、様々な思考、感情、課題があります。その行動を目に見える形に具体化し、仮説を立て、チームの共通認識としましょう。

具体的には、サイトの認知→情報収集→比較・検討→成約・購入。この四つの段階で、ニーズのある情報と、ニーズを満たす情報を提供するコンテンツを挙げます。

カスタマージャーニーマップの作成例
※カスタマージャーニーマップの作成例(クリックすると拡大します)

このペルソナとカスタマージャーニーマップを参考に自社のオウンドメディアにふさわしいコンセプトを制定します。
さらに潜在顧客、見込み顧客、成約(購入)と、それぞれの段階に沿って、どんなコンテンツをどれくらいの本数でどう配信していくのかを設計しましょう。
ここでペルソナがどんなキーワード検索でサイトに流入してくるのかも、ある程度イメージしておきます。

ペルソナの設定は客観的なデータに基づくことで失敗を避ける

覚えておきたいのが、ペルソナは企業にとっての「こういう人がいたらいいな」という理想像ではないということです。固定概念にとらわれないよう、ペルソナを設定する際は以下のような手法による客観的なデータを参照することをおすすめします。

  • デスクトップリサーチ(ネットに開示されている情報、文献、書籍などから現状を把握したり、参考情報をリサーチする)
  • ヒアリング(50~100項目の質問シートをもとに、顧客に直接聞く)
  • サーベイ/アンケート(ペルソナに近いと思われる社員やユーザー複数名にアンケートを取る)
  • アクセス解析(サイト上のユーザー行動を定量的に把握する)
  • ベンチマーキング(競合サイトなど他のサービスからアイデアを得る)

STEP3.ペルソナやカスタマージャーニーをもとにコンテンツマップを考える

ペルソナを設定し、カスタマージャーニーマップを作成したら、次は「コンテンツマップ」の作成です。コンテンツマップが必要な理由は主に2つです。

必要なコンテンツを、漏れなく、重複なく作るため

コンテンツマップとは、サイトの「目次」や「設計図」です。

作成の目的は、サイトの全体像を把握すること。「オウンドメディアを立ち上げたものの、必要なページが作られていなかった、同じようなページを重複して作ってしまった……。」そういった事態を避けるために、コンテンツマップは重要な役割を果たします。

コンテンツマップを作成する手順

1.サイトをページの種別ごとに章立て
2.章を項目別に分類
3.ページを配置する階層構造で表現

コンテンツマップの例
ユーザーを効率よく成果に導くために

コンテンツマップを作成するときのポイントは、「成果(コンバージョン)につながる導線」を意識することです。

サイト内の導線が効果的であればあるほどユーザーはコンバージョンへ近づきます。導線が悪ければ、ユーザーはコンバージョンにたどり着く前にサイトから離脱してしまうかもしれません。

コンテンツマップでサイトを俯瞰的に見ればユーザーがページ間を移動する導線も確認が容易になります。サイトのユーザビリティを向上させるとともに、ミッション達成に近づくことができる構造を目指しましょう。

STEP4.必要な機能について要件定義する

サイトの制作は、要件定義から入ります。オウンドメディアの作り方自体は、従来のWebサイトの構築プロセスと基本的に同じです。しかし、オウンドメディアは記事の更新頻度が高く、コンテンツの量産が必要なものです。

そのため、安定してオウンドメディアを運営できるよう、サイトに必要な機能や、必要なコンテンツを書き出していきます。例えば問い合わせフォームサイト内検索機能、外部の人に記事作成を依頼する場合は外部から投稿する機能が必要になることもあります。サイト制作に入った後で機能を追加するのは、時間や費用のロスにつながります。

STEP5. 社内で開発するか外注するか決める

必要なコンテンツや機能が整理できたら、次は制作方法の検討です。
大きくは制作を社内でするか、外注するかを決めます。それぞれメリット、デメリットがありますので、比較・検討してみましょう。

社内で開発する場合

社内にWebサイトの制作および運用スキルがある。コストはできるだけ抑えたい。そういった企業は社内で制作しましょう。たとえば無料のCMSを利用した場合、かかる費用はドメイン代とサーバー代の月数千円程度で済みます。
社内でゼロからサイト構築して開発するケースでは、オウンドメディアを立ち上げてはみたものの継続的に運営する人材を社内で確保するのが困難になり、思うように運営できないことが多いようです。

  • メリット:費用面のコストが抑えられる
  • デメリット:クオリティは社内のスキルに左右される、記事更新のための人的リソースが大きい

記事コンテンツの内製化にあたっては以下の記事も参考にしてください。

外注して開発する場合

社内に制作スキルがない、コストをかけられる、質の高いサイトにして検索エンジンからの流入数を増やしたい。そういう企業には外注をおすすめします。
気になる予算ですが、外注するとサイト構築のための初期費用(例:WordPressのオリジナルデザイン設置で30〜100万前後)が発生します。さらに、記事作成や分析などの運営まで依頼する場合は、記事単価が数万円追加、分析費が月数万円追加、というように上乗せされます。

  • メリット:クオリティが高い、運用の場面ではディレクションが中心で手を動かすのは最小限
  • デメリット:費用面のコストが高くつく

STEP6.WordPressなど使用するツールやシステム、サーバーを検討する

オウンドメディアにおいてはCMSの利用が必須

CMS(Contents Management System)とは、Webサイトの構築が簡単にできるソフトウェアのことです。

Webサイトの構築や更新にはHTMLやCSSなどのコーディングが必要ですが、CMSの場合、あらかじめ管理画面にコードが用意されているので、コーディングを一から行う必要がありません
プログラミングやWebサイト制作の専門知識がなくても、CMSを利用すれば簡単に自分だけのWebサイトを運営することができます。

CMSには制作効率の面でもメリットがあります。
関連記事の表示、ソーシャルメディアの共有、キーワードやディスクリプションなどのMETAタグといった項目を最初に設定できるので、その後ページを追加するたびに設定する必要がありません。
予約投稿(ページの公開日時、終了日時を設定)することもできます。この機能は、企業が営業をしていない日に記事を公開したいというときや、期間限定で記事を公開したいというときに便利です。

サーバーを選ぶ際は、CMSを使用できるものを選びましょう。

WordPressは広く利用されているツールだが注意点もある

WordPressは利便性が高く、世界中で人気を集めているCMSとして有名です。無料、簡単、プラグインが豊富、拡張性が高い、SEOに強いなどが人気の理由でしょう。

初心者ブロガーからTIMEといった世界的な企業まで幅広いユーザーに選ばれているWordPressですが、注意点もあります。

完全に内製で利用するにはプログラミング知識も必要

WordPressには、「テーマ」と呼ばれる「テンプレートデザイン」が豊富に用意されています。すでにデザインされた「テーマ」の中から気に入ったものを選択するだけで、簡単にデザインを切り替えることができるのでとても便利です。

しかし、「デザインをもっとおしゃれにしたい」「レイアウトをちょっと変えたい」というときは、HTML、CSSなどのソースコードを自分で書き換えなければなりません
そのため、WordPressを完全に内製で利用するには、ある程度のコーディング知識が必要です。

テーマ選びは慎重に

WordPressは、たくさんの「テーマ(デザイン)」から好きなものを選んで利用することができます。あまりにもたくさんありすぎて、どれを選べばよいかわからない人も多いかもしれません。

ここでは、テーマを選ぶ際に確認するべきポイントをいくつか挙げていきます。

無料テーマと有料テーマの違いを把握しておく

WordPressのテーマには無料のものと有料のものがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。

無料テーマ
  • メリット:初期費用0円。
  • デメリット:SEO 対策が十分でない可能性がある。カスタマイズがしづらい。アップデートが行われない可能性がある。想定外のエラーが起こる可能性がある。

無料テーマには、シンプルであまり作り込まれていないテーマも存在します。注意したいのは、SEO対策が不十分なテーマ(検索エンジンが情報を理解しやすい構造になっていない)や、カスタマイズ性が低いテーマがあること。サポートがないものは、予期せぬエラーに自己責任で対応することになります。初期費用はかかりませんが、運用にかかる労力とリスクが高いといえます。

有料テーマ
  • メリット:SEO対策が施されている。豊富なテーマから選べる。サポートがある。カスタマイズがしやすい。
  • デメリット:初期費用(1~2万円程度)が必要。

有料テーマは、初心者でもカスタマイズしやすくなっており、デザイン性の高いサイトを制作することができます
サポートもついているため、安心して利用を続けられます。SEO対策がしっかり施されているテーマが多い点も、有料テーマのメリットといえるでしょう。

安全性を確認すること

WordPressはオープンソース型のCMSです。このため、セキュリティには十分配慮する必要があります。安全なテーマを選ぶにあたり、注意するポイントは以下の3つです。

1. テーマは公式サイトから選ぶと安心

特に無料版に言えることですが、安全性を確保するなら、公式サイトで紹介されているテーマから選ぶのが最も簡単な方法です。
もし非公式のテーマを選んだ場合、運用中に不具合が生じるリスクが高まります。特に企業が運用するオウンドメディアでは、万が一不具合が起きたときの影響は大きいので、リスクは極力避けたほうが賢明です。

2. トラブルにそなえ開発者は把握しておく

開発者の連絡先と身元を確認することは、有料・無料、公式・非公式を問わず、どのテーマを選ぶ場合でも非常に大事なポイントです。「万が一トラブルが起きても、開発者と連絡が取れる」ということは、サイトを運用するうえで大きな安心材料となるでしょう。

3. 定期更新の有無を確認する

テーマが定期的にアップデートされていないと、WordPressのアップデートに対応できず、不具合が生じることがあります。アップデート履歴は必ず確認しましょう。

SEO対策は必須

選ぶテーマに、SEO対策の機能が備わっているかどうかを確認しましょう。

たとえば、記事タイトルの見出しを「h1」、それ以下の見出しを「h2」「h3」と続くよう、適切にマークアップできるなど、コンテンツ内の階層構造が適切に組まれていると、検索エンジンに認識されやすくなります。

また、ページの表示速度最適化の対策がとられているかも確認しましょう。読み込み速度の遅さは検索結果に影響を与える可能性がある他、ユーザーの直帰率にもつながりますので無視できないポイントです。
プラグインでSEO対策を導入することもできますが、中にはテーマと相性が悪く不具合を起こすものもあります。初めからSEO対策の機能が備わったテーマを選んだ方が、リスクも手間も省けて無難でしょう。

パンくずリストが正しく表示されるか

パンくずリスト」とは、サイト内の「現在位置」を表わすナビゲーションで、主にページの上部に配置されます。
サイトを訪れたユーザーは、自分が見ているページがサイト内のどの階層に位置しているのかをパンくずリストで確認できます。

ユーザーはサイト内で迷子にならず、必要な情報を見つけやくなるので、ユーザビリティ(利便性)が向上します。

さらに、サイト内の回遊を促し、最終的なコンバージョンへの誘導の助けにもなります。さらに検索エンジンがサイトを把握しやすくなるので、SEO対策にもつながります。

レスポンシブデザインに対応しているかどうか

パソコン、タブレット、スマートフォン。ユーザーがサイトの閲覧に使用するブラウザのサイズは、多様化しています。

レスポンシブデザイン」とは、ユーザーが見ている画面のサイズに応じて、表示が最適化されることです。
レスポンシブデザインに対応していないと、たとえばスマートフォンでサイトを見たときに表示が画面からはみ出して全体が見えなかったり、縮小されすぎて見づらかったりします。

サイトが見づらいだけで直帰率に大きく影響しますので、レスポンシブデザインに対応したデザインを選びましょう。

カスタマイズ性の高いテーマを選ぶ

カスタマイズ性の高いテーマを選んでおくと、管理画面からメニューを選ぶだけで簡単にレイアウトをアレンジできます。

ソースコードを手入力して書き換えることもできますが、専門知識がないと難しいですし、1文字間違えるだけで全体の表示が崩れたり、表示されなくなったりしてしまいます。

運用の効率を考えて、あらかじめ必要な機能が十分備わっているテーマを選択することをおすすめします。

自分の作りたいサイトのイメージに合っているか

最終的には、オウンドメディアのイメージや目的にマッチするテーマを選びましょう

ちなみにこのYOSCAブログもWordPressで構築されており、使用しているのはTCDという有名なテーマです。
上記に挙げたようなポイントをクリアしていることに加え、ファーストビューに動画を表示できる作りたいページのイメージに合致していたといった点が採用の理由です。

STEP7. デザインを決定しコーディングする

具体的なページのデザインとレイアウトを決め、HTMLやCSS、JavaScriptなどのコーディングをしたらサイト完成です。

WordPressなどのCMSを利用する場合、デザインテンプレート(テーマ)を使えば、コーディングにかける時間はそれほど必要ないでしょう。
コーディングを終えたら、パソコンやスマートフォンなど、画面サイズが違うデバイスで動作確認をして、問題なければいよいよリリース目前です。

コンテンツ(記事)制作とサイト制作は同時進行・同時公開

コンテンツ制作とサイト制作はそれぞれ連携を取りながら進め、どちらかに「空き時間」「待ち時間」が生じないよう、上手にスケジュールをコントロールをする必要があります。

特にオウンドメディアの場合は公開前に十分な記事を用意しておかなければなりません。サイト制作とコンテンツ制作は、社内体制をしっかり整えて同時進行で進めましょう

STEP8.メディアの更新頻度を決める

記事の更新頻度に、理想的な数字はあるのでしょうか。有名なメディアの更新頻度をいくつか見てみます。

サイト名更新頻度/月
北欧、暮らしの道具店90回前後
サイボウズ式5~7回
経営ハッカー2~4回
経理プラス10~15回前後

かなりバラつきがあることがわかりますし、例えば2012年にスタートした経営ハッカーは過去に比べて更新頻度を減らしています

このことから、適切な更新頻度はメディアのジャンルやフェーズによって全く違うといえるでしょう。

これを踏まえて、更新頻度は以下のように進めてみることをオススメします。

  1. まずは、仮の目標更新頻度を決める(たとえば週2~3回など)
  2. その上で、効果測定や人的リソースの調整を繰り返し、自社のサイトに適切な頻度を見つけていく。

Books&Appsを運営する安達裕哉氏は「PVを伸ばしたいなら、月10記事は必ず必要」と述べています。もちろん、投稿の頻度にとらわれすぎて、納得のいかない水準の記事を投稿しないように気をつけてください

ちなみに当YOSCAブログは月1本から多くて2本というところです(2022/04時点)。徹底的に調べてそれなりのボリュームの記事をアップしようとすると、我々としてはこのペースが精一杯というのが正直なところです。

STEP9.ペルソナをもとにキーワード選定する

検索エンジンに上位表示されるためには、ユーザーニーズを満たした質の高いコンテンツを発信しなければなりません。

そこで必要不可欠なのが、ユーザーの検索意図に沿ったキーワード選定です。ペルソナをイメージしながら、ユーザーが解決方法を調べる際に検索サイトに入力しそうなキーワードを先回りして予測しましょう。キーワードは100〜200個はリストアップしたいところです。

キーワードを決めるときのポイント

検索ボリュームが多いキーワードを選ぶ

検索ボリュームとは、そのキーワードが何回検索されたかを示す数字です。

検索ボリュームが多いキーワードを選べば、ユーザーの目に止まる機会が増えるといえます。キーワードの検索には、UbersuggestKeywordmapミエルカなどのツールを使うと便利です。特にUbersuggestはChromeの拡張機能としても導入できるのが便利ですね。

CVR(コンバージョン率)の高いキーワードを使う

コンバージョン率の高いキーワードを選定すれば、売り上げアップにつながりやくなります。
例えば「おすすめ」「比較」「評判」などのキーワードは、行動に移そうとしているときに使われやすいキーワードです。

STEP10.作成するコンテンツ(記事)を決める

キーワードを書き出したら、コンテンツ(記事)作成の準備に入ります。ここがオウンドメディアの要。何より力を入れて取り組むところです。

読者のニーズに沿ったコンテンツ設計・企画が必要

「ペルソナにどんな情報を届けるべきか」を基準に、ユーザーのニーズに沿ったコンテンツを企画します。ユーザーが求めているのはどんな情報でしょうか。

  • 困りごとを解決する、欲しかった情報
  • これまで知らなかった、新しい有益な情報
  • 他のサイトより充実した価値ある情報
  • 信憑性があり、信用できる情報

これらに則する形でコンテンツを作れば、自ずと質の高いコンテンツとなるでしょう。

ただ、これを実現するのは容易ではありません。例えば「これまで知らなかった、新しい有益な情報」を提供するためには、ちょっとネットで調べたような情報を入れるわけにはいきません。自分の今までの経験や知恵を総動員して、徹底的に自分と対話して、やっとの思いで絞り出す――そうした努力が必要です。自分にその知識がなければ取材することもあるでしょう。つまり、「新しい情報」や「有益な情報」というのはそう簡単にまとまっていない(まとまっていたら新たに作り出す必要がない)のです。「ユーザーのニーズに沿ったコンテンツを企画」するというのは、そうした産みの苦しみの上で生まれるものだといえます。

目的別の記事分類と適切なカテゴリ設計を考える

記事の分類

オウンドメディアはSEO対策が大事ではありますが、一方で、SEO対策「だけ」を意識しすぎて本来伝えたい自社のサービスや商品、ユーザーの役に立つ情報から離れてしまうことも懸念されます。SEO記事からサイトに訪れたユーザーの興味・関心を引くようなさまざまな記事を最初の段階で用意しておきましょう。

■記事の一例

インタビュー記事自社のブランディング活動に有効。 企業理念や職場の雰囲気を発信して、会社の魅力を伝える。採用活動にも効果的。
SEO記事検索エンジンの上位表示を狙い、潜在顧客のサイト流入を増やすのが目的。
バズ狙いの記事拡散力が強く、影響力がある。 ただしユーザーの興味関心、趣味嗜好に左右されるため、バズ(流行・拡散)を狙って生むのは難しい。
記事のカテゴリー分け

関連性のある記事をグループ化して、ユーザビリティの向上を図ります
カテゴリー名にキーワードを使用すれば、SEO対策にもなります。カテゴリーは、記事数に対して多すぎても少なすぎても利便性の向上にはつながらないので注意しましょう。

カテゴリーは自由に設定して良いのですが、より多くのユーザーを獲得しようとテーマを広げ過ぎると、サイトに一貫性が持てなくなります。
迷ったらサイトコンセプトに立ち返り、軸がぶれないように意識してください。

企画を発想する方法

編集会議では、アイデアを出し合って企画をブレインストーミングします。なかなか企画が出ない場合は、マインドマップなどのフレームワークを活用するのも有効です。

以下のような視点を切り口の参考にしてみてください。(いずれもBooks&Appsからの例示)

アイデア出しに詰まってしまったときは、次のような点もヒントになります。

  • 検索ボリュームの多いキーワードから着想する(Googleキーワードプランナーなど)
  • Yahoo!知恵袋OKWAVEなどのQ&Aサイトからユーザーニーズを探る
  • 競合他社の記事を分析する
  • 時事ネタからヒントを得る
  • 顧客、取引先からいただく質問・お問い合わせに答える
  • 自分たちが興味関心のあるネタを書く

STEP11.記事の骨子(構成案)を作成する

企画が固まったらいよいよ記事の作成です。

記事はいきなり書き始めるのではなく、あらかじめ骨組み(構成案)を作ります。目的は以下の4つです。

  • 話題を論理的に展開する
  • コンテンツの対象の心に響く展開を図る
  • 盛り込む内容の漏れを防ぐ
  • 執筆をスムーズに進める

骨子がしっかりしていないと、ターゲットや内容が曖昧になり、結局誰にも届かない記事になってしまいます。このステップは、コンテンツの制作が社内でも外注でも同じです。

構成は、タイトル→大見出し→小見出し、のようにツリー構造にします。入れたい見出しの洗い出しから始めてみましょう。こちらの記事も参考にしてみてください。

STEP12. 記事を執筆する

執筆のガイドラインを策定する

執筆に取りかかる前に、記事に統一感を持たせ、一定のクオリティを保てるように、執筆のガイドラインを策定しましょう。ガイドラインは外注時にも必要になります。

ガイドライン策定例
  • 文体
  • 記事構成
  • 文字数
  • 避けてほしいこと(NGワード、競合の情報など)

SEOを意識してライティングを行う

いよいよ記事の執筆です。
基本的にはどんなジャンルの記事もSEOを意識したいですが、「無理やりキーワードを多用する」など間違った対策を行うとかえって逆効果です。

詳しいSEO記事の書き方については、以下の記事にまとめています。参考にしてみてください。

記事の執筆は外注もできる

記事作成にはかなりの労力と時間を必要とします。定期的に記事を投稿したくても、社内の運用チームだけでは追いつかないことも多いでしょう。

そういった場合は外注も検討しましょう。コストはかかりますが、読みやすく高品質な文章の記事を作成してもらえます

実際に外注を利用するかどうかは、記事作成の優先度(投稿を続けることで生まれる利益、止まる不利益)運営予算などから総合的に判断します。

企画(構成)から依頼するか、執筆のみを依頼するか決める

外注する際は、企画(構成)から依頼する執筆のみを依頼するなど、どの工程から依頼するのかによって費用が変わってきます。運用リソースの配分を考えて、外注する範囲を決めましょう。

制作会社を選ぶときのポイント

外注先が信頼できる相手かどうか、事前のやり取りから判断しましょう。確認するポイントをいくつかあげておきます。

  • ヒアリング・提案を丁寧にしてくれるか
  • 作業範囲と料金体系は明確か
  • 編集体制は整っているか
  • 修正規定はわかりやすく提示されているか
  • コミュニケーションやビジネスマナーはできているか
  • 実績を提示してもらえるか

信頼できる外注先の選び方、価格交渉、付き合い方など、外注の仕方について詳しくまとめた記事がありますので、ぜひ参考にしてください。

フリーランスのライターを見つけて依頼するための方法は以下にまとめました。

STEP13.完成した記事を公開する

記事が完成したら入稿して、やっとオウンドメディアに公開です。記事の内容によっては、公開日公開時間など、効果的なタイミングを狙います
記事を公開したら、「必ず」「すぐに」動作確認を行いましょう。

動作確認の内容
  • パソコン、タブレット、スマートフォン、各デバイスで正しく表示されるか
  • 表示速度は遅すぎないか
  • 挿入画像は正しく表示されるか
  • 表示崩れがないか
  • 本文中にリンクを貼っている場合は、リンク先に正しく移動できるか
  • SNSの共有ボタンが正しく動作するか

STEP14. メディアのローンチをSNSや広告、メルマガにプロモート

オウンドメディアを立ち上げたら、プロモーション活動をします。
お店を新たに開店したら、必ず告知をしますよね。同じように、オウンドメディアもコンテンツの拡散をする努力が必要です。

検索エンジン以外からの流入口を確保するのはもちろん大事ですが、流入経路はそれだけではありません。SNSインターネット広告メールマガジン既存の取引先見込み客へ告知するなど、あらゆる方法を駆使して、オウンドメディアの認知を拡大し、集客を促しましょう

現在はSNSの活用が注目されていますが、プロモートには特にメルマガが非常に有効な手段となります。
緩やかにユーザーとつながり拡散によって不特定多数にリーチするSNSと異なり、メルマガのユーザーは自発的に企業の情報を受け取ることを選択しているからです。
メルマガ登録しているユーザーにとって刺さる記事を提供できれば、ダイレクトにPVに反映されるでしょう。メルマガはSNSのように文字数制限などがないので、情報を自由に伝えられるのも利点です。メルマガ配信に際しては以下の記事が参考になるでしょう。

また、例えば自社商品の活用事例やお役立ち情報の記事であれば、営業ツールとして紙媒体に展開するという方向も考えられます。
そのほか展示会やイベントで配布するなど紙媒体には便利な使い方があるので、コンテンツの活用方法の一つとして検討してみましょう。

参考)既存コンテンツを再利用する3つの方法。過去に書いた記事をリサイクル!

オウンドメディア立ち上げにかかる費用

ここまでご紹介してきたオウンドメディアの構築から運用には、だいたいどれくらい費用がかかるのでしょうか?
予算を組むためには目安を知りたいですよね。オウンドメディアの規模や、外注をどう使うかによってかかる費用には開きがあります。

全て外注した場合と自社で内製した場合の目安

まずはオウンドメディアの構築から運用フェーズまで、全て外注した場合のおおよその目安となる金額を表にまとめました。

依頼項目ドメイン・サーバーサイト構築記事作成/本分析、戦略立案/月保守
費用数千円~1万円10~500万数万~30万10~30万5,000円~1万円/月
作業内容・ドメイン取得
・レンタルサーバー
・サイトデザイン
・コーディング
・プログラミング
・レスポンシブデザイン
・オリジナルシステム構築
・企画構成
・執筆
・参考データ収集
・画像作成
・web解析
・データ分析
・戦略立案
・月次報告
・サポート

※サイト構築について、WordPress設置(テンプレートデザイン):10~30万、WordPress設置(オリジナルデザイン):30~100万、既存ホームページをWordPressに置換え:60万~、制作会社のCMS導入:100~500万程度

社内で内製する場合、かかる費用はドメイン・サーバー代の数千円〜1万円程度と、社内の人件費です。WordPressの有料デザインを利用するならさらに1~2万円程度必要です。

一方、外注する場合は構築と運用で数百万円かかるケースもあります。外注を利用する場合は、作業をどこまで依頼するか、上の図を参考にしながら検討してみてください。

平均としては、外注を利用する場合サイト構築に100万〜200万円を予算に設定する企業が多いようです。また、毎月の運用(記事制作、保守、運用など)予算は、20万円以上を見ておくと良いでしょう。

記事外注の費用については以下にまとめました。

長期的に運用するコストも見据えて予算を組もう

オウンドメディアは、時間をかけて育てていくメディアです。記事が増えてくるにつれて、少しずつ検索から流入し、継続的に訪問してくれるユーザーが増え、ファンが増え、その中から商品やサービスを利用してくれる人が出てきます。
効果が表れるまでには相当な時間がかかることを覚悟して、オウンドメディアの運用予算は長い期間で設定しましょう。

長期的に運用するためのポイント

定期的にコンテンツを更新し、オウンドメディアを長期的に安定して運用するには、しっかりとした体制作りが不可欠です。

2019年に行われた株式会社ベーシックの調査では、BtoB企業の約6割がオウンドメディアを運営している、あるいは運営する予定として積極的な姿勢を見せる一方、過去にオウンドメディアを運営していた企業の84.7%が2年未満でやめていると報告しています。

BtoB企業におけるオウンドメディアの運営状況
過去に運営していた企業がオウンドメディア運営を停止した時期/現在運営している企業がオウンドメディアを継続している期間

引用元:「BtoBマーケティング担当者142名に聞いたオウンドメディア実態調査」株式会社ベーシック(2019年12月12日)

このデータから、オウンドメディアの運営に関心を持つ企業が多い一方、長く継続できないケースも多いということが読み取れます。コストも労力もかかり、特に小規模事業者では継続するだけで精一杯です。正直に言うと、当YOSCAブログも更新の一時停止を何度も繰り返しています……。

それでも継続して効果を挙げていくためにどうすれば良いか、王道の施策をご紹介しましょう。

自社コンテンツ制作のための編集チームを立ち上げる

オウンドメディアの運用に必要な作業工程は膨大です。担当者の負荷が大きくなりすぎると作業が回らなくなり、運営ができなくなってしまいます。
たとえば、次のような業務の割り振りでは仕事がパンクしてしまうでしょう。

  • 記事の執筆、編集、効果測定まで一人の担当者が行う
  • ディレクターが、記事の進行管理、校正、協力会社とのミーティング、キーワード選定まですべて行う

オウンドメディアを成功に導くためには、しっかりとした体制を整えましょう。運用体制を具体的に作る場合、チームに必要な主な役割は以下の4つです。

  • オウンドメディアの意思決定や社内の折衝を行う統括者
  • 記事を執筆するライター
  • 記事のチェックを行う編集者
  • 効果測定を行いながらPDCAを回すマーケター

データ分析をしてPDCAを回す

オウンドメディアの運用は、「記事の投稿」「効果測定」「改善」の繰り返し。記事を公開したらアクセス解析やサイト内の行動分析をすることで、より戦略的な運用が可能になります。
特に過去の記事を分析し、古くなった情報に修正を加える「リライト」は、改善手段の一つとして多くのオウンドメディアで行われていることです。

効果測定のポイント
  • なぜ順位が落ちたのか?
  • なぜ直帰率が上がったのか?
  • なぜセッション数が伸びないのか?

このような問いに対して仮説を立て、改善点を探して実施します。そして再び効果測定をします。このようなPDCAをコツコツと回していくことが効果測定では大事になります。この動画も参考になるでしょう。

この記事も、およそ1年ぶりに全面的な内容見直しを行いました(2022/04/26)。1年も経てば新たに溜まる知見もありますし、新しくアップした記事へ内部リンクを貼ることもできます。新規記事のアップだけで手一杯だというのも分かりますが、せっかく流入してくれた読者をがっかりさせないよう、情報を最新に保つ努力はしていきたいところですね。

続いて、データ分析に便利なツールの紹介と、確認すべき指標を見ていきましょう。

データ分析ツール

GRC検索順位チェックツール

Google、Yahoo!、Bingの3つの検索エンジンの検索順位をチェックできるツールです。表とグラフにして記録してくれるので、毎日のモニタリングにとても便利です。

Googleアナリティクス

Googleが無料で提供しているアクセス解析ツールす。サイトを訪れたユーザーの行動をデータで追跡できます。上記サイトによるとMacでも利用できるようです。

Googleサーチコンソール

Googleが無料で提供しているサイト解析ツール。キーワードごとの検索順位や、検索によって表示された回数などを分析することで、WebサイトがSEOの観点からどのような状態であるかを確認できます。

確認するべき指標の例

・検索順位

狙ったキーワードで上位表示できているかを確認します。検索エンジンから直接確認、またはGRCのような検索順位チェックツールを利用します。

・滞在時間

訪問者1セッション当たりのサイト内経過時間です。ユーザーの滞在時間が長ければ、記事の質が高くユーザーにとって価値あるコンテンツである可能性が高いです。

・直帰率

ユーザーがサイト内の他のページに行くことなく、最初にアクセスしたページでサイトを離脱した割合です。直帰率は一概に平均していくらというようには言えませんが、この数値が高い場合は、他のページに興味を引かれなかった、導線がよくなかった、などの可能性が考えられます。

・ページビュー数(PV)

特定のページがユーザーにどれだけ見られたかをカウントした数値です。Webサイトがどの程度閲覧されているのか確認する基本的な指標です。

・ユニークユーザー数(UU)

一定期間の間に特定のページを訪問したユーザーの人数をユーザー数といいます。さらにIPアドレスとユーザーエージェントの組み合わせなどによってユーザーを判別し、複数回の訪問も「1」とカウントしたのがユニークユーザー数です。

・コンバージョン率(CVR)

ユーザーがサイトを訪れた後、企業が設定したコンバージョン(=達成目標)につながる行動をとった割合です。ECサイトでは平均2〜3%あれば問題ないといわれています。

コンテンツの内容は戦略に応じて定期的に見直す

ペルソナを設定してコンテンツのテーマを掲げたものの、運用するうちに「読者が本当に求めているものはこれじゃなくて、こっちだった」と気づくことがあるかもしれません。
サイボウズ式」(サイボウズ株式会社:2012年開設)の藤村能光編集長はこう話してます。

開設当初は『チームワークとIT、コラボレーション』というテーマを掲げていたが、様々な記事を公開する中で『働く男性のプレッシャー』に関する記事に通常の約10倍のアクセスがあり、『読者が知りたい情報は働き方なんだ』と気がついた

朝日新聞デジタル「オウンドメディア、相次ぐ閉鎖 成功例でも「役割終了」」より

今後、あなたがもし似たような体験をしたら、よりユーザーのニーズに沿うように、テーマの見直しやコンテンツの方向転換を検討してもいいかもしれません。

成功しているオウンドメディアの事例

最後に、オウンドメディアの運用に成功している企業の事例をいくつか見ておきましょう。

サイボウズ式

ブランディングの成功事例として有名なのが「サイボウズ式」です。このオウンドメディアは、IT企業のサイボウズ株式会社が、会社の認知度を上げる目的で2012年に開設しました。

  • 開始1年間は「月間の新規訪問者数3万人」を掲げ、PV数よりもコメント数を重視した記事を作成。最初の1年で「月間の新規訪問者数3万人」という目標を達成。
  • 3年目頃に一定数のコンテンツがたまり、PV数字が伸びるようなった。
  • 4年目からは自社の認知度が高まり、売上に貢献しはじめた。

自社メディアに即効性はなく、軌道に乗るまで地道に運用し続ける覚悟が必要だということが、この事例からよくわかります。

参考)

くらしの良品研究所(2022年1月終了)

こちらも老舗メディア。「くらしの良品研究所」は、自社メディア内のコミュニティと、自社メディアの信頼を得るメディアを兼ねている、いわば「自社メディア内のアーンドメディア」という位置づけになっています。そのため、アーンドメディア(ソーシャルメディア)にコンテンツを流しやすいのが特徴です。

SNS経由でサインインしてもらうとソーシャルIDが入ってくるため、その人がどんな趣味嗜好を持つのかががわかり、商品のプロモーション戦略に生かせるとしています。

しかし、そんな「くらしの良品研究所」も2022年1月をもって終了してしまいました。12年間、お疲れ様でした。

アマノ食堂 

アマノ食堂」は、フリーズドライ食品のアマノフーズを販売するアサヒグループ食品が、2015年より運営しているオウンドメディアです。
半年の準備期間を経て2015年開設、3年後には月間100万PVを達成。記事本数の蓄積やSEO対策、競合他社との記事の差別化がPV数アップにつながっています。

まとめ

インターネット上には数多くのサイトがひしめき、競争が激化しています。そんな中、これからオウンドメディアを立ち上げる企業には、コンテンツの質の高さや差別化が問われることになるでしょう。まずは、このロードマップに沿って、第一歩を踏み出していただければ幸いです。

オウンドメディアを成功に導くためのポイントおさらい
  • オウンドメディアの立ち上げには、目的を明確にして臨むこと
  • すぐに成果が出ないことを理解し、長期目線で取り組むこと
  • しっかりとした編集体制を組み、ディレクションを行うこと
  • 分析~改善のPDCAをコツコツ回すこと
  • 社内リソースが十分でない場合は外注を上手に利用すること

編集協力:高橋祝子・しほ

★当社ではこれまで、オウンドメディア立ち上げ時も含めて記事作成に関するあらゆるご要望にお応えしてまいりました。外注をご検討でしたら是非一度お声がけください。

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阿部道浩
新潟県三条市出身。2011年に都内の私立大学を卒業後、在学中からインターンとして参画していたモバイルサイト運営会社に就職。Webコンテンツの制作・編集業務に携わった後、2012年に記事作成を専門とする株式会社YOSCAを代表の宮嵜と二人で立ち上げる。編集業務のほか、法人営業、マーケティング、編集およびライターのマネジメントを経て、現在は「あなたのライターキャリア講座」の開発・運営を主に行っている。趣味は読書で、世界の古典文学から経営書まで年間100冊前後読む。
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