【利用者は語る】SEOでAIを使おうという人に伝えたい注意点と活用法
( 最終更新日:2024年6月17日)
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2022年、ChatGPTの登場でにわかに盛り上がった生成AI。2024年の今や、すっかり定着した感があります。セキュリティなどの懸念があるとはいえ、今や生成AIをはじめとするAI活用は企業にとって必須といえるでしょう。
SEOはもともとGoogleなどのような検索エンジンを相手にします。Google自身がいわば巨大なAIのようなものなので、AIを使ったSEO施策は極めて合理的なようにも思えます。しかし、残念ながら話はそう簡単にはいきません。今のところ、AIを活用したSEO施策はまだだいぶ難しいと言わざるを得ないでしょう。
こちらの記事では、SEOにおいて今のAIがどの程度の役割を果たせるかについて、以下の順で検討していきます。
こちらの記事は、記事作成代行企業として10年以上運営している株式会社YOSCAの取締役であり、既にAIを使って3万文字ほどの記事を3本書いた私・阿部が書いています。
実は、本記事ももとはAIをフル活用して、9割がたAIに執筆させるつもりでした。しかしうまくいかず、逆に私・阿部が9割書いたという経緯があります。その理由についても本記事の中で述べています。
AIを使ったSEO対策がどこまで可能か、ご自身の施策に応用できるか――真似できる箇所が少しでもあれば幸いです。
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【検証】SEO施策にAIはどこまで活用できるか?
SEO施策を以下の通り「内部施策」「コンテンツ施策」「外部施策」の大きく3つに分け、それぞれの施策において今のAIがどこまで使えるかを検証しました。
- 内部施策:Webサイトの内容を検索エンジンに理解しやすくするための施策。
例) - HTMLのタグやメタデータの最適化
- サイトマップの作成
- クローリングやインデックスの改善など
- コンテンツ施策:検索ユーザーのニーズに応える有益なコンテンツを作成するための施策。
例) - キーワードの調査や選定
- コンテンツの作成や最適化
- E-E-A-Tの向上など
- 外部施策:他のサイトからのリンクを獲得するための施策。
例) - リンクの構築や管理
- SNSの活用など
〈1〉内部施策:AI貢献度……△
Webサイトの内容を検索エンジンに理解しやすくするための施策です。
〈内部施策のAI活用例〉
- HTMLのタグやメタデータの最適化→△
- サイトマップの作成→△
- クローリングやインデックスの改善→△
〈内部施策のAI活用の結論〉
AIに頼るまでもなく既にほぼ自動化している。
HTMLのコーディングの一部をAIが代行してくれることはありますが、検索エンジンに最適化されているかというと怪しいように思います。メタディスクリプションなどのメタデータ生成には、ChatGPTなどの生成AIは効果を発揮してくれるでしょうが、このように活用できる部分はまだごく一部です。
サイトマップの作成、クローリングやインデックスの改善などは一見するとAIをフル活用できそうに思いますが、AIの登場を待つまでもなく自動生成のツールが既にあります。例えば、WordPressのプラグインにあるXML Sitemap Generator for Google – WordPress プラグイン などがそれに当たります。
〈2〉コンテンツ施策:AI貢献度……◯
検索ユーザーのニーズに応える有益なコンテンツを作成するための施策です。
〈コンテンツ施策のAI活用例〉
- キーワードの調査や選定→◎
- コンテンツの作成や最適化→◯
- E-E-A-Tの向上など→✕
〈コンテンツ施策のAI活用の結論〉
キーワードの調査や選定にはAIが活躍する余地あり。コンテンツ作成やE-E-A-Tの向上などはまだ力不足。
キーワードの調査や選定に使えるAIツールもいくつか登場しています。最もメジャーなところでは、ファベルカンパニーの提供するmieruca(ミエルカ)ではないでしょうか。ファベルカンパニーは産学連携でAI研究を行っているほか、研究成果をAPIとして公開しています。ミエルカのサービスページでも、
「ユーザー意図や競合が獲得しているキーワードをAIが自動分析」
「キーワードを入れるだけで購買に近い意図があるのかを上位表示しているページからAIが自動で分析」
と謳っていることから、キーワード分析にAIを活用しているようです。
他にも、国産キーワードリサーチツールとして有名なラッコキーワードの機能の一つに、AIを用いた関連キーワードの提案などがあります。
コンテンツの作成や最適化についてはどうでしょうか。AIを使って既に3本ほど記事を書いてみた自分としては、使い方とテーマによる、というのが正直なところです。まだ手放しでAIに任せられるわけではないが、うまく活用すれば数万文字の長文でも1~2日程度で書き切ることができます。
冒頭でも述べた通り、この記事も最初はAIをフル活用して執筆するつもりだったのだが、まるでうまくいかなかったという経緯があります。ここは本記事の趣旨でもあるので後で詳しく述べましょう。
なお、心配される方もいると思うので触れておくと、GoogleはAIによって生成されたコンテンツだからといってスパムと判定するわけではないです。手段を問うのではなく内容を問うというわけですね。まだChatGPTが世間を賑わせ始めた2023年2月のブログですが、 AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス | Google 検索セントラル ブログ | Google for Developers をご確認ください。
E-E-A-Tの向上にAIが活用できるかというと大いに疑問です。そもそもE-E-A-T「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」は、その趣旨からして「人間が・現実世界で培ってきた知恵や経験を」反映させようというもの。自分一人で引き出すのが難しい時にAIの力を借りることもできるかもしれませんが、もともと既存データを引き合いに考察するAIと対極にある概念のように思います。
〈3〉外部施策:AI貢献度……✕
他のサイトからのリンクやSNSでのシェアを獲得するための施策です。
〈外部施策のAI活用例〉
- リンクの構築や管理→✕
- SNSの活用→✕
〈外部施策のAI活用の結論〉
活用できる箇所は極めて限定的。
相互リンクを依頼するメールを代わりに書く程度のことはしてくれるかもしれないですね。しかし、どこに送信しようにもほとんど文面は変わらないでしょうから、わざわざAIに書かせるほどでもないように思います。送信先のウェブサイトをリストアップしてくれたり、代わりにお問い合わせフォームを探し出して全自動で送信してくれるなら話は早いですが、そこには至っていないでしょう。
そもそも、リンク対策は一歩間違えばスパム判定を受ける、リスクを伴う施策であることも認識しておきましょう。
リンクスパムの 90% 以上が Google のシステムによって検出され、有料リンクや相互リンクなどの手法の効果が抑制されました。
Google の検索スパム対策 – ウェブスパム レポート 2019 | Google 検索セントラル ブログ | Google for Developers
SNSの活用こそ人の手による施策のように思います。Web上だとはいえ、人と人との交流こそがSNSの醍醐味であり、AIを使って一部効率化できたとしても人間(担当者)の人力に支えられる施策であるといえます。ちなみに、YOSCAではSNSコンテンツのライティングやアカウント運用サービスも提供しています。
〈総合的な結論〉SEOにおいてAIは補助的なデータを提供するに留まる
- 内部施策:AI貢献度……△
- コンテンツ施策:AI貢献度……◯
- 外部施策:AI貢献度……✕
以上、3つの観点からAIの活用度合いを検証してみました。それぞれ、AI貢献度は△、◯、✕と評価しましたが、皆さんの感覚としてはいかがでしょうか。
◯と評価したコンテンツ施策ですら、あくまで「楽になる部分もある」という程度で、全てオートメーションになるには程遠く、補助となるデータを提供してくれるという程度に留まっている、というのが私の見解です。
なぜAIはキーワード選定が得意なのか?
あまりAIのことを悪し様に言ってもフェアではないので、AIを活用するメリットにも触れておきましょう。
AIは大量のデータから洞察を引き出せる点で人間より優れています。人間の認知能力には限界がありますし、また個々人によって着目できる点も異なります。データを大量に、かつ主観を排して見ることで、人間が見落としがちな最適化の機会を指摘できます。「キーワードの調査や選定」は機械的な作業となるため、むしろAIの方が手際よくできるというのは想像に難くないでしょう。
しかし、キーワード選定でも提案レベルにとどまり、人間による判断は必要です。コンテンツ作成についても同様で、「全て代わりに書いてくれる」と期待するのは難しいでしょう。
実は、構成から執筆まで全て請け負うと謳うAIライティングツールを試したこともありましたが、結果は散々でした。原稿として生成しようという意思は読み取れるのですが、その代わりプロンプト(AIへの指示)をガチガチに組んでいるのでしょう、まるで面白みもなく発見もない原稿が出来上がった記憶があります。
AIがSEOの全てを肩代わりする「ディストピア」
一方で、AIがSEOの全てを肩代わりする世界が望ましいとはあまり思いません。
全てがAIによって最適化された世界とは、全てが同質化された世界といえるのではないでしょうか。そこでは差別化がなされないために、順位付けという概念がもはや無意味となる可能性すらあります。そこで重要となるのは、AIを使うにせよ使わないにせよ、自分たちしか持っていない情報を提供することであり、それが一言で言えばE-E-A-Tを強化するということなのでしょう。
以下の記事もAIを活用しながら執筆したものですが、AIを使いながらE-E-A-Tの記事を書くという逆説に苦笑したものです。しかし、こうして公にしている通り、AIを使うことが悪だとは考えていません。差別化が難しいところの基礎基本をAIに用意してもらい、筆者によるE-E-A-Tの追加が容易にできたからこそ、最高の記事ができあがったと考えています。
同質化ではなく多様性を生み出すAIの活用に期待
インターネットが生まれたことで多様化が促進されると考えられたこともありました。テレビや新聞といった一部の権威だけが発信できる世界ではなく、誰もが平等に発信できる世界になることで、多様な価値観を持つ人々がつながりあう世界が生まれるという発想です。
しかし実際に生まれたのは、検索1位だけが圧倒的に見られる均一化であり、結果、誰もが1位を得たいがために1位や上位を真似する均質化が促されました。つまり、これが正解というものを見つけ出し、それを徹底的に模倣するという文化です。SEOに携わる方なら誰しも思い当たる節があるのではないでしょうか。
AIの登場で、この流れは更に加速する可能性はあります。先に述べた通り、全てがAIによって最適化された世界、全てが同質化された世界です。しかし一方で、最低限の正解を簡便に用意してくれるからこそ、そこからE-E-A-Tなどのオリジナリティを発揮できると考えることもできます。Googleが元からある情報をかき集めただけの「つまらない」サイトを評価するのではなく、それよりも基礎を固めつつ「面白い」視点を提供してくれるサイトを評価してくれることを願っています。
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【執筆】AIを使ったSEOコンテンツの作成方法
前章で、AIはキーワード選定に大きな力を発揮し、コンテンツ作成においては方法次第という話をしました。以下ではコンテンツ作成に絞って話を進めていきましょう。
ここでは、
という5つの観点から、AIを使ったSEOコンテンツの作成方法を概観します。
結論めいたことを先に言っておくと、コンテンツ作成においては、「自分がアイデアを出すから代わりに書いてみてくれ、最終的に手直しするから」というのが正しい姿勢だと考えます。
私もまだAIをフル活用したライティングは(試験的に作成して未公開のものも含め)3本ほどです。それぞれ3万文字弱の原稿を2営業日ほどで書き上げました。ライターの手を借りず自力だけで執筆したものとしては上々だったと思います。
試行錯誤しながらそれなりにうまい方法を見つけてきたと自負しています。
テーマ:既にある程度確立した情報があるものが良い
AIにある程度お任せして原稿を書かせるなら、既にAIが学習済みのもの、つまり情報(定説)が固まっているものが良いでしょう。正解がまだないもの、情報が移り変わっていくものでは、AIは作話をする可能性が高まります。
先に、「この記事も最初はAIをフル活用して執筆するつもりだったのだが、まるでうまくいかなかった」と書きました。実はその原因がこの作話です。例えば、本稿執筆時にAIはこのような記述をしていました。「リンクビルディングとサイト構造の最適化」に関する記述です。
しかし、リンクビルディングは、手作業で行うには時間や労力がかかります。また、リンクの質や量によっては、逆にSEOの効果を低下させる可能性もあります。そこで、AIを活用することで、リンクビルディングを効率化することができます。
AIを活用することで、以下のようなことができます。
- 自社のWebサイトに関連する高品質なリンク先を自動的に探す
- リンク先のWebサイトにアプローチするためのメールやSNSのメッセージを自動生成する
- リンクの効果を測定し、最適なリンク数やリンク先を提案する
残念ながら、現時点で上記のような機能を持つAIは、少なくとも私は見つけることができませんでした。ここまでAIが自動的に代行してくれるなら大変ありがたいのですが、実際にはまだまだ先の話のようです。
しかしAIは、あたかも当たり前に実現しているかのように記述します。AIは、私が「SEOにおけるAI活用の可能性を説く記事を書きたい」という願望を読み取り、嘘八百でもそれらしいことを平然と記述します。健気といえば健気ですが、こちらとしては困った話です。
一方で、先述の通り「サジェスト」「コアアップデート」の記事ではうまくいきました。それぞれ既に概念として定着しており、AIが十分把握していたためだと考えられます。
それでは、今回の「SEOにおけるAIの活用」のような新しい概念においては、AIの活用は難しいでしょうか。私は、代わりに執筆してもらうのは無理があるが、対話相手としては活用できると考えています。こちらも詳しくは後述します。
データ:競合の情報は自前で提供した方が良い
BingをベースにしたCopilot、GoogleをベースにしたGeminiを持ち出すまでもなく、AIは既に我々以上にWeb上の情報を有しているといえます。例えば、「サジェストについて他のサイトはどのような情報を発信しているか?ユーザーは何を検索していて、Q&Aサイトなどで何を聞いているのか?」などといった、競合やユーザーニーズに関する情報です。
私も最初は「AIの方が知っているだろう」と考え、プロンプトを磨くことばかり考えていました。しかし、ラッコキーワードなどのツールを用いて競合の情報(上位10サイトの見出し)を提供するだけで、記事構成の精度が段違いに上がることが分かりました。
既に知っているはずと考えるのではなく、こちらでも用意できる情報を提供することでアウトプットの質は格段に上がります。
ツール:Copilot・Gemini・ChatGPT の3つを活用
文書作成における生成AIツールといえば3大巨頭がMicrosoftによるCopilot、GoogleによるGemini・そしてOpenAIによるChatGPTでしょう。
恐らく一番メジャーなのはChatGPTだと思いますが、私はCopilot > Gemini > ChatGPTの順で利用しています。それぞれ特長があり、
- Copilot:長文生成に向いており、しかも内容も的確。最も信頼できる。
- Gemini:本文生成ではCopilotに若干劣るが、アイデアを出したりと対話相手には活用できる。
- ChatGPT:CopilotやGeminiと比べてプロンプトが長文でも理解してくれる。記事構成の生成に向いている。
といった印象です。完全に使い分けているわけではなく、基本的には3つのAIに同じ質問を投げかけ、ベストの回答を採用するというのを繰り返しています。時には複数のAIの回答を組み合わせて使うということもあります。AIはいつでも何回聞かれても答えてくれるので、聞いたモン勝ちと考えています。
有料か?無料か?
私はChatGPTのみ有料版を契約しており、CopilotとGeminiは無料版を使用しています。
ご存知の通り、CopilotもGeminiもそれぞれ有料版を正式リリースしているものの、本稿を執筆している2024/02/14段階ではまだ性能を測りかねており契約を見送っている状態です。
しかし、今後の機能追加や日本語対応の本格化によっては契約する可能性も十分あります。むしろ個人的には、AIの有料版契約はためらう理由がない、くらいに考えています。繰り返しになりますが、AIは24時間365日いつでも話しかけられる相手です。どんなに大金持ちでもそんなに便利な存在を秘書にできたことはないと思いますが、月給を支払って雇用するまでもなく、月3,000円程度でそれが実現するのです。あまりにも安い買い物だと思いませんか?
全自動のAIライティングツールは使ってはいけない
先にも述べた通りAIライティングツール(記事構成から執筆まで一気通貫で行ってくれるようなもの)の利用は決しておすすめしません。「自動で生成してから追記すれば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、元の原稿が崩れているため加筆するだけでどうにかなるようには私には思えません。
この点は強調しておきたいですし、この後も何度も繰り返すと思いますが、AIは「全て任せて人間が楽をするもの」として使うものではありません。あくまで創作を補完するものとして役立てるものです。
プロンプト:記事構成→文面生成→タイトル作成 それぞれ公開
私が実際に使ったプロンプト(AIへの指示文)を4つ公開します。
気をつけてほしいのは、
- これらのプロンプトだけを使っているわけではないこと
- 生成しながら違和感を持ったら微調整しながら試行錯誤を繰り返していること
- プロンプトは日々進化させていること
という点です。逆に言えば、これらのプロンプトだけあっても記事ができあがるわけではないので、代表例として一部載せています。
記事構成
〈プロンプト例1〉記事構成の作成(1)(Googleドキュメントに移ります)
先述の通り、記事構成を生成するところではChatGPT(GPT-4)をよく利用します。
一度生成された記事構成ではまだ粒度が荒いため、内容の細分化・具体化を行います。
〈プロンプト例2〉記事構成の作成(2)(Googleドキュメントに移ります)
なお、このプロンプトには当社ブログのノウハウを盛り込んでいます。
文面生成
〈プロンプト例3〉文面生成(Googleドキュメントに移ります)
文面生成は主にCopilotが担います。Copilotは参照サイトも提示してくれることが多く、事実確認もできる利点があります。
プロンプトを見ていただければ分かりますが、見出し毎に同じプロンプトを繰り返し、少しずつ生成していきます。全体のボリュームにもよりますが、ここで1~2時間を要します。文面を生成している時間は暇になるので、複数のブラウザやPCを使って同時並行で進めるか、本でも読みながら気長に進めましょう。
タイトル作成
〈プロンプト例4〉タイトル作成(Googleドキュメントに移ります)
タイトル作成はCopilot・Gemini・ChatGPTのいずれも使います。それぞれ5つ出させると合わせて15個出てくることになります。その中で使えそうなものはだいたい5つくらいで、そのまま採用したり、自分で考案して使ったりしています。
なお、こちらも当社ブログのノウハウを盛り込んでいます。
編集:生成された原稿の限界と人間の編集者が果たす役割
AIを用いてライティングした原稿をそのまま使うということは決してなく、時間と手間暇をかけて精読・編集を行います。
言うまでもなく、ライティングの目的はユーザーにとって価値のあるコンテンツを作成し、自社の商品やサービスの認知度を高めることです。そのため、AIを用いる際であっても、そのツールの特性や限界を理解し、適切に活用する必要があります。
AIの特性としては、以下のようなものが挙げられます。
- AIは、既存の情報やデータをもとに、新たな文章を生成することができます。しかし、AIは、その情報やデータの正確性や信頼性を判断することができません。そのため、AIが生成した文章には、誤った情報や不適切な表現が含まれる可能性があります。
- AIは、キーワードやトピックを指定することで、関連する文章を生成することができます。しかし、AIは、そのキーワードやトピックがユーザーのニーズに合致しているかどうかを判断することができません。そのため、AIが生成した文章には、ユーザーの興味や関心を引かない内容や、競合他社と差別化できない内容が含まれる可能性があります。
- AIは、文章の構造や文法、スタイルなどを自動的に調整することができます。しかし、AIは、文章の意味や論理性、説得力などを評価することができません。そのため、AIが生成した文章には、意味が通じない部分や、論理が飛躍した部分、説得力が弱い部分が含まれる可能性があります。
以上のように、AIだけでは十分なコンテンツを作成することはまだまだ難しいでしょう。AIが生成した文章は、必ず人間の編集者がチェックし、修正や補足を行う必要があります。人間の編集者は、AIのツールとしての役割を理解し、そのツールを使って目的を達成するための判断を行う必要があります。
自戒も込めて記すと、つい「人間が書いたっぽく仕上げよう」という姿勢になりがちです。しかし、読者にとってはアウトプット(記事)こそが重要で、AIが書いたか人間が書いたかには興味がないはず。手段と目的を取り違えることなく、「ユーザーにとって有意義なコンテンツを追求する」という姿勢で編集に臨みたいものです。
【共創】AIと対話しながら得る発想とは
「AIと人間の共創」ということがよく言われるようになりました。
人間がコンピュータとともに社会を創造していくようになるでしょう。創造というと、芸術といったアーティスティックなものを想像するかもしれませんが、ここでは何かしらを一緒に作っていくという意味で使っています。どんなに単純な日常的なものでも、たとえば、一緒に料理をしたり、物を運んだり、予定を決めたりといったものであっても創造です。
『AIの雑談力』東中竜一郎 p.252より
私も、AIによる指摘から自分の思いもよらなかった視点に気付かされ、コンテンツの幅が広がるということも多々あります。よく「AIとの共創」と言われますが、お互いに得意な点を補完し合いながらコンテンツを作っていくことは可能だといえます。
ただ、どのように共創していくのか、そこをしっかり考察している例があまりないように思います。実際には共創にも様々なレベルがあり、どちらが基礎を作るかによって全く変わってきます。
共創の三段階
AIと人間の共創レベルの段階は、例えば以下のように三段階に分けられます。
- AI支援型: 記事構成やキーワード選定など、一部の作業をAIに任せる。
- 対話型: 人間が考えを伝え、AIがそれを整理・表現する。
- 共創型: 人間とAIが対話し、新たなアイデアを生み出す。
先述の通り、「サジェスト」「コアアップデート」の記事は8割がたAIに書いてもらうことに成功しました。上記で言う「AI支援型」といえますが、書いてもらった原稿を加筆修正して公開するという点では、共創というより人間の補助という方が近いでしょう。概念が既にある程度確立しているものは、AIが取り組みやすいテーマであるといえます。
一方、「対話型」や「共創型」のように、より人間が主体になる文面の作成にもAIがどこまで活用できるか、ここが今後の課題のように思います。人間が思ったことをつらつらと書き記し、それをAIが成形するというプロセスです。人間が言いたいこと、表現したいことをただ喋り尽くし、書き尽くし、それを読める形で文面にするのはAIに任せるというもので、インタビューに近いといえるかもしれません。
実は一度それでも生成してみたのですが、どうも機械的・表面的なように思えて没にしました。参考までに、文面の一部を以下の通り掲載します。
人間の編集者が果たす役割とAIの補助的使用
AIとの共創プロセスにおいて、人間の編集者が果たす役割は非常に重要です。AIが提供する情報やアイデアは、あくまで補助的なものであり、最終的なコンテンツの品質は人間の編集者によって決定されます。人間の編集者は、AIからの提案を適切に評価し、コンテンツの方向性を定め、文章をブラッシュアップすることで、コンテンツの質を最終的に決定します。また、SEO対策としても、キーワードの選定やメタデータの最適化など、AIの提案に基づいた改善を行いますが、その適用は人間の編集者が判断します。このように、AIの補助的使用を通じて、人間の編集者はコンテンツの質を高め、SEO対策を最適化することができます。人間とAIの共創によるコンテンツ作成は、AIの技術的な能力と人間の創造性や判断力を最大限に活用することで、SEO対策においても有効なコンテンツを生み出すことが可能です。
趣旨は外れていないのですが、どうもつまらないように私には思えました。皆さんはいかがでしょうか。
共創のアイデアとして、
- AIが過去の成功事例を分析し、人間に新たな切り口を提示する
- AIがユーザーの検索意図を分析し、人間に共感を呼ぶコンテンツ作成を支援する
- AIが競合サイトの分析結果に基づき、差別化戦略を提案する
などが考えられますが、残念ながらまだ実現は先の話でしょう。
AIとの対話からアイデアを得る
ただ、現時点でもAIと対話をすることはできます。一人ぼっちで周りに対話する相手がいなくても、また相手と活動する時間が違っても、いつでもどこでも対話ができる相手、それがAIです。まだ人間のような即時性はありませんし、自然な会話を気兼ねなく行える相手とは言い難いですが、ヒントをもらえる相手としては優れています。
ご存知の通り、古代ギリシア哲学はこの対話を重視していました。
若い頃にプラトン自身も、日々ソクラテスと対話し、彼が人々と交わす対話を聞いていました。そこでソクラテスが発した多くの問いは、答えられない「行き詰まり(アポリアー)」のまま、魂のうちに生き生きと記されています。プラトンはそれを想起し、書き著すことによって、自らさまざまに思いあぐねながら、私たち読者に向けて同じ事柄について「問い」を投げ渡しているはずです。プラトンはそうして時間を超え、亡きソクラテスと対話し、共に考え、そうして私たちと対話しようとしているのです。
『プラトンとの哲学――対話篇をよむ』納富信留 p.14より
私がよく使うのが、原稿に書くアイデアを書き連ねてから、「君はどう思うか?批判的に検証せよ。」とAI(Copilot・Gemini・ChatGPT)に指示します。「批判的に」というのが重要で、ただ意見を聞いてもほとんど賛同だったり要約だったりに終始してまるで面白みがないので、できるだけ対案を出させるよう工夫します。そこから自分の意見の穴をあぶり出し、磨き上げていくのです。
AIに任せて楽をしようというのではなく、AIと一緒に汗をかいてユーザーのためのコンテンツを作る、それがあるべき「SEOにおけるAIの活用法」なのだと思います。
AIから得られたアイデアをあなたが育てる
AIと対話して得られたアイデアを自分のものとしてしまうことに違和感を覚える人もいるかもしれません。かく言う私も、社内の議事録にAIから得られたアイデアをメモする際には「これはCopilotより」などと付記していました。しかし、ミーティング参加者から「いちいち付記する必要はない」と言われ、以後は言い添えることはなくなりました。
同様のエピソードを見つけたので、少し長くなりますが紹介しましょう。納富先生は西洋古代哲学研究の大家ですが、彼がケンブリッジで指導を受けていた時の経験談です。
そんな論文指導を受け始めた頃に、こんな経験をしました。私の議論に対して先生が下さったコメントから考えを発展させて、次回の論述に反映させました。アイデアの出所を明示しなければ、という意識から、「この論点は、バーニェット教授の示唆による」といった註記を入れました。すると先生はこう言われたのです。
「こんなことを書く必要はない。私はなにか言ったかもしれないが、それを受けてこう考えたのは、君なのだから。」
惜しみなくふんだんに有益な示唆を与えてくださったお礼を記すべきだと思っていた私は、意外な想いに打たれました。そして「対話とは何か」が分かったのです。ああ、この考えは先生のものではない。だが、私のものでもない。それは二人が対話する間で、いわば自然に生まれ出た言論なのだと。 対話は共同作業です。どちらか一方が自分の考えを押し出すのではなく、言葉と言葉がぶつかり出会った時に、その間で火花のように生じる二人の「子ども」なのです。それは、私だけのものではない、でも、私が生み育てる子どもです。
『プラトンとの哲学――対話篇をよむ』納富信留 pp.228-229より
AIの指し示す発想をもとに自分が考察を深める、そのアイデアを育てて発展させ、またAIに問い直す。その繰り返しの中で、一人ではなし得なかったコンテンツの発信に結びついていくのでしょう。
芥川賞作家の九段理江氏が、創作活動の際にChatGPTを用いたことが大きな話題を呼びましたね。彼女の言葉も引用しておきましょう。
「小説の構想の土台になっているところをChatGPTに尋ねているんですね。ChatGPTで本当に始まってますよね、この小説は。記者会見で言ったことも私ちょっと盛りすぎちゃったかなとか思ってたんだけど、でも本当に駆使して書いた小説で、全然間違いじゃなかったです」
AIが”生んだ”?芥川賞「東京都同情塔」 作家・九段理江さんが明かした誕生秘話 | NHK | WEB特集より
AIが拓く新たな表現の可能性
AIを用いたコンテンツ生成には、表現の新たな可能性を拓くという側面もあります。
AIは、人間が思いつかないような発想や言い回しを生み出すことができます。AIは、大量のデータや情報を分析し、パターンや関連性を見つけ出すことができます。AIは、複雑な計算や分析を高速に行い、最適な結果や答えを導き出すことができます。
先の九段氏のように文学作品を創るわけではない我々としても、AIの能力を利用することで人間の表現力を拡張することができます。例えば、AIは、以下のような表現の可能性を提供することができます。
- AIは、キーワードやテーマに基づいて、コンテンツのアイデアを生成することができます。AIは、ユーザーのニーズや関心に応じて、最適なトピックやタイトルを提案することができます。
- AIは、文章の構成や文法、語彙、スタイルなどを最適化することができます。AIは、文章の読みやすさや魅力を高めるために、必要な修正や改善を行うことができます。
- AIは、文章に感情や個性を付加することができます。AIは、文章のトーンを調整し、ユーザーに対する印象や感情を変化させることができます。
まだまだ精度は粗いですが、AIはこれらの表現を、人間の手助けや指示なしに、自動的に行うことが期待できます。AIは、人間の表現の範囲を超えて、新しい表現の領域を開拓していけるかもしれません。
なお、共創については以前(2023年6月)にもライター向けとしてブログにまとめています。
終わりに
改めて思うのは、「AIは生産性や効率を上げるが、楽をしたいと思って安易に使ってはならない」ということです。
ライティングを生業としている我々としては、「やっぱりAIより人間だよ」という結論に持っていきたいという想いがあるかもしれません。しかし、こうして考察を深め、文献に当たり、自分でもAIを使ったライティングを行った結論として、「ツールが優れていても良いものは楽には手に入らないな」という印象を持っています。
先にも引用した九段氏のインタビューにおいて、別の箇所を引いてみましょう。
「一番問題と考えているのは人間が楽をしたり、怠慢のためにAIを使うこと。そうしてしまうと、人間の意識や認知、社会まで浸食されていく危険性がある。人間は1人では何もできないので、人の、いろんな人の集合知を借りてここまで発展してきた。その集合知の最たるものが人工知能。なので、それをうまく活用することで、自分の能力の限界を超えていくことができる可能性がある。私は、AIよりもむしろ、それを扱う人間に対して大きな期待を持っています」
AIが”生んだ”?芥川賞「東京都同情塔」 作家・九段理江さんが明かした誕生秘話 | NHK | WEB特集より
生産性を上げることと楽をすることは紙一重でしょう。大事なのは、効率を上げて空いた生産性を、怠惰に用いるか、より成果に結びつく労力に用いるか、その差のように思います。
AIを用いることで、SEOが新たな地平に向かうこと、ネット空間がより充実することを願っています。
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