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ライターの始め方 依頼を受けるライターの条件を 【発注者の視点】から解説

ライターの始め方|依頼されるライターの条件を”発注者の視点”から解説

最終更新日:2023年4月20日)

経験の有無は関係ありません。発注者に寄り添えるライターか、それだけです。

私は「あなたのライターキャリア講座」を主宰する株式会社YOSCAの阿部(@abemichihiro)です。記事作成代行の会社として10年ほどライティング業界に身を置いてきましたし、恐らく数百名のライターの方とお仕事をしてきました。また、ライター講座を始めてから何名ものライター志望者、ライター経験者の方と接してきました。(全員を私が教えたわけではないですが、講座は2年弱で300名以上に受講いただきました)

ですので仕事柄、どんなライターの方が仕事を獲得できるか、ライターを始めやすいか、また逆にライターとして続けていくのが厳しいか、心得ているつもりです。そんな経験をもとに今回執筆したのが、「ライターの始め方」についてまとめたこちらの記事です。

一番伝えたいのは冒頭に記した通りで、ライターとして始めていくのに経験の有無は関係ないと考えています。ライティングスキルも最低限あった方が良いですが、それもこれから述べるように後から身につけることはできます。それよりも、「発注者に寄り添えるライターか」――つまり、執筆を依頼する人の考えを理解し、手助けできるライターか?という方がよほど大事だと強調したいです。

彼を知り己を知れば百戦殆うからず」、よく引用される『孫氏』の一節です。まずは彼(発注者)について知ること、それこそが実はライターへの最短ルートである――この記事を読めば、そう納得いただけることと思います。

※なお、弊社の編集者とライターが毎週金曜にアップしている音声のみのYouTube「フリーライターのよりどころラジオ」で、まさに「依頼したくなるライターの共通点」について話していました。ブログを読むのが大変……という方は、こちらだけでも聴いてみてください。

【モノの準備】ライティングを始める環境を整える

よく「パソコンさえあれば始められる」と言いますが、実際にはそこまで単純ではありません。必須なもの、あると嬉しいものもあります。

ライターを始めるにあたって必要なものについては、以前書いた記事の

2.1 〈ステップ1〉ライティングの仕事を始めるための環境を整えよう

で詳しく述べています。具体的には、以下のようなものを紹介しています。

【必須】

  • パソコンとネット
  • パソコンの基本スキル
  • デスクと椅子
  • 集中できる環境
  • ライティングに関する知識・スキル

【あると嬉しい】

  • プリンター
  • デュアルディスプレイ

内容が重複してしまうので、恐縮ですが詳しくご覧になりたい方はリンク先の記事をご参照ください。

また、自宅の仕事スペースを整えることが困難である、自宅ではなく外で仕事したいという方もいるでしょう。そうした方にはコワーキングスペースでのお仕事や、

カフェでのお仕事も検討して良いと思います。私は個人的には部屋で一人の方が集中できるのですが、この辺は好みが分かれそうですね。

【前提】発注者の本音を知り、「攻略」しよう

ご依頼をいただいて書くライターの場合、必ず存在するのが発注者という存在です。つまり、仕事を獲得していくには発注者を攻略する必要があるということに他なりません。

それならば、「発注者とはどのような人で、何を考えていて、何に悩んでいるのか?」を知ることは、仕事を獲得する上で考えたいポイントとなります。

ライターはよく「想定読者を意識しよう」と言われます。ここではまず、発注者という想定読者をどこまで意識できるか、どう攻略できるかが問われるわけです。

私自身がライターの方に発注する立場であること、また記事作成代行の会社としてライターの方に発注する編集者に囲まれていることから、発注者の本音は把握しているつもりです。ここでは以下の4つに集約しました。

  1. 安心して発注したい
  2. もっと良いライターを見つけたい
  3. クライアントを満足させたい
  4. スムーズに仕事をしたい

一つずつ説明していきましょう。

〈発注者の本音1〉安心して発注したい

なぜライティングを外部に発注するのかといえば、「他に優先すべき仕事がある」「自分がこなせる範囲以上の仕事を受けてしまった」など事情は様々です。いずれにしても、自分の仕事の負担を減らしたいときに発注を行います。

それにもかかわらず、仕事を依頼した相手との連絡が途絶えてしまったり、スキルが不十分できちんと仕事を完結できなかったりしては本末転倒です。自分の負担が増えることになりかねません。そのような事態を避けるためにも、発注者は安心して仕事を発注したいと思っています。

それでは、安心して発注できるライターの条件とは何でしょうか?あえて集約するなら、

  • 人柄(責任感、信頼感、物腰の柔らかさなど)
  • スキル(要求に応えてくれる)

の2点だと考えます。(この2点をどうアピールするかは後述します)

〈発注者の本音2〉もっと良いライターを見つけたい

定期的に外部に仕事を依頼している発注者には、いつも依頼しているライターが存在することでしょう。

しかし、そうした「定番」ライターがいるからといって、発注者が満足しているとは限りません。「もっと良いライターがいれば、切り替えたい」と思っていることは決して珍しくありません。良いライターに仕事を依頼することで、記事の質が高くなることや記事を修正する時間を省略できるなどのメリットがあるためです。

そのため、発注者は常に良いライターを探し続けています。

〈発注者の本音3〉クライアントを満足させたい

外部のライターに仕事を依頼している発注者も、更に上流にいるクライアントから仕事を受けている場合があります。特定のクライアントから規模の大きな案件を継続的に受注している場合、そのクライアントを満足させようとするのは自然なことです。すでに紹介した「安心して発注したい」と「もっと良いライターを見つけたい」という心境も、クライアントを満足させることに起因したものといえるでしょう。

〈発注者の本音4〉スムーズに仕事をしたい

発注者は、記事の用意だけをしているわけではありません。他にも膨大な量の仕事がある中で、メディア運営や記事の編集・アップ・納品などを行っているという人が大半でしょう。だからこそ、同じ仕事ならより効率的に手際よく済ませたいですし、スムーズに仕事ができるライター(要求にしっかり応えてくれて、発注者の意向をしっかり汲み取ってくれるライター)と付き合いたいというのは至極当然です。

一方、

  • 設定した締切に間に合わない
  • レギュレーション(ルール)が守られていない記事が提出された
  • 記事の質が低い

といったトラブルが生じても、他に頼れる人がいないのが発注者(記事作成の担当者)です。「そんなライターに依頼した自分が悪い」ということで、修正、または下手をすると一本まるまる代わりに書くということも考えられます。

そんな忙しい発注者をサポートできる、そんなライターは仕事を集めます。

ちなみに、以下の2つの記事は発注者(ライターに依頼する側)に向けたアドバイスとして執筆した記事です。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の通りで、ライターの方が読んでも参考になる部分は多々あるでしょう。

こちらがライターの探し方で、

こちらがライターとの付き合い方です。

【受注前の対策】仕事を取るための4つのアピール

発注者の置かれている状況・抱いている心境がわかったところで、ライターを志望する自分たちとしてはどのように対策すれば良いのでしょうか。

つまりは、仕事を依頼するに足る

  • 人柄
  • スキル

を持ち合わせていることをアピールできれば良いわけです。

そのためにライターが用意できるものとしては、

  1. SNS(Twitter)
  2. ブログ
  3. 記名記事
  4. ポートフォリオ

が挙げられます。記名記事については自分でコントロールできるものではありませんが、SNSやブログ、ポートフォリオのサイトは自分の努力次第です。

これまで見てきた通り、発注者は仕事を依頼するライターがどのような人物なのかを、ライターの方が思っている以上に気にしています。私も新たなライターの方に依頼しようという時には、手始めに氏名で検索をかけます。その時に、先に提示した「記名記事」「SNS」「ブログ」「ポートフォリオ」が表示されて、少しでもこれまでの実績や活動が知れると判断の前向きな材料になります。

〈アピール1〉SNS(Twitter)

SNSといってもTwitter一択で考えて良いでしょう。

Facebookは知り合い同士のコミュニティですし、InstagramやTik Tokも仕事を獲得するツールとして認知されていません。LinkedInやWantedlyなどの仕事用SNSもありますが、あまり積極的に活用している人は稀でしょう。

SNSを活用するといっても、フォロワーをたくさん集めたり、バズる投稿を狙う必要はありません。あくまで人となりを知りたいので、フォロワーが数十名でも気になりません。それよりむしろ、

  • 愚痴、悪口、偏向的といったネガティブな内容
  • 案件情報や機密情報といった外部に公開してはいけない内容
  • その他、常識から逸脱した内容

の投稿がないかの方が気になります。Twitterは鍵アカウントでない限り誰でも閲覧可能なので、そうした空間で周りのことを意識した投稿ができているかを確認しています。更に、周りを勇気づけたり、元気にしたり、応援したくなるような投稿がされていると、一緒に仕事したくなるかもしれませんね。

ただ、Twitterを極めてもライティング能力が伸びるわけではないので、ほどほどが良いと思います。SNSをチェックすればするほど「幸福度」が減るというのはあながち間違っていないと思いますし、私も一応自分のアカウントはありますが、普段はあえてチェックしていません。

なお、ライターのSNS活用法についてはこちらのYouTubeでも取り上げられています。

Twitterを通じてのフリーランス仕事獲得方法についてはWorkship MAGAZINEのこちらの記事の方がよほど詳しく書かれています(^_^;)余談ですが、Workship MAGAZINEはフリーランスの方向けの情報が充実していて、私もよくお世話になります。

〈アピール2〉ブログ

ライターを始めた頃は、発注者に提示できる実績が少なく、採用につながりにくいのが実情です。そのための対策として、ブログを運用する方法があります。ブログを運用するメリットには、以下の2つがあります。

  1. 執筆レベルを証明できる
  2. 執筆の練習につながる

執筆レベルを証明できる

過去の実績の代わりにブログを紹介することで、ご自身の執筆レベルを発注者に知ってもらうことができます。発注者が納得できる内容の記事であれば、案件の受注につながるでしょう。

記名記事の方が証明になると思われるかもしれませんが、あながちそうとも言えません。メディア上で公開されている記事は編集者の手が加えられているため、実際どこまでライターが書いたかわからないためです。その点、ブログ上で公開した記事に他の編集者の手が入っているとは考えにくいため、純粋にライターの実力を推し量ることができます。いわば、ブログそのものがポートフォリオになるのです。

執筆の練習につながる

ライターを始めた頃はなかなか案件の受注は難しいでしょうから、比較的時間に余裕があります。その時間を執筆や勉強の時間に充てると良いでしょう。

ライター(またはその志望者)なのに普段から執筆をしないというのでは、野球選手を目指しているのに普段から素振りもキャッチボールもしないようなもの。機会を見つけては書くことを継続していきたいですね。

ただ、ブログ不要論もあります。

こちらのYouTubeが参考になるでしょう。

〈アピール3〉記名記事

記名記事(記事にライターの名前が載っている記事)は、ライターとしての実績を示す上でこの上ない説得材料になります。ご縁があったらぜひ書かせていただきたいところです。なお、このYOSCAブログもほとんどの記事は一人で執筆しているわけではなく、協力者がいる場合はその方の名前を末尾に掲載しています。

ただ先述した通り、記名記事とはいえ掲載メディアの編集者の手が入っている点。大幅に修正されたものがアップされている可能性も大いにあります。それと知られずに過大評価につながると、ライターとしては苦しくなるかもしれません。

〈アピール4〉ポートフォリオ

ポートフォリオとは、ご自身のライターとしての実績やこれまでの活動をまとめた資料のことです。ご自身のこれまでの活動を整理し、自分の経歴や強み、得意ジャンルなどを書くと良いでしょう。〈アピール2〉で取り上げたブログや、〈アピール3〉の記名記事は立派なポートフォリオになりえます。

参考までに、私の周りの編集者・ライターのポートフォリオをいくつかご紹介します。無料でウェブサイトを作れるサービスを利用する他、ライターに特化したポートフォリオサイトのedirecoなど、ポートフォリオ専用のサイトを使うのも良いでしょう。

noteで作っている人
Wantedlyで作っている人
Wix(ウィックス)やJimdo(ジンドゥー)といったホームページ作成サービスで作っている人
WordPressで作っている人

なお、ポートフォリオは一度作成したら終わりではなく、定期的に更新する必要があります。ライターでの実績が増えると、SEOでの実績(これこれのワードで何位を取れた、といったもの)や記名記事など、ポートフォリオに書ける内容も増えていくためです。

ちなみに、上記のようなポートフォリオのサイトを見ると、ここ数年更新していないだろうな、というものを見かけることが多々あります。しかし、「それだけ仕事が舞い込んでいる」と考えればネガティブには受け取りません。

参考記事

【営業活動】案件に申し込む〜ライター募集サイトに絞って〜

ここまで、発注者の心理とそれに対応したアピール方法を見てきました。そこでやっと仕事獲得の第一歩、案件への申し込みです。

なお、ライターの営業活動・仕事獲得の方法についても、過去に公開した記事の中の

2.3 〈ステップ3〉営業活動を行って仕事を獲得しよう

にまとめています。こちらで既に

  1. ウェブサイトの募集欄から売り込む
  2. コミュニティ・知り合い・人づてで仕事を得る
  3. クラウドソーシングサイトで探す
  4. ライター専用サイトに登録して仕事をもらう

といった方法について詳しく紹介しているので、ここではあえて「ライター募集サイト」に絞って見てみましょう。

ライター募集サイトとは?

ライター募集サイトとは、記事のライティングを依頼したいクライアントと、仕事に応募したいライターを繋いでくれるサイトのこと。大きく2種類に分かれています。

ひとつは、サイトに掲載された案件を見たライターが応募する「クラウドソーシングサービス」。もうひとつが、ライターの登録情報をもとに、マッチングした案件をサイト運営会社が案内してくれる「案件案内サイト」です。

クラウドソーシングサービスは、未経験者でも利用しやすいのが特徴です。案件のジャンルが幅広く、自分のスキルを活かせるものや、興味があるものを選べます。クライアントとの間にサイト運営企業が入ってくれて、仮払いシステムにより報酬未払いの心配がありません。更に請求書送付や煩わしい手続きがプラットフォーム上で完結できる、などのメリットがあります。

一方で、システム手数料・出金手数料が掛かるのが大きなデメリットの他、相場より単価が安く労働力を搾取する案件も多い点には注意が必要です。他所でも仕事を取れるようになるため、実績を積むために利用すると割り切っても良いでしょう。

案件案内サイトは、登録した情報を元にして案件が案内されるため、プロフィール欄を充実させる必要があるのが特徴。自分で逐一応募文を書く必要が無く、プロフィール欄が営業の代わりになるのが大きなメリットです。未経験のうちは案内をもらえる案件が少ないデメリットはありますが、実績を積むほど利点を感じられるでしょう。

ライター募集サイトでの仕事の流れ

クラウドソーシングサービスを利用する場合の仕事の流れは以下の通りです。

  1. 案件内容を見たライターが、応募文を書いて応募。案件によってはテストライティング。
  2. 契約成立後、仮払いがされる。記事を執筆し納品。
  3. 検収を受けて、場合によっては修正。
  4. 納品完了後、支払いがされる。

プロフィール欄を見たクライアントから直接依頼が来ることもありますが、基本的には応募文を書き、自分で営業をしていくのがクラウドソーシングサービスのイメージです。

一方で、案内型のサイトを利用する場合の流れは以下です。

  1. サイトに登録。興味のある分野やスキル・実績などのプロフィール情報を記入。
  2. プロフィール情報を元に、サイトがマッチングした案件を案内。
  3. 応募。契約が成立したら記事を執筆。納品。
  4. 検収され、場合によっては修正。
  5. 納品完了後、支払いがされる。

運営サイトが案件とのマッチングをしてくれるため、応募文を書く必要がありません。プロフィール欄が営業の代わりになるのが、案件案内サイトのイメージです。

複数サイトに登録するべき? 選ぶポイントは?

ひとつでも多くの依頼を探そうとすると、複数のサイトに登録した方が有利だと考えてしまうかも知れません。しかしそれでは、実績も複数のサイトにバラけてしまいます。プロフィール欄を見たクライアントに実績がアピールできるよう、多くても2,3個のサイトに絞って登録するのが良いでしょう。

またライター募集サイトの中には、ライター講座の動画を配信している、オンラインサロンを開催しているなど、ライターのサポートを行っているものもあります。特に重視したいのが、編集者によるフィードバックがもらえるかどうか。未経験からスキルアップを重ね、ライターとして仕事を続けるためにも、フィードバックがもらえるのはありがたいです。

【受注後の対応】仕事をリピートしてもらうための5つのポイント

「やった!仕事を獲得できた!」――しかし、案件は受注してからがスタートです。一回受注してお終いというのでは効率が悪いので、いかに継続して発注してもらうかが問題です。

「このライターに依頼してよかった」「気持ちよく仕事ができた」「次も依頼したい」「他の担当者にも紹介したい」

そう思ってもらえるようなライターの対応はどのようなものでしょうか。以下の5点にまとめました。

  1. やり取りを丁寧に対応する
  2. 素早い返信を心がける
  3. 融通を利かせる
  4. 積極的な提案や適切な確認を行う
  5. 質の高い記事を執筆する

〈受注後1〉やり取りを丁寧に対応する

発注者は、メールやメッセージのやり取りを通して、以下のポイントを確認しています。

  • まともな社会人であるか
  • メールやメッセージの文に問題はないか
  • 意思疎通などのやり取りは円滑であるか
  • ルールを守ってくれる人であるか

このように発注者は、記事の質だけではなく、メールやメッセージのやり取りからも多くの情報を得ています。これらの情報と執筆した記事の質を総合的に考えて、今後も仕事を任せられるかを判断しています。丁寧に、真摯に対応を行うことで、あなたの人となりを信用してもらえるでしょう。

なお、メールやチャット術についてはこちらが、

コミュニケーションスキル(トーク力)についてはこちらが参考になるでしょう。

また、納品した記事に対して発注者からコメントをもらえる場合があります。その際も、そのコメントを当たり前と思わず「勉強になりました」「ありがとうございました」など感想や感謝を伝えましょう

発注者は複数のライターとやり取りをしています。その中でライターにわざわざコメントを寄せる、その時間を割くということは、それだけ期待を寄せているという表れです。ほんの一言を返すだけでも、編集者の記憶には残るものです。

中には解せない、引っかかるコメントをもらうこともあるかもしれません。発注者も人間です、決して完璧ではありませんし、好みや癖もあるでしょう。あえて受け流すか、もしくは「今後の勉強のため」と前置きをした上で意図を聞くという手もあるでしょう。

また、次の仕事につながった場合にはコメントの内容を次の納品物に反映させるようにできれば、評価はより高まります。

ちなみに、「フィードバックをする側の気持ち」について取り上げたYouTubeがありました。「根拠や代替案を必ず添えるべし」というのは私も常日頃心がけていることです。

〈受注後2〉素早い返信を心がける

発注者を安心させるための条件のひとつに、きちんと連絡が取れることが挙げられます。素早い返信を行うことができれば、それだけでも発注者の評価を高めることができるでしょう。逆に、音信不通はもちろん、連絡が遅いライターは信頼されません。

ただ、即レス(数分以内の返信など)は確かに理想かもしれませんが、発注者から長文の連絡がきたときに、すぐに返信ができない場合もあるでしょう。今は執筆に専念したいから、あえて携帯の通知をオフにすることもあると思います。副業ライターの方であれば業務中の返信が難しいでしょうからなおさらです。

その場合でも数時間以内、遅くとも24時間以内には返信するようにしましょう。休みをとって外出中という場合には、それと分かるように自動返信メールを設定しておく(Gmailならスマホアプリからでも設定できます)、チャットで表示される名前に「阿部道浩@6/24外出につき不在」などと記載しておくと、返信のない理由が伝わるので安心につながります。

そういえばこの前、人となりは素晴らしく実力もあるのに、やたらと連絡が遅くて編集者から見限られた(依頼が継続しなかった)ライターさんがいらっしゃいました。傍から見て「もったいないな」と感じたものです。

〈受注後3〉積極的な提案や適切な確認を取る

「言ったことしかやらない」「理解しているのかどうか分からない」など、受け身のライターの対応には、発注者も苦労することがあります。そのため、積極的に提案をしたり、疑問点について適切に確認を取ったりするライターは、発注者からの信頼も高まります。

また、分からないことや不明確なことについては、執筆前に必ず確認をしましょう。確認をせずに独断で作業をした場合、書き直しや大幅な修正など手間が増えることになりかねません。

恥ずかしいと思うことはなく、あなたが分かりにくいと思ったところは他のライターさんにとっても分かりにくい可能性があります。純粋に発注者の想像力不足という場合も多いと思うので、積極的に質問して認識の齟齬を埋めた上で執筆へと進みたいですね。

雑な依頼、整っていない案件こそライターの腕の見せ所、といえますよ。

なお、案件のルールのことをレギュレーションとも言います。ここでレギュレーションやディレクションに関して語ってもらったYouTubeがあるのでご紹介しましょう。

〈受注後4〉柔軟に対応する

案件の進行中は予想外のトラブルや急な要件の変更なども起こりうるもの。そのような事情を寛大に受け入れてくれるライターは頼りにしたくなります。例えばトラブルで発注者が困っているときに、納期を早めたり追加で案件を受注したりすることで、発注者を助けるといった対応が考えられます。

ただこれは、何でも言うことを聞くイエスマンになれというのではありません。誰でもイレギュラーな対応は嫌なもの。かかった労力に対しては発注者と交渉を行いましょう。「柔軟に対応する」とは言ったものの、安請け合いはおすすめしません。

〈受注後5〉質の高い記事を執筆する

発注者が様々な観点で執筆を依頼するライターを選ぶとお伝えしました。とはいえ、質の高い記事を執筆するライターに仕事を依頼したいと思っていることは間違いありません。

ただ、今まで紹介してきた5点の中で最後に紹介しているように、実は最重要かというとそうでもありません。最初から全て完璧にできなくても、素直にアドバイスを聞いて学ぶ姿勢があれば十分信頼は獲得できますし、一緒に仕事をしたいと思ってもらえます

この前もとある編集者が、「めちゃくちゃ上手というわけではないが、人格的に優れていて鍛え甲斐を感じるライターがいる。彼女にはこれからも依頼していきたい」という話をしていました。実のところ、素直さややり取りのしやすさといった情緒的な面こそ重視するという編集者は珍しくありません。スキルは仕事をしながら何とでも身につきますが、人格的な面は教えられるものではないですからね。

加えて、丁寧に取り組めると考えられるような報酬が得られる仕事を選ぶことも重要です。自分が納得できないような単価の低い仕事を選ぶ→食っていくために品質は度外視でとにかく速く書く→その書き方が身についてしまう→単価の低い仕事しか獲得できなくなる……というサイクルにはまることは避けたいところ。自分が十分に時間と労力をかけられるような報酬が用意されているかは、たとえ駆け出しの頃であってもシビアに判断して良いと思います。

ちなみに、執筆方法・スキルアップにつながる記事も当ブログ内で多数公開しています。代表的なもの、読みやすそうなものをいくつか載せておきましょう。

文章作成の手順を示した記事がこちらで、

SEOを意識したライティングはこちら、

更に、より洗練された文章にするためのチェックポイントをまとめたものがこちらです。

まとめ

本記事では、ライターに仕事を発注する発注者の心境や、発注者から信頼を得るためのポイントを紹介しました。発注者の立場から、私が答えられる限りのことをこの記事に注ぎ込んだつもりです。

しかし、「まだよく分からない!」「ここをもっと聞きたい!」という点がありましたら、LINETwitterメールでお問い合わせからご相談ください。私、阿部が全て遠慮なく本音でお答えします。

「この記事がきっかけとなってライターを始められた」――そんな方が一人でも生まれてくれることを願っています。

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編集協力:斉藤勇太

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阿部道浩
新潟県三条市出身。2011年に都内の私立大学を卒業後、在学中からインターンとして参画していたモバイルサイト運営会社に就職。Webコンテンツの制作・編集業務に携わった後、2012年に記事作成を専門とする株式会社YOSCAを代表の宮嵜と二人で立ち上げる。編集業務のほか、法人営業、マーケティング、編集およびライターのマネジメントを経て、現在は「あなたのライターキャリア講座」の開発・運営を主に行っている。趣味は読書で、世界の古典文学から経営書まで年間100冊前後読む。